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「カムカムエヴリバディ」脚本・藤本有紀が魅せる驚きの遊び心

算太(濱田岳)を抱きしめる美都里(YOU)、それを見つめる安子(上白石萌音)
算太(濱田岳)を抱きしめる美都里(YOU)、それを見つめる安子(上白石萌音) - (C) NHK

 現在放送中の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」が第7週に突入。上白石萌音がヒロインを演じる岡山編も終わりが近づくなか、一瞬たりとも飽きさせない驚きの展開も好評を博している。脚本を担当している藤本有紀の作劇について、制作統括を務める堀之内礼二郎チーフ・プロデューサーが魅力を明かした。

藤本ワールドの想像力を支える濱田岳…第32回【写真5枚】

 連続テレビ小説の105作目にあたる「カムカムエヴリバディ」は、岡山・大阪・京都を舞台に、昭和から令和にかけての時代にラジオ英語講座とともに歩んだ祖母・母・娘の3世代親子を100年にわたって描くファミリーストーリー。“朝ドラ”としては初めて3人のヒロインが登場し、上白石萌音、深津絵里川栄李奈がリレーを繋いでいくことになる。

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 大河ドラマ「平清盛」や木曜時代劇「ちかえもん」の脚本を手掛けるなどNHKとは縁も深い藤本。朝ドラとしては2007年度後期に放送された「ちりとてちん」に続く脚本執筆となった。貫地谷しほりがヒロインを演じた「ちりとてちん」では、従来のイメージを裏切るような新鮮なヒロイン像をはじめ、その物語の構成やキャラクターの設定に、作品のモチーフになっている上方落語の内容を取り入れた作劇などが大きな話題を呼んだ。

 「カムカムエヴリバディ」でも“藤本ワールド”というべき驚きの展開が繰り広げられている。例えば、安子の兄である算太(濱田岳)がダンスホールでの武勇伝を語ると、場面がミュージカルシーンのようになったり、安子と稔がデートしたときに銀幕の大スターである桃山剣之介(尾上菊之助)がチャンバラを見せたりと、心躍る仕掛けが視聴者を楽しませている。そして、幻の算太が金太(甲本雅裕)のもとへと帰ってくるシーンは、多くの人々の涙を誘った。

 こうした藤本の脚本家としての遊び心について、堀之内は「藤本さんの脚本は物語全体の構想も大きいのですが、小ネタも豊富。すごく小さなことから発想が広がったり、一方で、小ネタを生かすために全体の構想が用意されていたり。そうした仕掛けをいかに自然に、そして面白く見せるかというアイデアがとても上質で、それらを次々に生み出す藤本さんは本当にすごいと思います」と絶賛する。

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 第7週では、戦地へ赴いていた算太がみんなのもとへ帰ってくるという感動的な展開を迎えたが、ここでも藤本の腕が光る。戦地にいた算太が終戦を迎えたときの様子がサイレント映画のように再現されるシーンも。空腹を覚えた算太がおはぎの幻覚を追いかけていくと、そこにいた憧れのチャップリンがおり、タップダンスを繰り広げることに。「クリスマスに算太がやって来ました」というナレーションも、藤本には当初から名前にはクリスマスのイメージがあったということで「ひそかにあたためられてきたものだったんじゃないかなと思います」と明かす。

 算太を演じる濱田が出演したドラマ「心の傷を癒すということ」のプロデューサーも担当していた堀之内。その演技については「コメディーも感動ものもできる、一つ一つの芝居を積み重ねていく役者としての強さがあって、本当に天才的」と称賛の言葉を惜しまない。第7週の展開についても「安子から算太が不在のときの報告を聞いて「いっぺんに多すぎるじゃろう」と笑いに転化するところや、千吉(段田安則)や勇(村上虹郎)に対して偽悪的に振る舞ってしまう加減も絶妙です。最後はずっと会って謝りたいと思っていたのにそれが叶えられなかった算太の悲しみに泣かされて…、まさに“濱田岳劇場”という感じでしたよね」

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 続けて「人間として弱かったり、正しい人ではなかったりするキャラクターでも、濱田さんが演じると多くの方が共感できる人物になる。台本で読んで、実際にどこまで表現できるかなというのが心配になるときも、完成したものは想像を超えてくる。ダンスのシーンをお願いした時は濱田さんから『もしリズム感が悪かったらどうするつもりだったの?』と言われて、笑い合っていました。でも、濱田さんを良く知る僕らスタッフの中には『濱田さんならきっとできるだろう』という確信のような感覚があって、実際に素晴らしいシーンが出来上がりました」という。

 まもなく岡山編も終わりを迎えるが、安子や勇、雪衣(岡田結実)、ロバート・ローズウッド(村雨辰剛)、そして算太たちの関係はどのような結末を観るのか? “藤本ワールド”がさく裂するストーリーの行方に目が離せない。

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