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祈るスナイパーから無法者まで!端正な演技派バリー・ペッパー

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Matt Carr / Getty Images

 寡黙なスナイパーから、頼れるお父さん、悪党共のリーダーまで、確かな演技力で映画を締める俳優バリー・ペッパースティーヴン・スピルバーグ監督の『プライベート・ライアン』(1998)でブレイクしてから20年以上。今月4日に51歳の誕生を迎え、さらに演技の幅を広げる実力派の魅力を振り返ります。

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テレビなしのヨット育ち

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2005年ごろ丸刈りも似合うバリー・ペッパー Piyal Hosain / Fotos International / Getty Images

 1970年4月4日生まれのバリーは、豊富な森林資源で知られる、カナダ・キャンベルリバー出身。3人兄弟の末っ子として育ちました。バリーが5歳のころ、彼の家族は、お父さんが作ったヨットで、南太平洋の島々をめぐる生活を送っていたといいます。The Globe and Mail のインタビュー内でバリーは「テレビもないヨット暮らしだったから、読み書きや芝居、アートを楽しむしかなかったんだ」と語っています。彼が俳優を志すきっかけは、この船上生活にあったのかもしれません。

 その後、高校でスポーツとアートに打ち込み、バンクーバーの大学に進んだバリーは、演技クラスをきっかけに、あらためて演技の魅力に取り憑かれることに。本格的に俳優を志すことになります。ちなみに同インタビューによると、学生だった当時は、ドラマ「21ジャンプ・ストリート」を撮影中のジョニー・デップをよくバンクーバーで見かけたそうです。バリーが同作に出演することはありませんでしたが、その後、バリーはジョニー主演の『ローン・レンジャー』(2013)に出演しています。

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狙撃手役でブレイク!

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『プライベート・ライアン』のバリー(左)Paramount / Photofest / ゲッティ イメージズ

 1992年にテレビドラマの端役でキャリアをスタートさせ、演技を学びながらドラマやテレビ映画を中心に活動したバリーは、1998年の『プライベート・ライアン』に抜擢。マット・デイモンヴィン・ディーゼルといった当時の若手俳優たちと共に、若きアメリカ軍兵士を演じ、ブレイクへの大きな足がかりを得ます。

 バリーが同作で演じたジャクソン二等兵は、信心深い、左利きの寡黙なスナイパー。狙撃の腕に絶大な自信を持ち、常に冷静な一方で心根の優しいジャクソンは、黒澤明監督の『七人の侍』(1954)の剣豪・久蔵(宮口精二)を思わせる味のあるキャラクター。狙撃の際、常に祈りをささげるスタイルも相まって、現在も多くのファンから支持されています。

 ジャクソン二等兵役のインパクトは相当なもので、2015年の『メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮』でバリーを起用したウェス・ボール監督も、『プライベート・ライアン』の演技に感動したことが、バリーの出演を熱望した理由だと語っています。

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『トゥルー・グリット』では、ぼろぼろのアゴと歯の強烈な悪役を魅力たっぷりに好演 Paramount / Photofest / ゲッティ イメージズ

 同作以降、バリーはウィル・スミス主演の『エネミー・オブ・アメリカ』(1998)や、再びトム・ハンクスと共演した『グリーンマイル』(1999)などの大作・話題作に出演。2000年に出演した『バトルフィールド・アース』こそ、最低映画を決めるラジー賞に選ばれるドンデモ超大作となってしまいましたが、翌年のテレビ映画『61*(シックスティワン)』では、メジャーリーグにおける伝説の本塁打王ロジャー・マリスを演じ、ゴールデン・グローブ賞やエミー賞にノミネート。失敗に屈することなく、俳優として確固たる位置を築き、2011年のドラマ「ケネディ家の人びと」ではエミー賞を受賞。また、2006年にアメリカの市民権を取得しています。

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個性派バイプレイヤーとして

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ワニ映画『クロール -凶暴領域-』では頼れるお父さんを演じた Paramount Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 確かな演技力に、たくましさとナイーブさが同居した顔立ちがバリーの魅力と言えるでしょう。『グリーンマイル』のような好青年役でも、コーエン兄弟の西部劇『トゥルー・グリット』(2010)の無法者役であっても、彼が演じるキャラクターは、常に人間味を感じさせます。また近年は、若者を導く役どころを務める事も多く、『メイズ・ランナー』シリーズのカヤ・スコデラーリオと再共演した『クロール -凶暴領域-』では、大量のワニに襲われるなか、深手を負いながらも娘を励まし続ける父親を演じました。

 ちなみに、カヤのようにほかの作品で組んだ俳優との再共演も多く、『プライベート・ライアン』組とは、トムをはじめ、『ノックアラウンド・ガイズ』でヴィン、『トゥルー・グリット』でマットと再共演しています。

 『プライベート・ライアン』のインパクトゆえか、戦争映画に参加する機会も多いですが、メル・ギブソン主演のベトナム戦争映画『ワンス・アンド・フォーエバー』(2002)ではカメラを携えた戦地特派員、『父親たちの星条旗』(2006)では兄貴肌の軍曹役など、イメージに縛られず、さまざまなキャラクターを演じています。

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Franco Origlia / Getty Images

 また近年では、ホロコーストから逃れるために過酷な旅を続ける少年を描いた『異端の鳥』(2019)で、過酷な暴力と偏見にさらされてきた少年に、復讐について説くソビエト軍の狙撃手ミトカを好演。国籍は違えど、『プライベート・ライアン』から20年以上を経て再び狙撃銃を構えるバリーの姿は、ファンにとって感慨深いものがあるでしょう。名バイプレイヤーゆえに、これからも年齢を重ねるごとに、ますます活躍の場を広げていってくれそうです。(編集部・入倉功一)

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