アメリカが恐れた日本人男性 声を上げ続ける沖縄の原点

イベントに登壇した佐古忠彦監督と内村千尋さん

 アメリカ占領下の戦後の沖縄で、圧政に不屈の抗議を貫いた政治家・瀬長亀次郎氏の人生をたどるドキュメンタリー映画『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』の東京初日舞台あいさつが、26日、渋谷のユーロスペースであり、佐古忠彦監督と、亀次郎氏の次女で彼の資料館「不屈館」館長の内村千尋さんが登壇。内村さんは「わたしには父は本当に普通のお父さんで、うちでは掃除・洗濯は全部父がやっていました。だからうちが洗濯機を買ったのは、父が国会議員で東京に出るようになってからです」と肉親ならではエピソードで会場を沸かせた。

『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』フォトギャラリー

 戦後、那覇市長、国会議員と政治の道を歩み、沖縄の祖国復帰を目指して、度重なるアメリカからの弾圧と闘い、アメリカを恐れさせた男と呼ばれた亀次郎氏。演説会には常に数万の民衆が集まり、熱い支持を受け聴衆を熱狂させたという亀次郎氏の知られざる実像を描く本作。第54回ギャラクシー賞月間賞を受賞した2016年放送のテレビドキュメンタリーに、証言者への追加取材や、資料の発掘などを積み上げ再編集して映画化した。「筑紫哲也NEWS23」で長年キャスターを務めた佐古にとっては、初監督作ともなる。

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 先行公開された沖縄・那覇の桜坂劇場では「400人を超す人々が長蛇の列を作り、みんながカメジローに会いに来たという感じで、感激しました」と実感を語った佐古監督に、内村さんは「沖縄の人たちは、政治的な立場を超えて、亀次郎の生き様に感動するんです。わたしも子どもの頃は、父のすごさをよく知らなかった。今回も、佐古さんが発掘したアメリカの資料を見て、アメリカをこんなに震え上がらせていたとはと驚いたんです」と話し、「父の原点には、戦争で亡くなった母への愛情と尊敬があったと思います」と振り返る。

 映画化への思いを聞かれた佐古監督は「番組でニュースを伝えるとき、戦後沖縄の全体像がなかなか伝えられないことを、もどかしく思っていました。亀次郎の頃から現在まで、沖縄の人々が声を上げ続けているのはなぜなのか? その理由をたどると亀次郎に行き着くんですね。亀次郎の演説は、沖縄の人々の気持ちの代弁です。その映像は、沖縄と本土の溝を少しでも埋めてくれるんじゃないか」と全国公開への期待を明かすと、内村さんは「今、沖縄はこれまでにない強力な権力により、基地前では逮捕者が続出しています。座り込みの80歳の女性が怪我を負ったり、40人の村に500人の機動隊が押しかけたり。これが日本の将来の姿なのか。本土の人と一緒に解決しなきゃいけないこと」と次第に熱を帯びる言葉で続けていた。(取材/岸田智)

映画『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』は沖縄、東京で公開中 全国順次公開

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