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浅野忠信と二階堂ふみ、父と娘の愛は禁断ではない!?

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父と娘を演じた浅野忠信と二階堂ふみ
父と娘を演じた浅野忠信と二階堂ふみ - 写真:近藤誠司

 桜庭一樹の第138回直木賞受賞作が原作の映画『私の男』に主演した浅野忠信二階堂ふみが、父と娘との禁断の愛を描いたこの衝撃作について語った。

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 二階堂演じる花が10歳の時に彼女を引き取り、以来娘として育てる父・淳悟にふんした浅野忠信。40代になり表現者として円熟の時を迎えた彼には、二階堂と同じ年頃の娘がいることもあって、「淳悟と状況は違いますけれど、もしかしたら共通する何かを感じているかもしれないと思いました。またこの役には、男として経験してきたことや感じてきたことを当てはめることができると思ったんです」と、今回の役にもすんなり入っていけたという。

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 父と愛し合う娘・花を演じた二階堂は、「この作品のお話をいただく2年前に別作品のオーディションで熊切和嘉監督と初めてお会いして、この人と一緒に仕事がしたいと直感的に思ったんです」と、熊切監督の映画だと聞いて出演を即決。それだけに北海道紋別市での撮影では、監督の要求に応じて4度も流氷の海に飛び込んでみせ、「この監督のためならと思いました。それだけ熊切さんは人間的にも監督としても魅力のある方でしたから。ただ流氷に飛び込むのは、最初は大丈夫だと思っていましたが、実際やってみると全然大丈夫じゃなかったのですが(笑)」と、厳寒の中での撮影を振り返った。

 またこの映画では淳悟と花が、ことあるごとにお互いの指を吸ったりなめたりして絆を確かめ合うシーンが印象的に描かれる。その行為について二階堂は「監督が二人の関係を、最後のドラキュラの一族みたいに捉えていて。二人でずっと血を吸い合っている感じがいいとおっしゃっていたんです」と解説する。

 やがて二人は世間的なモラルから見れば、“禁断”の関係へと踏み込んでいく。だがその二人について二階堂は、「わたしは禁断と感じませんでした。人が生きていく上での約束事を全部なくしたときに、この二人は二人だけの世界を静かに生きていく。それだけの話だと思えたんです」と語り、浅野も「淳悟は最初から世間とずれていたり、失っているものを抱えている男で、これは花との関係を経て、彼が自分でそれに気付く話だと思いましたね」と述べた。寄り添って生きる親子の関係を、二人はこれもまた一つの愛の形として受け取ったようだった。(取材・文:金澤誠)

映画『私の男』は、6月14日より新宿ピカデリーほかにて全国公開

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