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放射能が人体に与える影響の真実…人ごとではない『チェルノブイリ・ハート』緊急公開

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被曝(ひばく)被害の現実を映し出す……。
被曝(ひばく)被害の現実を映し出す……。 - 映画『チェルノブイリ・ハート』より

 1986年4月26日に旧ソビエト連邦(現ウクライナ)で発生したチェルノブイリ原発事故による被曝(ひばく)被害の事実を追ったドキュメンタリー映画『チェルノブイリ・ハート』の緊急公開が決定した。3月11日の東日本大震災の影響でわが日本でも福島原発事故が発生し、食にも被害が出ている今、決して人ごとではない真実が本作には映し出されている。

 『チェルノブイリ・ハート』は、旧ソビエト連邦(現ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所4号炉の爆発事故から16年後の2002年のベラルーシ共和国にカメラを向け、今なお続く被曝(ひばく)被害を映し出す渾身(こんしん)のドキュメンタリー映画。2003年の第76回アカデミー賞ではドキュメンタリー短編賞を受賞し、大きな注目を集めた。メガホンを取ったのは、メアリーアン・デレオ監督。ベトナムやグアテマラ、イラクなど数十か国での取材経験を生かし、真に迫った映画を完成させた。

 福島第一原子力発電所と同様、国際原子力事象評価尺度において最も深刻な事故・レベル7に分類されるチェルノブイリ原発事故。放射性降下物がウクライナ、ベラルーシ、ロシアを汚染し、現在も原発から半径30キロ以内の居住が禁止されている。また、北東350キロ以内に局所的な高濃度汚染地域「ホット・ゾーン」が約100か所も点在しており、そこでの農業や畜産業は全面的に禁止されているという現実がある。そんなホット・ゾーンに住み続ける住民や、原発事故後初めて故郷に帰る青年を通して、被曝(ひばく)被害があらわになる本作。青年は「近親者の10人がガンで死んだ。放射能とは無関係と言われることを、オレが信じると思う? オレもそうやって死ぬんだ。とんだ犬死だろ」と心の叫びを訴え、その1年後、27歳という若さでこの世を去った。

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 そして、「チェルノブイリ・ハート」とは穴の開いた心臓を指し、生まれつき重度の疾患をもって生まれる子どもの呼び名で、現在も新生児の85パーセントが何らかの障害をもっているというベラルーシ。デレオ監督は「チェルノブイリ原発事故を題材に映画を撮ったわたしには、フクシマの原発事故は『悪い夢』のように思える」と語り、「今はただフクシマが、第二のチェルノブイリになる前に収束することを切に祈る」と日本の安全を危惧(きぐ)しながらメッセージを送っている。放射能の影響が目に見えづらいため、人体にどのような被害があるのか不安に思っている人も多いはずだ。何十年間も残留放射能と共に暮らしているウクライナやベラルーシの人々、甲状腺がんに侵された何千人にも上るティーンエイジャーの姿を見て、「それでも原子力発電所は安全と言えるのか?」とデレオ監督が疑問を呈している本作で、ぜひ思いを巡らせてほしい。(編集部・小松芙未)

映画『チェルノブイリ・ハート』は8月13日よりヒューマントラストシネマ渋谷、銀座テアトルシネマにて緊急公開

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