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「どうする家康」信長が光秀にキレた本当の理由 演出統括・加藤拓、饗応シーンの裏側明かす

第27回「安土城の決闘」より明智光秀(酒向芳)を滅多打ちにする織田信長(岡田准一)
第27回「安土城の決闘」より明智光秀(酒向芳)を滅多打ちにする織田信長(岡田准一) - (C)NHK

 松本潤主演の大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜、NHK総合夜8時~ほか)の演出統括を務める加藤拓が、16日放送の第27回「安土城の決闘」で描かれた、織田信長(岡田准一)と明智光秀(酒向芳)の“饗応の宴”の裏側について語った。

【画像】信長が光秀を滅多打ち!緊迫の饗応シーン

 近年では大河ドラマ「麒麟がくる」(2020~2021)や映画『レジェンド&バタフライ』(2023)など、多くのドラマや映画で登場した、信長が光秀に激高し、滅多打ちにするエピソード。信長が光秀にキレる理由は作品によって解釈が異なるが、「どうする家康」では「コンフィデンスマンJP」シリーズなどの古沢良太が脚本を手掛け、松本演じる徳川家康の思惑が絡んだ展開となった。光秀は宴で家康に毒を盛ることもできると信長に提案。一方、家康は本能寺で信長を討つ決意を固め、その計画に邪魔になりそうな光秀を信長から遠ざけるために光秀が用意した膳の鯉のにおいに反応。華やかな宴の場が地獄と化していく。

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 台本でこの展開を目にしたときの印象を、加藤監督はこう語る。「古沢さんらしいというか、とっても面白いですよね。通例では信長の暴走と、それについていけない光秀のフラストレーションが最も高まったところで信長が光秀を殴り倒す……という展開が多いですが、今回は家康が織田家中の亀裂と見てとる場面というふうに描かれている。瀬名(有村架純)を失った家康が信長と対峙し、信長を超えようとしていく。本能寺で信長を討つ戦略を立てた家康が、明智を追い払う一つの手段として仕掛けたということになってるんですよね。家臣団も、殿がどこで仕掛けるのかとその一挙手一投足から目が離せない。光秀は、大河ドラマや時代小説などで非常に頭の切れる策士として知られていますが、今回は彼の上を行く家康を饗応の宴で描いたのが面白いところで。古沢さんの筆が冴えたひと幕だったと思います」

「私は何も……」必死に弁明する光秀だが……

 演出面においては、岡田准一演じる信長の怒りがどこでピークを迎えるのか。そのグラデーションを重視したという。加藤監督は、信長が光秀に対して腹を立てた本当の理由は料理に落ち度があったことではなく、咎められた光秀が信長に発したある言葉だったと話す。

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 「光秀は信長に打たれながら『私は何も細工は。上様のお申しつけ通り、私はなにも』って言うんですよね。つまり、それは信長と光秀の間でこの宴に関する何らかの密談があったことを露呈したことになる。信長にしてみれば“お前、それをここで言うのか”と。自分が決して見せない裏の段取りみたいなものを光秀という言わば格下の人間によってさらされてしまった。一方、その狼狽する信長から、三河の家臣団たちが信長という絶対的なカリスマを殿(家康)が越えていこうとする瞬間と見て取る。そういった構図にしたかったので、岡田さんには光秀のその一言をピークにしていただきたいとお伝えしました」

幸若舞を取り入れた饗応の宴

 ところで、饗応の宴では信長が愛したとされる芸能「幸若舞(こうわかまい)」を、小姓たちが舞い踊るシーンが盛り込まれた。当初は予定になかったシーンだったというが、この舞を取り入れた理由について「『人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり』の一説で知られる舞ですよね。饗応の宴というからには何か出し物があるだろうということで芸能考証の友吉鶴心先生にご相談したところ、幸若舞に決まりました」と加藤監督。

 「ちなみに、これまで饗応の宴は安土城の室内で行われることが多かったですが、今回は天守があって、その周りに御殿があり、奥に天守閣が見える構造になっています。これはバーチャルプロダクションの一つの手法なんですけど、ある種清水の舞台のような華やかさをプラスして、そこに渦巻く人間模様を描けたのは良かったかなって思います」とセットの裏側を明かした。(編集部・石井百合子)

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