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松村北斗の「ションボリするシーンが素敵」 『ファーストキス 1ST KISS』塚原あゆ子監督が魅力語る

映画『ファーストキス 1ST KISS』より駈(松村北斗)
映画『ファーストキス 1ST KISS』より駈(松村北斗) - (C) 2025「1ST KISS」製作委員会

 映画『ラストマイル』、『グランメゾン・パリ』(いずれも2024)と立て続けにヒットを飛ばす塚原あゆ子監督の新作は、ドラマ「カルテット」(2017)や映画『花束みたいな恋をした』(2021)などの人気脚本家・坂元裕二によるタイムトラベルを題材にしたラブストーリー。公開中の映画『ファーストキス 1ST KISS』で主演の松たか子と同じく初タッグを組んだ松村北斗SixTONES)の俳優としての魅力を語った(※一部ネタバレあり)。

【動画】松村北斗がハプニング!朝食のシーンメイキング映像

 主人公は、結婚15年目を迎え、夫婦仲が冷え切った状況下で突如夫の駈(松村)を事故で亡くした舞台美術家の硯(すずり)カンナ(松)。第二の人生を歩もうとしていた矢先、タイムトラベルする術を手に入れたカンナは、夫と出会う前の過去に遡り再び恋に落ち、夫を死から救う決意をする。

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 年下の夫・駈を演じるのは、アイドルグループ・SixTONESのメンバーとして人気を博す一方、新海誠監督のアニメーション映画『すずめの戸締まり』(2022・声の出演)や、今年の映画賞を席巻する『夜明けのすべて』(2024)などで俳優として頭角をあらわす松村。塚原監督は、本作で組んだ松村の印象をこう語る。

 「撮影に入る前に松さん、松村さんいずれも過去作を拝見しましたが、松村さんは苦労することなくさらりとこなしているようなイメージで、きっと器用な方なんだろうなと思っていました。実際にご一緒すると、撮影したシーンをモニターで確認されていたり、“大丈夫でしたか?”と聞きにこられたりする姿を見て、自分に厳しい方なんだろうなとお見受けしました」

8年前にタイムトラベルしたカンナ(松たか子)は駈(松村北斗)と再び恋に落ちる……

 駈は、かつては古生物学者だった設定。20代のころの駈は、ハルキゲニアという知る人ぞ知る葉足生物をこよなく愛し、話し出すと止まらなくなるオタク。犬たちにもみくちゃにされるカンナに「喜んでますか~? 苦しんでますか~?」と独特な表現で言葉をかけるあたり、かなり“天然”だ。カンナと結婚後、生活のために研究者の道をあきらめた彼は、慣れない会社員生活の中で気力を失っていく。そんな松村の加齢表現については脚本の坂元も「お芝居の力はすごいなと思った。CGを超えたものを見せてもらえた気がしました」とイベントで評していたが、塚原監督はどう感じたのか。

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 「(40代は)声を低くされているような印象でした。後で声録りをしたときにはその時の声の質には戻らなかったので編集していますけど、肉襦袢をつけて老けメイクをするとおのずとそうなるんでしょうね。立ち座りですとか、お腹が出て動作が鈍くなったりする感じも、とても自然に演じられていました。松さんの20代は見たことがあるわけですが、松村さんに関しては将来どんな姿になるのかわからないので、“男性は腰周りに肉がついてくるよね”とか“下がってくるよね”とか手探りでした。ファンの方から“絶対こんな風にならないわよ”と怒りをかわないように戦々恐々と臨んでいました」

ロープウェイにてカンナと駈

 駈を描くにあたって重要になったアイテムが、メガネのフレーム。塚原監督は「眼鏡のディテールは人を表しやすい。縁があるのかないのか、銀なのか、金なのか、セルなのか。フレームによって印象が全然違ってくる」とみている。

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 「駈が宙に手を伸ばすんだけど何も掴めない、というショットを複数入れていて。例えばロープウェイでの夕陽のシーンや、別人格の駈がベッドから起きる時だったり。その時にどうしても横顔になるんですよね。その時に、横から見るとメガネを介してちょっとだけ目が見えるという風にしたかった。カンナが見た駈の像が変わっていくのですが、最後の方ではなるべく彼の心の中をもう少し近く感じられるようにしたい意図がありました」

 特に惹かれた松村のシーンについては、過去にタイムトラベルしたカンナがとある理由から駈を傷つけ、突き放そうとする並木道のシーンを挙げる。

 「駈がカンナに“好きじゃない人に好きって言われるのが1番嫌なんです”って言われた時のリアクションが、非常に揺らぎながら出てくるお芝居になっていて。最後まで相手の言葉を聞かなくてもフラれるとわかってしまう時ってありますよね。断られそうだ、風向き悪いなっていうのを察知して、どんどんしょんぼりしていく。フラれそう、からフラれたまでの過程が台本上よりも緩やかに表現されていてすごく素敵だったなって。現場でも感じましたし、編集で繋いでいるときにもあらためて素敵だなと思いました」

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 なお、先ごろ松と松村のメイキング映像が東宝のYouTubeチャンネルで公開。カンナと駈が朝食をとる場面で、松村の割った卵がテーブルの上にすべり落ちてしまうハプニングを捉えたものだったが、その後もカメラを止めなかったため、松と松村がアドリブで芝居を続けユーモアたっぷりのやりとりが展開された。塚原監督は本映像に限らず、カメラを止めないことはしばしばあると語る。

 「ハプニングであっても部分的に使うこともできるじゃないですか。ハプニングが起きたことで、お二人が砕けた表情で“いただきます”と言うかもしれない、そこまでは見ようと思ったのかもしれません。お互いに使われないだろうと思いながら言った“いただきます”が、芝居を超えたリアリティーが出ていたりもするので、ハプニングがあった時は基本的に使う気で最後まで見ます。だって毎日一緒にご飯を食べていたら失敗もしますよね? 卵で手がベトベトになった状態で食べるっていうのもアリだと思うし、そういう“あるある”が現場で生まれたのであれば、余すところなく欲張ってみたいと思うんです」

 同シーンがどこで見られるのかは劇場でのお楽しみ。(編集部・石井百合子)

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