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『美女と野獣』の作曲家アラン・メンケン、劇団四季「ノートルダムの鐘」を語る

劇団四季「ノートルダムの鐘」より
劇団四季「ノートルダムの鐘」より - 撮影:阿部章仁

 劇団四季の新作ミュージカル「ノートルダムの鐘」が、12月11日より四季劇場[秋](東京・浜松町)にて開幕した。ディズニー長編アニメーション『ノートルダムの鐘』(1996)の楽曲に基づき、ディズニー・シアトリカル・プロダクションズが製作した舞台版の日本上演は、今回が初となる。作曲を手掛けたのは映画と同じく、『美女と野獣』(1991)や『アラジン』(1992)などでアカデミー賞に輝くアラン・メンケン。今回のプロダクションのために来日し、10日に同劇場・隣接稽古場にて合同取材が行われた。

 「レ・ミゼラブル」などで知られるフランスの文豪、ヴィクトル・ユーゴーの代表作「ノートルダム・ド・パリ」に着想を得た本作は、15 世紀末のパリを舞台に、ノートルダム大聖堂の鐘楼に住むカジモド、彼を聖堂の鐘楼に住まわせている大聖堂大助祭フロロー、イケメンの同警備隊長フィーバスと、彼らが愛してしまうジプシーの娘エスメラルダをめぐる悲しくも胸打つ愛の物語。幾度の映画化、舞台化を経ているが、最もよく知られるのはディズニー長編アニメーション『ノートルダムの鐘』だろう。同作の作曲を手掛け、舞台化に際しても作詞スティーヴン・シュワルツ(『ウィキッド』)と組んだメンケンは、アカデミー賞のほかグラミー賞、トニー賞の受賞歴もある、世界的に知られる作曲家の一人。映画版と舞台版の原作へのアプローチの違いを、次のように語った。

 「映画版のオプティミズム(楽観主義)はなく、舞台版はかなりダークだ。例えば、映画版ではガーゴイルがジョークを言ったりコミックリリーフ的な役割を果たしているが、そういった要素はなくして、より原作に忠実であることを意識した。もっとも、わたしは映画版のバランスも、とても気に入っている」。

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ノートルダムの鐘
来日したアラン・メンケン 撮影:今祥枝

 もともと映画版の企画を最初に提案したのは、プロデューサーのマイケル・アイズナー。ディズニーでダークなニュアンスを含む作品をつくることは、「非常にチャレンジングだった」とメンケンは振り返る。ディズニーらしさ、子供が楽しめることを意識した「ハッピーなエンディングは大好き」としながら、自身の出世作となったミュージカル版「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」を例に挙げて、「ハッピーエンドの物語ばかりではつまらない」とも。「『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』にはグロテスクな食人花が出てくるが、予想に反して、子どもたちは大いに喜んだんだ。子どもには、実にいろいろなものを柔軟に吸収する力がある。シュールで残酷なラストではあるけれど、これが欲望への警告の物語だということは理解しているんだ。『ノートルダムの鐘』の舞台版にも、同じことが言えると思う」

 原作にほぼ忠実な舞台版のラストは、かなりショッキングで、作品全体が持つメッセージ性もより明確で強いものだ。権力や宗教を象徴するフロローの横暴、エスメラルダやカジモドへの偏見や迫害は、現在の難民やマイノリティーに対する差別といった問題とダイレクトに結び付く。メンケンは「我々は今の時代だからこそ、責任あるメッセージを伝えなければならない」と力強く語る。

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 「自分とは違う人々を受け入れることの必要性、自己犠牲や人種差別は間違っているというメッセージ。例えば、今の世の中ではSNSなどで偽の情報があたかも事実のように出回っているが、『ノートルダムの鐘』でもフロローが嘘の情報を流して追い詰めていく。現実にも、そうした悪意のある情報を流す人や、そこに無責任に便乗してしまう人もいるだろう。これは決して過去の物語ではなく、いつの時代にもタイムリーで普遍的な要素を持つ作品なのだ」。

 映画版と舞台版のアプローチの違いは、新たに加えられた楽曲やアレンジにも反映されている。取材の最中、冒頭で鳴り響く荘厳な鐘の音や楽曲を身振り手振りで歌いながら、記者たちの質問に熱心に答えていたメンケン。今後も、2017年公開予定の『美女と野獣』実写映画版のほか、ブロードウェイでは12月1日に、楽曲を手掛けたロバート・デ・ニーロ監督作『ブロンクス物語』(1993)のミュージカル版(『ア・ブロンクス・テイル(原題)/ A Bronx Tale』)が開幕して好評を博している。進化し続けるメンケンの代表作の一つである映画版が、舞台版ではどのように翻案されたのかを比較してみるのも、映画ファンにとって興味深い発見があるだろう。(取材・文:今祥枝)

ミュージカル「ノートルダムの鐘」東京公演は2017年6月25日まで四季劇場[秋]にて上演

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