「ヴォーグ」の編集長アナ・ウィンターの前にファッション界を変えた女、ダイアナ・ヴリーランドとは?

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リサ・モルディーノ・ヴリーランド監督

 女性向けのファッション誌として最古の歴史を持つ「ハーパース・バザー」誌で、25年間もファッション・エディターを務め、さらに「ヴォーグ」誌でも編集長を務めたファッション界の大物ダイアナ・ヴリーランドを描いたドキュメンタリー作品『ダイアナ・ヴリーランド:ザ・アイ・ハズ・トゥ・トラベル(原題) / Diana Vreeland : The Eye Has to Travel』について、リサ・モルディーノ・ヴリーランド監督が語った。

こちらはアナ・ウィンターを追ったドキュメンタリー 映画『ファッションが教えてくれること』場面写真

 およそ40年間ファッション・エディターとして活躍し、さらに多くのモデル、デザイナー、そして写真家を発掘するなど、「ヴォーグ」の編集長アナ・ウィンターと同様にファッション界に大きな影響を与えたダイアナ・ヴリーランド。本作は、その彼女の生い立ちから亡くなるまでを、本人や仕事関係者からのインタビュー、さらに彼女の功績や大胆な発想が生み出した影響力を綴ったドキュメンタリー作品。

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 ダイアナ・ヴリーランドを描くことになった経緯は「まず、わたしはダイアナ・ヴリーランドの孫、アレキサンダー・ヴリーランドと結婚したこと。それと今まで、ダイアナ自身が執筆した自叙伝は二作あったけれど、誰も新たに彼女のことについて伝記を執筆していなかったの。それはおそらく、執筆するなら非常に完成度の高い作品でなければいけないという(ファッション界からの)プレッシャーで、ほとんどの人は彼女のことを書くことに恐れていたとも思うわ。そこで、わたしは完成度の高い伝記本をまず書こうと思ったんだけれど、そのリサーチ過程で、映画にしてみたらどうかと思ったの。なぜなら、わたしの名前がいろいろな場所での撮影アクセスを可能にしてくれるから」と制作経緯を語った。

 ダイアナ・ヴリーランドを、「ヴォーグ」誌の編集長アナ・ウィンターと比較する人がいることについて、「わたし自身は、ダイアナ・ヴリーランドと比較できる人物は誰も居ないと思っているわ。それに比較する必要もないと思う。だから、今でも彼女の存在がファッション界に反映されているの。それに、今でも彼女が『ハーパース・バザー』誌で編集長を担当していたときの写真が、ファッション界で語りぐさになっているくらいだわ。彼女が60年代に『ヴォーグ』誌の編集長になった時は、それまで全くさえない雑誌だった『ヴォーグ』誌に新風を吹き込んだことになったの。もともと彼女は、伝統を重んじるタイプの人間だけれど、ことファッションに関しては60年代の上流階級から労働者階級までの文化を理解していたの。当時、もしほかの人物が『ヴォーグ』誌の編集長を担当していたら悲劇だったと思うくらいよ」と語った。なお、ダイアナ自身は「ハーパース・バザー」誌、「ヴォーグ」誌をファッション雑誌とも思っていなかったそうで、回りに起きている現況を伝える雑誌と認識していたそうだ。

 映画内で、ダイアナ・ヴリーランドは子どもの頃に母親から虐げられている。「彼女の人生自体が反骨の精神から生まれていると思う。母親は、彼女のことを“アグリー・リトル・モンスター”と呼んでいたのよ! でも彼女は、12歳から16歳まで書いていた日記には、自分は傑出したオリジナルの人物にならなけれないけないと書いていたわ。彼女は、少女の時代からすでに自分のスタイルを持っていたのよ。ただ、結婚したリード・ヴリーランドには浮気され、『ハーパース・バザー』誌では当時の編集長カーメル・スノウに、その才能を疎まれていたり、さらに『ヴォーグ』誌の編集長をしていたときは、急にクビにされていて、あらゆる出来事が起きているわ」と話した。ちなみに「ヴォーグ」誌の編集長を解雇されたものの、その後メトロポリタン美術館の衣装部門のコンサルタントをして活躍していたそうで、まさに人生を通して反骨の精神で生き抜いたようだ。

 最後にダイアナ・ヴリーランドは「ハーパース・バザー」誌の時代に、女優ローレン・バコールを発掘し、さらに初めてトップレスのモデルをファッション誌に掲載したことでも有名で、このほかにも彼女に発掘された写真家、モデル、デザイナーが映画内でインタビューに応じている。映画は、ファッションのことがよくわからない人々にも、勉強になる作品に仕上がっている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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