外国映画タイトル、日本版にするメリットは?宣伝担当が明かす

「不汗党」という原題から『名もなき野良犬の輪舞(ロンド)』という邦題に
「不汗党」という原題から『名もなき野良犬の輪舞(ロンド)』という邦題に - (C)2017 CJ E&M CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED

 海外作品が日本で公開される際には、日本版のタイトル(邦題)がつけられるが、いったい邦題はどのようにつけられているのだろうか。韓国映画『名もなき野良犬の輪舞(ロンド)』(5月5日公開)の配給会社・ツインの宣伝担当者が取材に応じ、邦題をつけるメリットや、今回の邦題に込めた意味について語った。(編集部・吉田唯)

【動画】固い絆で結ばれた男たち…『名もなき野良犬の輪舞』予告編

■邦題のメリットとデメリット

 そもそも邦題をつけるメリットとは何なのだろうか? 宣伝担当者いわく、映画のタイトルで一番重要なのは「題名を伝えやすい、覚えやすい」こと。「韓国映画の場合は年齢層の高いお客様が中心になってくると思っているので、窓口に行って題名が言いやすいというのが一番だと思っています。そういう意味で(英語やカタカナのタイトルではなく)日本語にするようにしています」。作品に興味を持った人の記憶に残りやすいタイトルにすることが、劇場まで足を運んでもらうことにつながる。それが邦題をつける一番のメリットだという。

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 それ以外にも、もとのタイトルのままでは日本人に意味が伝わらないケースがある。例えば、9月8日より日本公開の韓国映画『1987、ある闘いの真実』の場合、原題は「1987」。これは、韓国の民主化闘争に火を点けた学生拷問死事件が起こった年の年号だが、日本では年号だけではその事件を思い浮かべることができない。そこで、映画の内容を伝えるため邦題には「ある闘いの真実」という言葉が付け加えられた。

 一方で、邦題に変更するデメリットも。韓国映画の場合は本国公開時から情報をチェックしている熱心なファンも多いため、「本国のタイトル(原題)を覚えているファンにとっては、邦題はタイトルが変わることになってしまうので、作品の共通性がなくなってしまう。そこは注意しないといけないと思っています」と語る。たしかに、邦題がガラッと違うものに変わってしまうと、日本で公開されることに気付かないケースも出てくるだろう。

 また、近年ではSNSでファンの反応がリアルタイムで寄せられるようになったが、邦題を考える際にそうした反応の影響はあるのだろうか。「そういう意味では、そのまま原題を翻訳した邦題が増えた部分はあると思います。また、K-POPアイドルやスターなどファン層が厚い方が出ている作品はそれだけですごく原題が認知されているので、あまりにもわかりづらいタイトルでない限りは極力邦題も原題そのままのタイトルにしています」

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■『不汗党』が『名もなき野良犬の輪舞』という邦題になるまで

 『名もなき野良犬の輪舞』の場合、原題は“乱暴者”や“無頼漢”を意味する「不汗党」だが、そのまま「不汗党」とつけては日本の観客には意味がわからない。宣伝担当者は、今回邦題をつけるに至った経緯について「韓国映画はファンも多く、本国で公開された情報を知っている方も多いので、極力は原題である韓国語タイトルを翻訳したような邦題が多いです。しかし、今回の場合は『不汗党』を日本語で表現しづらく、英語版のタイトルである『The Merciless』をカタカナにしてもいまいち伝わらないので、邦題をつけることになりました」と説明した。

ポスターには邦題と共に『The Merciless』という文字も - (C)2017 CJ E&M CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED

 どこか『あるいは裏切りという名の犬』を彷彿させるような、長いタイトルになったのにも理由がある。そこには、ヨーロッパ系のハードボイルド映画が好きな層へ訴求したいという意図があった。

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 「韓国ノワールって『アシュラ』や『哀しき獣』『チェイサー』のようにもっとむごたらしく、ディープなエグさが面白い映画だと思うんです。ただ、本作はそういう風には描かれておらず、もっとスタイリッシュで、主人公の感情に沿った映画になっていて、いわゆる韓国ノワールとは少し違うのではないかという思いがありました。どちらかというと男同士の駆け引きや友情、絆が描かれた映画なので、韓国ノワールとは一線を画したハードボイルドとして売りたいなと思ったんです。そういった意味で、韓国映画というよりもヨーロッパ風の路線に近づけつつ、ハードボイルド寄りの題名にしたいなと思い、あえて文学的な長い題名にしました」

 その上で、物語に沿ったタイトルを考えていった結果、下の階級から成りあがっていく主人公たちを表した「名もなき」、劇中でも主人公を揶揄(やゆ)する言葉として出てくる「野良犬」、主人公たちが大きな組織の中で踊らされる運命にあることを意味した「輪舞(ロンド)」が組み合わさって同タイトルに決定した。「野良犬は、組織の中でアウトローな立ち位置にある主人公たちを表現したもので、ヤクザになりきれないような悪者たちという意味もあります」

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 さらに、邦題を考える際にはすでに上映劇場も決定しているので、時には劇場のカラーも加味してタイトルを考えていく。そうした要素を考慮しつつも、いつも基本にあるのは「題名を見て『こういう映画なんだ』とわかるような邦題」にするという心がけだ。こうして考え抜かれた邦題は、日本語タイトルの意味や、作品のターゲットとなる観客層に関する説明などと共に本国のチェックに出され、そこで認可を受けて正式に決定となる。『名もなき野良犬の輪舞』では、来日したビョン・ソンヒョン監督も邦題を気に入っていることを明かしていた。

映画『名もなき野良犬の輪舞(ロンド)』は5月5日より新宿武蔵野館ほか全国順次公開

固い絆で結ばれた男たち…ソル・ギョング×イム・シワン『名もなき野良犬の輪舞』予告編 » 動画の詳細
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