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忘れ去られたアクション映画…インドネシア、映画の黒歴史明らかに

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インドネシアのアクション映画史に光を当てたドキュメンタリー『ガルーダ・パワー』
インドネシアのアクション映画史に光を当てたドキュメンタリー『ガルーダ・パワー』

 第10回大阪アジアン映画祭で、知られざるインドネシアのアクション映画史に光を当てたドキュメンタリー映画『ガルーダ・パワー』(2014)が上映され、バスティアン・メーソンヌ監督が来阪した。

 同作は1920年代から現代に至るまで、現在している貴重なフィルムや関係者のインタビューで構成されたもの。オランダからの独立に日本軍政時代など複雑な歴史を歩んで来た同国だけに、様々な文化を受け入れつつ発展。香港のアクションスタッフを呼び寄せてインドネシア版ブルース・リー映画や『007』、勝新太郎の当たり役として有名な『座頭市』を模倣した映画もあり、上映会場は爆笑に包まれた。

 ただしこれらは、インドネシア人にとっても忘れ去られた映画史なのだという。メーソンヌ監督は、「今はシネマテークがあり保管されるようになったが、昔は保存の発想がなく、上映後は使い捨てにされていました。また香港スタッフが参加した多数の映画は、スハルト独裁政権時代に、中国系というだけで破棄されてしまいました」と説明した。

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 同国の共産主義者や中国人系に対する迫害は、昨年公開されたドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』でつまびらかにされたばかり。1965年に発生した軍事クーデターで、いわれなき多数の市民が大量虐殺されたが、映画もその犠牲になったのだという。一方で本作によると、反共主義者を批判する内容を盛り込んだ反骨精神あふれるアクション映画も生まれていたのだという。

 続けて、メーソンヌ監督は「アクション映画というのは表面的であって、その背景にはいろんなことが隠されている。そのことをこの映画で伝えたかった。いまだにインドネシアでは政治的タブーがあります。それを表立って発言できない現地の人に代わって、わたしたち西洋人がこうして表にする義務があるのではないかと思ってます」と製作の裏に隠されたしたたかな意思を明かした。

 メーソンヌ監督は次回作で、タイ発の西部劇についてのドキュメンタリーに挑むという。(取材・文:中山治美)

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