大友啓史監督、綾野剛と松田龍平を独特な一言で表現

新作映画『影裏』上映後、外国人記者とのQ&Aに登壇した大友啓史監督
新作映画『影裏』上映後、外国人記者とのQ&Aに登壇した大友啓史監督

 映画『るろうに剣心』シリーズなどで知られる大友啓史監督が4日、日本外国特派員協会で行われた新作映画『影裏』上映後のQ&Aに出席。外国人記者からの質問を通して、作品に出演している綾野剛松田龍平の俳優としての魅力や本作を制作した理由、今届ける意図について語った。

『影裏』ロングバージョン予告編

 本作は、沼田真佑の芥川賞受賞作を映画化。会社員の今野(綾野)が、同僚の日浅(松田)と釣りを通じて交流を深めるなか、突然日浅が失踪し、その行方を追ううちに日浅の知られざる顔が浮かびあがっていくさまを描く。大友監督が故郷である岩手県盛岡市を舞台にメガホンをとった。
 
 これまで多くのビッグバジェットのエンターテインメント作品を手掛けてきた大友監督に、外国人記者から「なぜ今、文学的な行間を読む繊細な作品を選んだのか」と質問が。大友監督は「東日本大震災のとき、故郷の盛岡のために何もできなかった。でもいつか盛岡に対して何かやりたいという思いが強く、ようやく今になって自分の会社も立ち上げることができ、いろいろな条件がそろい、この企画を進めることができたんです」と述べる。

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 さらに大友監督は「今年はオリンピックが東京で開催されますが、日本中が熱狂に包まれて、震災の記憶が忘れ去られてしまうかもしれないという思いもあった。僕自身もあの震災の思いを忘れてはいけない、作品を観てくれた方と共有したいという思いがあったんです」と続け、震災のとき「朝行ってきます」と出て行ったのに、帰って来られなかった人がいまだに多数いることに触れ「そういう声なき声を伝えていくべきじゃないのか」と作品に込めた思いを明かした。

 ヒーローでもなければ、何かを成し遂げた人物でもない。本作は、その土地で懸命に生きる人々にスポットを当てた作品でもある。そんな人物を演じたのが綾野と松田という、今の日本映画界になくてはならない二人だ。大友監督は「演出にはいろいろな方法がありますが、基本的に俳優というものは何かに寄り添いたくなるもの。でも今回はそれを一切与えなかった。もし解釈を与えてしまうと、面白くなくってしまう役」と本作での演出に触れると、「彼らはそんなことも察してくれた。ある種ドキュメンタリーを撮っているような。いい役者はセットを観察して衣装を用意すれば、それだけでこちらが伝えたいメッセージを理解してくれる」と意図を説明する。

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 綾野、松田の起用について、「原作を読んでいるときからメインの二人は決めていた」と大友監督。「綾野くんは、今野の持つ裏側にある感情を抑えながら真逆の表現ができる、“文学的”なまといを感じさせてくれる俳優。一方で松田くんは、ただ佇んでいるだけで瞬間性と永遠性を感じさせてくれる“映画的”なまといがある。この二人を猛烈に見たくなった」と二人の魅力を独特な表現で表しながらその理由を語った。

 昨年12月には、中国のリゾート地として知られる海南省・三亜市で行われた第2回海南(ハイナン)島国際映画祭(中国)に参加。「僕は小さいころから盛岡の町にいながら映画を通じて世界を旅することができました。テレビや配信とも違い、映画は音を浴び、映像を浴びる“体験”なんです。だからこそ映画にこだわりたい。さらに海外では作品が名刺代わりになる。海南はめちゃめちゃ楽しかった。この映画が海を越えて多くの人たちと出会うツールになれば」と映画の広がりに期待していた。(磯部正和)

映画『影裏』は2月14日より全国公開

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