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編集に3年!アカデミー賞ドキュメンタリー賞作品『シュガーマン 奇跡に愛された男』監督が明かす

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マリク・ベンジェルール監督
マリク・ベンジェルール監督

 今年のアカデミー賞ドキュメンタリー賞を受賞した新作『シュガーマン 奇跡に愛された男』について、マリク・ベンジェルール監督が語った。

映画『シュガーマン 奇跡に愛された男』写真ギャラリー

 同作は、デトロイトの場末のバーで歌を披露していたロドリゲスは、著名な音楽プロデューサーに見出され1970年代に全米でデビューしたが、商業的には成功せず、アメリカの音楽シーンから姿を消す。だが、彼の曲は後に海を越えて南アフリカに渡り、反アパルトヘイト運動を続けていた若者たちの間で驚異的なヒットを記録して、熱狂的な支持を集め、革命のシンボルとして評価されていく様を描いたドキュメンタリー作品。

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 ドキュメンタリー制作には普通数年を費やすが、年月を掛けても今作を製作したかった理由は「まず、これほど素晴らしいストーリーはないと思った。もし、自分の好きな歌手がジミー・ヘンドリックスで、彼が今も生きていたとしたらどう思う? そして、もし仮に自分がジミー・ヘンドリックスが生きていることを発見して、その後のジミー・ヘンドリックスの人生を一人のファンとして変えることができたらどう思うだろうか? まさにそんな奇跡的なことが、この映画では起きているんだ。さらに、90年代半ばまで、まるでナチス政権下のようなアパルトヘイトの中で生きていた南アフリカの人々に、反抗心を与えた彼の曲、そしてそんな彼の曲がアメリカで70年代にヒットしなかったことが、もっとも大きな損失に僕は思えたからなんだ」と製作理由を話した。

 実際のロドリゲスに会い、どのように信頼を得て、彼をカメラの前に立たせたのか。「ロドリゲス自身は、それほどカメラに映ることを望んでいなかったし、プライバシーを大切にしていたから、その殻を突き破るのに苦労したよ。しかも、最初の頃は彼の質問の返答は、ほとんど一言二言で終わっていた。だから、彼の住むデトロイトに4年間も通って、毎回10分ずつくらいのインタビューを行っていた。撮影当初は、そんな彼にフラストレーションも感じたが、これが本来の彼の姿であると思い始めてからは、それでも良いと思うようになった。さらに彼自身も自分がミュージシャンであることにアイデンティティーを感じていて(マリクたちに再発見されるまで、彼は日雇い労働者だった)、それを皆に伝えてほしかったと思うんだ」と答えた。

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 オスカーを受賞してみて「あの時は、ちょっとパニック状態になっていた。昨年のサンダンス映画祭で審査員賞を受賞してから、配給会社はオスカーを取るための宣伝をしてくれていたから、僕もずっとナーバスになっていたんだ。実際に授賞式で名前を呼ばれたときは、非現実的に思えたくらいだ」と当時の心境を語った。

 彼は、もともとテレビの仕事をしていて、このロドリゲスを描いた企画も最初は7分の映像をテレビで流す予定だったが、それが次第にストーリーが膨れ上がり30分、1時間、そしていつの間にか映画の長さになっていたそうで、最後に、編集にも3年を費やしたことを明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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