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映画で描かれる「ピーター・パン」その愛され続けるワケとは!?

コラム

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新たな視点で実写化!映画『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』より - (c)Warner Bros. Entertainment Inc.

 2月16日、日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」で放送される『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』。J・M・バリーが手がけた戯曲・小説の主人公で、ディズニーのアニメでもおなじみのピーター・パンの物語だ。第二次世界大戦中のロンドンに暮らす孤児ピーターが異世界ネバーランドへ旅立ち、永遠の少年になるまでを描く。“大人になりたくない”という、誰もが一度は持つ感情にマッチする「ピーター・パン」の物語は、これまで繰り返し映画化されてきた。20世紀初めに作られた物語が、映画として愛され続ける理由はなんだろうか?(文:冨永由紀)

 映像として最も多くの人に記憶されているのはおそらく1953年に公開されたディズニーの長編アニメ『ピーター・パン』だろう。少女ウェンディが2人の弟たちの世話をするダーリング家にピーターが現れ、3人をネバーランドに連れていく。妖精ティンカー・ベルの魔法の粉を浴びて空を飛べるようになった3人の冒険と、ピーターと宿敵の海賊フック船長の対決を描くファンタジーアドベンチャーだ。躍動感あふれる映像とパンチの効いたユーモアに、大人も子どももワクワクさせられる。

ピーター・パンのイメージはやっぱりこれっ!ディズニーの長編アニメ『ピーター・パン』より - RKO Radio Pictures Inc. / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ピーターは自由でいたずら好き、大人に成長しない少年。ウェンディはピーターに憧れを抱きつつ、弟たちを大切にする母性の象徴的キャラクター。ティンカー・ベルはスピンオフで独自シリーズもある人気キャラだが、気が強くてちょっと嫉妬深くもあり、ピーターと仲良くなるウェンディには敵意をむき出しにする。フック船長は、子分たちに威張り散らすくせに怖がりで、卑怯な面もありながら憎めない悪役で、ピーターたちと対極である大人の象徴。この設定はその後に作られた実写版でも基本になっているが、1950年代の価値観に基づくアニメ版は、人種やジェンダーについて現代の感覚と大きく異なる描写が多く、今改めて観ると、仰天するシーンも少なくない。

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ロビン・ウィリアムズ(右)演じるピーターとダスティン・ホフマン(左)のフック船長の共演は見事!映画『フック』より - TriStar Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 1991年にはスティーヴン・スピルバーグが実写版『フック』を監督。タイトルロールを演じたダスティン・ホフマンはアニメ版のフック船長そっくりだが、ロビン・ウィリアムズが演じた主役のピーターは、なんと妻子ある中年弁護士。成長してピーター・パンだった記憶をなくしたという設定で、忘れた童心を取り戻すと同時に、父親としてネバーランドに連れ去られたわが子たちを救うという物語は、アニメ版を観て育った大人の観客の心に響いた。分別くさい大人からいたずらっ子に戻っていくピーターの自然な変化を体現できたのはウィリアムズならでは。

 2003年の実写版『ピーター・パン』は、より原作に忠実な映画化で、1954年から再演が続くミュージカル版の伝統(ウェンディたちの父親・ダーリング氏とフック船長は同一俳優が演じる)も踏襲。ピーター役のジェレミー・サンプターとウェンディ役のレイチェル・ハード=ウッドは実年齢が演じる役に近く、2人の初恋物語的な面もあり、小説家を夢見るウェンディ像とともに、現代の女の子の共感を誘った。フック船長とダーリング氏の二役をジェイソン・アイザックスが演じたが、この役は1991年にミュージカル版のブロードウェイ公演でJ・K・シモンズが演じたこともある。

ピーター(ジェレミー・サンプター)とウェンディ(レイチェル・ハード=ウッド)の初恋物語に焦点を当てた2003年の実写版『ピーター・パン』はおとぎ話のイメージそのまま!映画『ピーター・パン』より - Photofest / ゲッティ イメージズ

 2004年には原作者のバリーの実話を基にしたジョニー・デップ主演作『ネバーランド』も作られた。物語の背景やスピリットへの理解を深めるには、これも観ておきたい一作。

 そして2015年の『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』は、ご存じの物語の前日譚(たん)を壮大なスケールで映画化。ウェンディたちはまだ登場せず、母を探すピーターと、フック船長になる前の青年ジェームズ・フックの物語で、2人は良きコンビ。敵役の海賊・黒ひげをヒュー・ジャックマンが怪演している。ジョー・ライト監督(最新作『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』はアカデミー賞で作品賞など6部門ノミネート)の演出は、キャラクターの内にある善と悪それぞれに光を当てるもの。ピーターのちょっとした意地の悪さ、一見、単純な悪役の黒ひげの繊細な面が垣間見える瞬間など、ファンタジーの中に潜ませたドラマに味がある。

ヒュー・ジャックマン演じる海賊・黒ひげ、冷酷だが、どこか憎めない存在!映画『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』より - (c)Warner Bros. Entertainment Inc.

 大人になりたくない子どもの心という軸をそのまま残し、キャラクターや展開は時代に合わせて、あるいは作り手それぞれの解釈で魅力的に何度も再生する。その柔軟性が、「ピーター・パン」の物語が世代を超えていつまでも愛される一番の理由だろう。

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