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272キロの男の救済描く『ザ・ホエール』主演俳優を最も苦しめたシーンとは

オスカー俳優となったブレンダン・フレイザー
オスカー俳優となったブレンダン・フレイザー - (c) courtesy of A24

 映画『ザ・ホエール』で第95回アカデミー賞主演男優賞に輝いたブレンダン・フレイザー(『ハムナプトラ』シリーズ)が来日し、撮影にあたって最も苦しめられたシーンを明かした。

【動画】ブレンダン・フレイザーの現在の姿!単独インタビュー

 本作は、『マザー!』(2017)以来となるダーレン・アロノフスキー監督作。劇作家サミュエル・D・ハンターが2012年に発表した同名舞台劇を基に、ゲイの恋人を選んで家族を捨て、その恋人の死後、贖罪するかのように暴飲暴食を繰り返して体重272キロとなったチャーリーの姿を描く。死期を悟ったチャーリーは疎遠になっていた娘(セイディー・シンク)を部屋に呼び寄せるが、娘は彼に対して大きな怒りを抱えていて……。

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 極度の肥満症のチャーリーを体現すべく、ブレンダンは約40日の撮影期間中、毎回4時間かけて特殊メイクとファットスーツをまとった。自力で動くことすらままならないチャーリーを主人公にした本作は、ほぼ彼の部屋のみで展開するため、観客の心をつかめるかどうかは俳優の演技にかかっている。そしてチャーリーは、肉体的な制限が多いだけでなく、自らのもろさまでさらけ出すことが要求される難役といえる。

 最も苦しんだシーンとしてブレンダンが挙げたのは、映画のラストだ。「チャーリーが辿るのは救済の旅路。もし娘にエッセイを読ませることができたなら、彼は救われると思っている。彼女はもちろん抵抗する。彼にとても傷つけられ、怒っているからね。あの最高潮の部分へと上り詰めるのが、この映画で僕にとって最も困難なことだった」

 「そのシーンを撮るとなった時、僕は特殊メイクにファットスーツをまとい、疲れ果てていた。この役のためにできることは全てやったんだ。チャーリーも疲れ果て、病気で、身体面に問題を抱えていたから。それを自分にも課した。だが、僕はその時、チャーリーではなく、ブレンダンそのものになってしまった。とても疲れていて、まるで車のアクセルを踏んでいるのに、どこにも進めないような感じだったんだ」

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 ブレンダンの苦しみを感じ取り、撮影を止めたのがアロノフスキー監督だ。「ダーレンは『明日またやってみよう』と言ったんだ。僕は自分がしくじってしまったと思ったよ。そうしたら彼は『違うよ。僕はただこの映画を、君の演技を守っているだけなんだ』と言ってくれた。監督からこんな寛大さを示してもらえたのは初めてかもしれない。そして少し寝て自分を取り戻したら、次の日はちゃんと演じられたよ。それが一番大変なシーンだった。体力的にというより、感情的にきつかったね(笑)」

 そんなフレイザーの渾身の演技はまさに涙なしでは観られないもの。オスカー受賞も納得の壮絶な名演となっている。(編集部・市川遥)

映画『ザ・ホエール』は公開中

ブレンダン・フレイザー、272キロの男をどう演じた?『ザ・ホエール』インタビュー » 動画の詳細
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