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「どうする家康」平平コンビ、最期の会話の裏側 演出・村橋直樹が山田裕貴&杉野遥亮との絆明かす

第44回「徳川幕府誕生」より榊原康政(杉野遥亮)&本多忠勝(山田裕貴)
第44回「徳川幕府誕生」より榊原康政(杉野遥亮)&本多忠勝(山田裕貴) - (C)NHK

 松本潤が徳川家康役で主演を務める大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜夜8時~NHK総合ほか)の第44回(11月19日放送)で反響を呼んだ、山田裕貴演じる猛将・本多忠勝(平八郎)と杉野遥亮演じる知将・榊原康政(小平太)の手合わせシーン、そして最期の会話の裏側を、演出の村橋直樹が明かした。

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 『コンフィデンスマンJP』シリーズなどでテンポの良い会話劇と伏線回収に定評のある古沢良太が、三河の田舎大名だった家康(松本)がのちに徳川幕府を開くまでを等身大で描く本作。忠勝と康政は、「徳川四天王」と呼ばれる側近として重用された家臣。忠勝は戦国最強武将の一人で男気溢れる熱血漢、康政は文武に優れマイペースでひねくれた性格と対照的に描かれた。劇中、2人で動くことが多いことから“平平コンビ”の愛称で人気を博した。

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 第44回「徳川幕府誕生」は、家康が征夷大将軍となり徳川幕府を開く記念すべき回である一方、長年家康を支え続けていた平八郎と小平太の晩年が描かれ、二人のまだまだ殿に仕えたい思いと、抗えぬ老いとの板挟みに苦しむさまが涙を誘った。とりわけ反響を呼んだのが、自身の死期を悟った小平太が平八郎を訪ねた際、平八郎がそれを受け入れられず槍を交えるシーン。長槍を手に戦う二人の姿は若かりし日のように生き生きとしており、そこにオープニングテーマ曲が重なると、SNSでは涙腺決壊の声が続々上がった。

 「今は医療技術も発達して、人は段階を経て死を迎えることが多いですが、当時は死が唐突に訪れたんですよね。『朝には紅顔ありて夕べには白骨となる』っていう言葉がありますけど、武士は戦で死にますし、本当にあっけなく命が失われていった時代。自分の家族とか、昨日まで元気だった人が突然死ぬことだってあった。だから平八郎も小平太も、きっと人生の絶頂期で死んでしまったのではないかと。“まだ俺たちには生き場がある”“まだ死ねないよ”と失意の中、死んでいった。そんな表現にしたくて盛り上がる曲をつけた感じです。あれは音響効果スタッフが意図を汲んでつけてくれたんですけど、“こういうことだよね”と腑に落ちましたし、テーマ曲の力も借りていいシーンになったと思います」

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第44回より榊原康政&本多忠勝の手合わせのシーン

 手合わせの中で、勢い余って平八郎の槍が折れる場面があったが、これは偶然の出来事だったと言い、老いゆえの結果だともいう。

 「本当に偶然折れたんです。ただ、力を表現したわけではなく、腕が落ちているということを表しています。山田くんは殺陣がめちゃくちゃうまかったんですけど、平八郎はもう目が見えていないので、無理やり相手を受け止めたことでああいう形で折れた。昔すごく怖かった先輩と数十年ぶりに会った時に、すごく丸くなっていたみたいな話ですよね。あんなに戦場を駆け回っていた二人が……という哀愁を出せたらと。特に平八郎は おっかなびっくり戦っているようなニュアンスは出したいと思っていました。だから音楽は派手にしていますけど、槍と槍がぶつかる音などはあえて、ちょっとカラッとした少し哀しい音にしています」

 対決を終えた二人はその後、家康について“いつから主君と認めていたのか”と昔話を始める流れになり、忠勝が初回から家康に対して度々口にしていた「おぬしを主君と認めぬ」という言葉が回収されることとなるが、この場面は撮影時に現場で追加したものだったという。その経緯について村橋は「二人が大樹寺(第2回)での記憶を思い出すところは、槍を交わすシーンの流れで、追加で撮らせてもらいました。序盤から家康を支えた四天王の2人が退場していくことと、家康がこれから一人であと1か月分、戦っていかなきゃいけないんだっていうことの、“三人の終わり=最終章の始まり”という台本に表現されている意味合いを印象づけるために、家康・忠勝・康政の原点を感じる瞬間が必要だと思ったので」と語る。

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 ここで二人が家康を主君として認めた時期がまったく同じだったことが判明する。しかも、段階を経たわけではなく、第2回で家康が大樹寺の門を開き、松平昌久(角田晃広)に宣戦布告し、家臣たちに“そなたたちのことはわしが守る!”と言い放った瞬間に認めていたというものだった。

 「実は、僕と山田くん、杉野くんの間では2回を撮る時に“どこで殿を認める?”といった話はしていたんです。まだ台本は先々までないから、この先に家康を認めるシーンが出てくる可能性だってあったんですけど、“もうここで認めたことにしよう”と。たとえ先の台本にそういった場面が出てきたとしても、“元々認めていたけど、形上は今ここで認めた”とするとかやりようがあるだろうと。二人が早々に殿を認めていた事実を最後に形にしたい思いがありました。序盤でもう認めてたんだよねっていうのは熱い話だから。人間ってそういうものじゃないですか。生きていくなかで、この瞬間にこの人を好きになったんだとか自覚しないものですよね。思い返せば、みたいなことでしかない。それだけに、恋に落ちた瞬間みたいなことはドラマならではの表現。あと、男が男に惚れるみたいな世界も時代劇だからこそ描くことができるものですし」

 そう第2回での撮影を懐かしそうに思い返しながら、「(平八郎と小平太が殿を認める)あの瞬間は僕と山田くん、杉野くんがずっと大事にしてきたもので、僕と2人の総決算をやらせていただいた感じです」と晴れやかな表情を見せていた。(取材・文 編集部・石井百合子)

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