『G.I.ジョー』ストームシャドー俳優、日本は大切な場所　現地撮影に感無量

　大ヒットアクション『G.I.ジョー』シリーズの第3弾となる映画『G.I.ジョー：漆黒のスネークアイズ』（10月22日全国公開）。機密部隊「G.I.ジョー」のなかでも屈指の人気を誇るスネークアイズのオリジンストーリーとなる本作で、宿敵ストームシャドーを演じたのが、日系イギリス人俳優のアンドリュー・コージ（アンドリュー・小路）だ。かつて日本でも仕事をしていたというアンドリューは、インタビューでも「お元気ですか？　始めましょう」と日本語であいさつ。日本で撮影した本作が、いかに特別な経験だったのかを語った。

木村昴ナレーション入り『G.I.ジョー：漆黒のスネークアイズ』予告編

　　「日本は大切な場所だよ。僕は半分、日本人だからね」と言うアンドリューは、「日本に戻って、姫路や大阪、東京、ワープステーション江戸（茨城にある野外型ロケ施設）で撮影できたのは素晴らしかった。本物の史跡で撮影できたことも特権だったよ。そういった場所で撮影するハリウッド映画はとても珍しいんだ。それと、日本の人たちと一緒に役を掘り下げ、仕事ができたことが、とても光栄だった」と振り返る。

　マーシャルアーツを学んだ後、『ワイルド・スピード EURO MISSION』にスタントとして参加し、舞台俳優としても経験を積んだアンドリューは、ブルース・リーの原案をドラマ化した「ウォリアー」（2019）で主役に抜擢され俳優としてブレイク。今回の　『G.I.ジョー』には、日本を代表するアクション監督の谷垣健治が参加しており、忍者を描くうえで、時代劇にも造詣が深い日本人と仕事ができたことを心から喜んでいた。

　　「ケンジはとても素敵な人。僕は、自分のキャラクターのためにも、ファンの子供たちのためにも、アジア人を表現するうえでも、良い仕事をしたかった。そして、ケンジも同じ様に感じていたんだ。タチマワリやチャンバラについて、とても経験がある人と仕事ができたことは本当に素晴らしかった。僕らは協力し合って、ストームシャドーを魅力的なものにしようとしたんだ」
　
　マーシャルアーツやアクションに長けているアンドリューだが、ストームシャドーの代名詞である二刀流をマスターするのは、かなり大変だったと振り返る。「ケンドー、チャンバラ、そして基本の斬り方なんかを学んだ。そして、多くの日本映画を観たんだ。僕はストームシャドーのことを、現代の宮本武蔵のような存在と見なした。だから、とにかく練習、練習だったよ。時間は限られていたけど、できるだけうまくなるように頑張った。でも、まだまだ学ぶことがあるよ」

　前作『G.I.ジョー　バック2リベンジ』（2012）では、イ・ビョンホンが演じていたストームシャドー。アンドリューは、人気キャラクターを受け継ぐプレッシャーを感じる以上に、役に自分らしさを持ち込むことを心がけたという。「ジョーカー、バットマン、スパイダーマンを演じることになった役者はみんな、それぞれ違う解釈を役に持ち込むよね。役にはさまざまな解釈があって、みんなに違った良さがある。僕にやれるのは、ベストを尽くして、できる限りその役を信じられるものにすること。リアリティーがあって、自分にとって意味のあるものにすることなんだ」
　
　真摯（しんし）にインタビューに応じる姿から、人柄の良さが伝わってくるアンドリュー。来年は、伊坂幸太郎の小説をブラッド・ピット主演で映画化するアクション大作『バレット・トレイン（原題） / Bullet Train』が公開予定だ。ハリウッドでメインを張れる数少ないアジア系俳優として、今後さらにブレイクするのは間違いないだろう。（細谷佳史／吉川優子：Yoshifumi Hosoya / Yuko Yoshikawa）