ジョン・ファヴロー『アイアンマン』で学んだ哲学

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ジョン・ファヴロー「リスクを取ることは怖い。でもそれが一番ワクワクするところ」 - (C) 2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

 “超実写版”と銘打ち、アニメーションも実写も超えた映像体験を実現した『ライオン・キング』(公開中)。監督を務めたジョン・ファヴローが本作での挑戦をはじめ、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の1作目としてヒーロー映画の歴史に名を刻む『アイアンマン』(2008)や、変わりつつある現在の映画界について熱く語った。

未来の王、シンバよ…『ライオン・キング』予告【動画】

 アフリカのサバンナを舞台に、幼きライオンのシンバが王へと成長していく姿を描く『ライオン・キング』。1994年に公開されたアニメーション版は、世代や国境を超えて世界中の人々に親しまれてきたが、新たにファヴロー監督がメガホンを取った“超実写版”では、まさにスクリーンに入り込んだかのような映像体験が実現することに。

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 『ジャングル・ブック』(2016)でも最先端技術を駆使してディズニーの名作アニメーションを蘇らせたファヴロー監督だが、今回の『ライオン・キング』ではさらなる進化を達成。動物たちの毛並みなどの細部から、アフリカの壮大な景色にいたるまで、最新鋭の技術で実写と見まがうほどの映像が作り上げられている。果たして『ライオン・キング』のような新たな映像体験を可能にする作品は、映画の歴史にどのような変化をもたらすのだろうか?

 「今回、僕たちが『ライオン・キング』で新しい方法を生み出したことで、ほかの作り手たちが技術を利用できるようになり、より小さな規模の作品にも技術を応用することができるわけです。例えばストリーミングでいえば、(ファヴロー監督が製作総指揮を務める映画『スター・ウォーズ』の実写ドラマ)『ザ・マンダロリアン(原題) / The Mandalorian』のために応用していこうとしていますし、これが映画の未来の一つのかたちであると思います」

 ハリウッドのブロックバスター映画に携わりながら、同時に『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(2014)といったインディペンデントの作品や、Netflixのドキュメンタリー番組「ザ・シェフ・ショー ~だから料理は楽しい!~」を手掛けるなど、枠に囚われない作品づくりを続けるファヴロー監督。『ライオン・キング』での新たな技術への挑戦には「リスクを恐れない」という彼の哲学が垣間見える。それを支えるのが、メガホンを取った『アイアンマン』のときの成功体験だ。

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 「あの当時、すでにスーパーヒーロー映画は多すぎるんじゃないか? と言われていたんです。でも『アイアンマン』をきっかけに、今ではさまざまなかたちで、それぞれ違った方法によって作られていますよね。リスクを取ることはもちろん怖いことですが、それが一番ワクワクするところです。(日本に先んじて7月にアメリカなどの海外で公開された)『ライオン・キング』でも、観ていただいた方の意見が賛否で割れるのですが、これこそがよいサインなんです。新しいイノベーションであるということの証になるわけですから。まさに僕にとって『アイアンマン』のときがそうだったんですね」

 事実、批判的な前評判を覆すかたちで『アイアンマン』は大ヒットを記録し、単なるコミックの実写映画としてではなく、世界中で新たなファンを獲得することに。その後も、トニー・スターク/アイアンマンを演じたロバート・ダウニー・JrとともにMCUは躍進を続け、10年以上の年月をかけて数々のヒーロー映画が生み出されてきたことは周知のとおりだ。

 そんなファヴロー監督には、映画界の現在はどう見えているのか。「現在、映画業界は激しく変化していて、かつて映画館での上映のために作られた作品も、今ではストリーミングのために作られている時代です。劇場で観る作品が減り、逆にそうしたコンテンツが劇場公開されるケースも増えるでしょう。そして、新たなストーリーテリングの機会があって、例えばMCUのように複数の作品を通してさまざまな物語を綴ることも、ストリーミングでのリミテッドシリーズのようなスタイルも可能です。形式によって、どんな作品がどう作られるかは大きく変わってきています」

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 そんな状況に「ただ、僕自身は映画とともに育った人間なので、従来のような映画がなくなってしまうというのは、ちょっとガッカリすることでもあるんです。だからこそ、映画の歴史や文化を守るための方法を見つけないといけない」という。そのうえで「新しいストーリーテリングの方法やテクノロジーにオープンでもある方法も模索したい。『ライオン・キング』をたくさんの方が観にきてくれることで、さまざまな可能性が拓けるはずだと思っています」と力強く思いを口にした。(編集部・大内啓輔)

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