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井上雄彦監督、映画『スラムダンク』公開前に内容明かさなかった理由を告白

中央にいるのが井上雄彦監督!(左から、三宅健太、神尾晋一郎、仲村宗悟、井上雄彦監督、笠間淳、木村昴)
中央にいるのが井上雄彦監督!(左から、三宅健太、神尾晋一郎、仲村宗悟、井上雄彦監督、笠間淳、木村昴)

 井上雄彦監督が15日、アニメーション映画『THE FIRST SLAM DUNK』のトークイベント“COURT SIDE in THEATER FINAL”に登壇し、本作の公開前に内容をほとんど明かさなかった宣伝について思いを語った。この日は仲村宗悟(宮城リョータ役)、笠間淳(三井寿役)、神尾晋一郎(流川楓役)、木村昴(桜木花道役)、三宅健太(赤木剛憲役)ら声優陣も登壇した。

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 1990年から1996年にかけて「週刊少年ジャンプ」で連載された人気バスケ漫画を、原作者・井上の監督・脚本で映像化した本作。ポイントガード・宮城リョータの物語を軸に、湘北高校バスケ部と絶対王者・山王工業高校の攻防を描く。昨年の12月3日に公開され、現在まで興収150億円を突破するロングランヒットを記録している本作だが、8月31日に終映することが決まっている。

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 原作コミックやアニメでは、桜木花道が主役となっていたが、本作では湘北高校バスケ部のチームメート、宮城リョータが主人公となっている。映画公開後、「リョータの設定はいつから決まっていたの?」という声が多く寄せられていたというが、それには「すべてはマンガ連載の時から決まっていましたよ」と返し、会場は大喝采。しかしそれは井上監督のジョークだったようで、すかさず先ほどのコメントがジョークであると訂正しつつも、「そこまで(最初から決めていた)とは言えないですが、沖縄出身であるということは決めていました。宮城というのは沖縄に多い名字なので。あと小さくて素早いというのは、わりと沖縄のバスケの特徴でもあるので。沖縄にバックボーンがあるというのは、連載時から決めていました」とコメントした。

 そして家族の設定に関しては「パラレルな設定なんですが、リョータっぽい人が出てくる『ピアス』という読み切りを描いた辺りでは、なんとなく家族の感じはぼんやりあったかもしれない」と明かした井上監督。その上でキャラクターの背景について「例えば初対面の人に『あなたの家庭ってどうなってるんですか?』なんて聞かないじゃないですか。キャラクターというのもそうで、最初は表面に出ている部分しか描けなくて。でも付き合いが長くなってから『お前って実はどういうヤツなの?』という感じで、相手のことを知っていくという感じがあるんですよ。宮城に関しては、連載中になかなかそういう機会がなかったということですね」と明かした。

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 そして最後のメッセージを求められた井上監督は、「言いたいことはたくさんあるんですが、口下手なんで」と前置きしつつも、「『SLAM DUNK』(スラムダンク)というマンガが最初にあって、今回の映画があるわけですが、この映画も『SLAM DUNK』という名前のついた、同じ幹から生えたもう1本の木のような感じで捉えています」とコメント。

 さらに「何かものをつくるときって、予定調和なことはあまりやりたくない。人生は短いんで、ただなぞるだけとか、移し替えるとか、そういうことにはあまりそそられないというか。それでこの映画も、ちょっと違う感じのものになったかなと思います」と自負した井上監督。本作は、前情報がほとんどない状態で劇場公開されたが、そのことについて「(映画の内容が)山王工業戦だということはずっと言ってこなかった。それでいろいろとご心配をおかけしたかもしれないです。でも人にプレゼントを贈る時って、包装をするじゃないですか。中身はこれですと言いながら渡すのってワクワクしないですよね。そういう理由で山王工業戦だというのは言いたくなかったし、言ってこなかった」と理由を明かした。

 それは漫画家としての思いとも重なるそうで、「自分が漫画家として何を大事にしているかというと、ページをめくるという行為。めくった先に何が飛び込んでくるか、ということで驚いてほしい、ワクワクしてほしい。喜んでほしい。そういう気持ちが根っこにあるんです」とコメント。それゆえに「だから映画館に来てもらって、何があるのかわからないけど、来てみたらこうだったみたいなことで。ページをめくったさきにあるものみたいにワーッと驚いてほしいし、驚いてくれたらこっちもうれしいという気持ちで、ずっとつくってきました」と自身が大切にしているポリシーを語った。

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 そしてあらためて観客に向けて「こんなにもたくさんの方に観ていただいて。しかも何回も観てくださる人もいるみたいで、本当にありがたいなと思っています。(作品は人に)伝わって完成すると言いますけど、なんだかだんだん完成しつつあるのかな、という感じがします。ありがとうございます」とメッセージを送ると、会場からは万雷の拍手が鳴り響いた。

 今回のイベントの模様は、一部の劇場で全国同時生中継されたが、参加できなかった人のために、「ラストゲーム」と称した8/25から8/31の7日間限定で、今回のイベントの模様を収録・編集した映像(20~30分予定)付きの特別上映が、全国の劇場で実施される予定だ。(取材・文:壬生智裕)

映画『THE FIRST SLAM DUNK』は公開中

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