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横浜流星「あな番」で得た俳優としての武器!「柔軟さと視野が広がった」

横浜流星
横浜流星 - 撮影:尾藤能暢

 デビュー当時からストイックに俳優業に取り組み、作品ごとに丁寧に役に向き合ってきた横浜流星。積み上げてきた確かな演技力と、透明感あるルックスで、若手実力派俳優という地位を不動のものにしているが、2019年に放送されたドラマ「あなたの番です-反撃編-」の出演によって、俳優としてさらなる大きな気づきがあったという。ドラマを映画化した『あなたの番です 劇場版』(公開中)にも出演する横浜が、胸の内を明かした。

横浜流星、美しい&かっこいい!【フォトギャラリー】

ドラマとは別の世界線に「あまり出番がないのかなと思った(笑)」

 横浜が演じた二階堂忍は、ドラマの後半パート「反撃編」で登場し、西野七瀬ふんする殺人事件の黒幕・黒島沙和の恋人になるという役どころ。頭脳明晰だがコミュニケーション能力が低く、身体能力が高いという特徴を持ち、個性的な登場人物のなかでも人気が高いキャラクターだ。

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 映画の話を聞いたとき、横浜は「ドラマの終わり方がああいった形だったので、亡くなってしまった方も多いですが、新しい人も登場して続編という形になるんだろうな」と予想。

 しかし劇場版は、主人公である菜奈(原田知世)と、翔太(田中圭)が、マンション「キウンクエ蔵前」に引っ越してきて2年後、船上での二人の結婚パーティーにマンションの住民を招待するところから物語が始まる。ドラマ版とは異なった世界線上でストーリーが展開すると知ったとき、横浜は「二階堂は、前半戦でのできごとがあったからこそ『キウンクエ蔵前』に引っ越してきたので、僕はあまり出番がないのかなと思ったんです」と笑う。

 基本的なキャラクターの本質は変わらないが、周囲との関係性が微妙に変化することでチューニングも必要になる。「ドラマ版の二階堂は、翔太をはじめ、いろいろな人と出会って人間らしくなっていくのですが、劇場版では、2時間という尺のなかでそれを表現する必要があると思ったので、よりドラマ版よりも人間味という部分は意識して臨みました」

オリジナル連続ドラマだからこそ得られた芝居の気づき

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取材中、真摯に質問に答えていた横浜流星 - 撮影:尾藤能暢

 ドラマ放送時は、回を重ねるごとにSNSでの“犯人探し”の考察は熱を帯び、大きな話題になった。それは撮影中のキャストたちも同様だったようで「台本をもらうたびに控室で『どうなっていくんだろう?』という話は出ていました。プロデューサーさんに聞いたりすることもありましたが、わかり過ぎてしまうと、演じるときの新鮮さや衝撃がなくなるので、そのあたりはあまり情報を僕らに知らせないようにしてくれていました」と当時を振り返る。

 自身が演じるキャラクターの結末がわからないという経験は、横浜にとっても非常に新鮮だった。「最初に完成した台本をいただいて演じる。僕は映画のように終わりがわかっているうえで、どうやってゴールまで持っていこうか……と考える方がやりやすい部分はあります」と率直な胸の内を明かすと「これまでもドラマへの出演はありましたが、原作がある作品が多かったんです。でも『あなたの番です』は完全オリジナルストーリーで、台本も直前にいただくため、ほかの人たちとの関わり合いを含めて、自分の芝居が合っているのかという不安はすごくありました」と語る。

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 「以前から役者にとって柔軟さはすごく大事だなと思っていたのですが『あなたの番です』の現場では、瞬時に修正して臨機応変に対応する必要がありました。そういった部分はかなり鍛えられたと思います」

 またキャラクターをつかむうえでも、気づきがあった。「台本の展開によって、変化が求められるのですが、役の本質をしっかり把握していれば大丈夫なんだなということも感じることができました」と笑顔を見せると「これまでは『この役だとこんな行動はしない』とか『こういうセリフは言わないよな』と自分で判断してしまうことがあったんです。でももっと深いところで役の本質を考えれば、あまりそういった部分に捉われずにお芝居ができるなと。役への理解度という意味で、『あなたの番です』の現場を経験できたことで、視野が広くなった気がします」と語った。

ドラマオンエア中は大きな反響が「鋭い考察を話す人には、バレないようにするのが大変」

 多くのことを得られた「あなたの番です」。これまでも印象に残る作品に数々出演してきているが「とてもすてきな運に恵まれています」としみじみ。

 「僕は、ドラマ『初めて恋をした日に読む話』で、多くの人に知ってもらえたのですが、その後に『あなたの番です』に出会い『はじこい』とは全然違うキャラクターをやらせてもらえたことで、さらに多くの人に知ってもらえました。『あな番』の反響はすごく、本当にたくさんの方々から『観たよ』と声を掛けていただけました。どんな作品でも一生懸命がむしゃらに取り組むことは変わらないのですが、やはり観ていただいた方から反響があると、嬉しいものです」

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 ドラマのオンエア中は横浜にもさまざまな声が届いた。「あまりSNSに詳しくないので、考察などはリアルタイムでは確認できなかったのですが、メイクさんをはじめとする関係者の方々から『どうなっているの?』『犯人誰なの?』と声を掛けていただくことが多かったです。特に鋭い考察をされている方などには、どうにかしてバレないようにしないと……と真顔でいることも大変でした(笑)」

素顔の横浜流星も追求能力が高い!?

 つかみどころがないものの愛されキャラの二階堂。横浜と共通する部分はあるのだろうか。「追求心みたいなことは僕にもあるかもしれません」と照れくさそうに語ると「あとはコミュニケーション能力が低いところも似ています」と意外な発言を。

 インタビューやイベントなどでのほかのキャストとのやり取りを見ているとコミュニケーション能力は高そうに感じるが「結構低いんです。少し仲良くなれたら全然大丈夫なのですが、最初の入りが苦手なんですよね」と苦笑い。続けて「あとは二階堂って、劇中でも『黒島の匂いは大丈夫』というシーンもありますが、匂いに敏感じゃないですか。僕も結構匂いフェチなので、そういうところは共通していますね」と明かす。

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 長きに渡って演じてきた二階堂。横浜自身「役を引きずってしまうタイプ」と述べると「本当はスパっと切り替えていかなければいけないのですが、結構私生活にも役を引きずってしまうし、逆に余韻に浸っていたいという思いもあるんです。そこはまだ意識が足りていないと思うので、しっかり切り替えられるようにしていきたいです」と課題を挙げる。

 「サスペンスですが、みんなが楽しみながら作品を作っている現場でした」と撮影を振り返った横浜。座長の田中、原田、そして劇中対峙することが多かった西野らをはじめ、魅力的なキャストたちと作り上げた『あなたの番です 劇場版』。謎解きの部分はもちろんだが、それぞれのキャラクターたちの背景にある“おかしみ”にも注目だ。(取材・文:磯部正和)

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