アスベスト国賠訴訟の問題作が市民賞に-山形国際ドキュメンタリー映画祭各賞発表

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市民賞を獲得した原一男監督(一番左)と各賞受賞者

 山形市内で開催している山形国際ドキュメンタリー映画祭2017の各賞が11日に発表され、原一男監督『ニッポン国VS泉南石綿村』が観客賞に当たる市民賞を受賞した。

【画像】山形国際ドキュメンタリー映画祭2017の受賞者

 同作は大阪・泉南地域の石綿(アスベスト)工場の元労働者とその親族が損害賠償を求め、国を訴えた「泉南・アスベスト国賠訴訟」を8年以上に渡って追った記録だ。大阪・泉南地域で石綿産業が栄えたその歴史を紐解きつつ、原告団に寄り添い、厚生労働省との面会にも同行。役人たちの不誠実な対応をカメラで余すことなく捕らえているのが原監督らしいところだ。

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 一方で石綿が要因となって発症した石綿肺や肺がんなどの病は原告たちの体を日に日にむしばみ、8年間で実に21人がこの世を去るという、深刻かつ重大な問題であることも知らしめている。

 山形の上映には弁護士と原告者を含む市民の会の15人が駆けつけて会場を盛り上げ、原監督は「山形に来る前から市民賞は頂きたいと念じてきました。山形まで来てくれた泉南の弁護団・市民の会の人たちに、この賞を贈りたいと思います」と感謝の言葉を述べた。

 また「アジア千波万波」部門の大賞に当たる小川紳介賞には、2014年に香港で起こった反政府デモ活動・雨傘運動に2か月半に渡って密着したチャン・ジーウン監督『乱世備忘-僕らの雨傘運動』(香港)に贈られた。

 記念のトロフィーと賞金50万円を受け取ったチャン監督は「私はこの賞を頂くことに幸せを感じると同時に、恥ずかしい気持ちもあります。今、この運動をリードした学生たちは実刑判決を受けて収監されているからです。皆さんぜひ、これを機会に香港の動向に関心を持って頂き、われわれを応援して頂きたい。わたしは今、2014年に出会った素晴らしい人々の顔を忘れることはできません」と瞳を潤ませながら訴えた。

 山形国際ドキュメンタリー映画祭2017年は隔年で開催されており、今年で15回目。今年は128か国の国と地域から1,791本の応募があった。次回は2019年開催予定。(取材・文:中山治美)

受賞結果は以下の通り。

【インターナショナル・コンペティション部門】
●ロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)
アンナ・ザメツカ監督『オラとニコデムの家』(ポーランド)

●山形市長賞(最優秀賞)
アルフォーズ・タンジュール監督『カーキ色の記憶』(カタール)

●優秀賞
ラウル・ペック監督『私はあなたのニグロではない』(アメリカ・フランス・ベルギー・スイス)
シャー・チン監督『孤独な存在』(中国)

●特別賞
ジョアン・モレイラ・サレス監督『激情の時』(ブラジル)

【アジア千波万波部門】
●小川紳介賞
チャン・ジーウン監督『乱世備忘-僕らの雨傘運動』(香港)

●奨励賞
アヌシュカ・ミーナークシ&イーシュワル・シュリクマール監督『あまねき調べ』(インド)
ソン・ユニョク監督『人として暮らす』(韓国)

●特別賞
チャオ・ダーイン/ミディ・ジー監督『翡翠之城』(台湾・ミャンマー)
チョン・ユンソク監督『パムソム海賊団、ソウル・インフェルノ』(韓国)

【日本映画監督協会賞】(アジア千波万波と日本プログラム対象)
アヌシュカ・ミーナークシ&イーシュワル・シュリクマール監督
『あまねき調べ』(インド)

【市民賞(観客賞)】
原一男監督『ニッポン国VS泉南石綿村』(日本)

山形国際ドキュメンタリー映画祭2017は10月12日まで開催

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