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佐藤浩市、映画『トカレフ』について大いに語る

佐藤浩市と阪本順治監督
佐藤浩市と阪本順治監督

 俳優の佐藤浩市が25日、大分県由布市湯布院公民館で開催中の第43回湯布院映画祭の特集上映「闘う男 九つの貌 佐藤浩市特集」シンポジウムで、熱狂的なファンを持つ1994年の映画『トカレフ』について語った。

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 佐藤浩市の映画出演作の中から選んだ作品を上映するこの特集。この日は『文学賞殺人事件 大いなる助走』『壬生義士伝』『トカレフ』の3本が上映された。そして『トカレフ』上映後にはシンポジウムが行われ、佐藤と一緒に、プロデューサーの椎井友紀子阪本順治監督が出席した。

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 阪本監督のデビュー作『どついたるねん』は公開当時、映画館ではなく原宿の特設テントで上映するという異色の上映スタイルが話題を集めた。それを「たまたま(父で俳優の)三國と一緒に観に行って」と振り返る佐藤は、「今考えると、あれがおやじと観た最後の映画かもしれない。そこにプロデューサーの荒戸源次郎さんと、阪本さんが常駐していて。三國が来たということで、あいさつをしていただいたことを覚えています」と述懐する。

 その後『トカレフ』で、二人は初タッグを組み、佐藤は主人公の息子を誘拐・殺害する男を演じた。阪本監督が「自分の中でもっとも挑戦的な作品」と語る通り、説明を極力排除し、観客を突き放した演出、乾いたバイオレンス描写などは公開当時、賛否両論を巻き起こした。

 その当時を「(同作の上映館だった)テアトル新宿の支配人と飲んでいる時に、その年のブービー賞だったと笑いながら言うんで、腹が立った」と阪本監督が振り返ると、椎井プロデューサーも「後にカルトな映画になった。この業界の中でも、『トカレフ』が大好きだという人がたくさん出てきた。だからその瞬間は最下位だったけど、もう一度スクリーンで観たい映画になったという意味でプロデューサーをやって良かった」としみじみ付け加えた。

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 この日、『トカレフ』を久々に観たという佐藤は、「この映画の台本は90ページもないくらいにそがれていたんで、みんなで作っていく毎日がしんどかった。でも家に帰ると、カミさんが『疲れたという顔がうれしそう』だと言うんで、じゃ、自分の中では納得できているんだろうなと思った」としみじみ述懐。そして撮影中には、佐藤に対して復讐の念にかられる主人公を演じた大和武士が、役に入り込みすぎ、撮影以外でも憎しみの感情をぶつけてきたこともあったそうで、それは佐藤が「俺のこと大嫌いなんですよ」と苦笑いするほどだったという。

湯布院映画祭

 そして今回の特集上映について「本当にいろいろな作品をやっていただいてありがたい」と感謝する佐藤。「ただ映画業界の大変さというか。フィルム自体が(廃棄されてしまい)現存しなくて、それで特集には見送られた映画もあった。『トカレフ』にしても全然どこにあるのかわからなかったところ、たまたま川崎の団体が所蔵していたフィルムがあったので、今回は上映できましたが、正直、状況は厳しいんです。子どもの頃に観た映画をもう一回スクリーンで観たいという思いが普通にかなうような。そういう風に国にも援助してもらえたらいいなと思っています」と呼びかけた。(取材・文:壬生智裕)

第43回湯布院映画祭は8月26日まで由布市の湯布院公民館にて開催中

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