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ピューリッツァー賞を受賞した戦場カメラマンを演じたライアン・フィリップに直撃-トライベッカ映画祭

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グレッグ・マリノヴィッチ、ライアン・フィリップ(岡本太陽/Taiyo Okamoto)
グレッグ・マリノヴィッチ、ライアン・フィリップ(岡本太陽/Taiyo Okamoto)

 現在開かれているトライベッカ映画祭(Tribeca Film Festival 2011)で、映画『クラッシュ』や『父親たちの星条旗』のライアン・フィリップが、戦場カメラマンを描いた新作『ザ・バン・バン・クラブ(原題) /The Bang Bang Club』について、ピューリッツァー賞を受賞したフォト・ジャーナリストのグレッグ・マリノヴィッチとともに語った。

 同作は、南アフリカの人種隔離政策、アパルトヘイトが終結する過程で起きた紛争を撮り続けていた4人の無鉄砲な戦場カメラマン、俗に“バン・バン・クラブ”と呼ばれた男たちの奮闘に迫った作品。ライアン・フィリップは、“バン・バン・クラブ”の1人、グレッグ・マリノヴィッチ役を演じ、映画『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のテイラー・キッチュが、同じくピューリッツァー賞を受賞したフォト・ジャーナリスト、ケビン・カーター役に挑戦している。

 グレッグ・マリノヴィッチ役を演じる上で挑戦したことについて、ライアンは「実話を描く上では、ある程度(忠実であるために)俳優として束縛されてしまうことは仕方ないと思う。実際には、撮影1週間前にグレッグとともに時間を過ごすことができたんだ。ただ、この映画は低予算の作品だから、もう少し南アフリカでグレッグとともに過ごせなかったのは残念だった。今回、挑戦することになったのは、この時代の南アフリカについて勉強することだった。もちろん、南アフリカのアパルトヘイトや紛争が起きていたことぐらいは知っていたが、ほとんど僕は無知に近かった。だから、南アフリカの歴史の書物やネルソン・マンデラの伝記などを読んだりしたんだ」と明かした。

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 グレッグは取材中に、これまで数回にわたって銃撃戦の被害に遭っているそうだ。「映画内では多少誇張されているが、実際に銃に撃たれたことは何度もあった。それは、僕の自信過剰からかもしれないが、取材する上では不死身のような感覚を持って対処しなければいけない。それはもし、自分が死んでしまうかもしれない、足を失ってしまうかもしれないと考え出したら何もできないからだ。だから最初は、他の人たちに起きても、自分には何も起きないと思って取材に臨んでいた。だが、実際に撃たれたときは、かなりショックだったけれどね……」と命がけの撮影であったことをグレッグは語った。

 グレッグは写真を撮影する際に、その被写体となるものが非常に感情的なものであった場合、どうやって感情をコントロールして撮影しているのだろうか。「実際には、感情をコントロールしていないんだ。僕は、客観視した撮影を信じていない。写真が真実で正直であるのならば、主観視をしなければいけない。それに、もしカメラや技術に頼ってしまったら、全く魂のない写真にもなってしまう。だから、僕の感情はすべて写真に表現されていると思うんだ!」と述べたグレッグが撮った写真で、南アフリカでスパイの疑いをかけられたズールー族の男性が、アフリカ民族会議の支持者によって殺害された事件は、相当強烈なイメージを人々の目に焼き付けさせる。

 最後にグレッグは、ライアンの演技に非常に満足しているそうだが、完成作品を観たさいに、当時の状況がよみがえってきて、正直辛かったとも語っていた。映画は、一枚の写真で表現していく男たちを見事に描いている作品だ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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