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人物デザイン監修・柘植伊佐夫、井浦新と大河ドラマに続き“呪い”描く映画でタッグ

井浦新演じる田宮
井浦新演じる田宮 - (C) 2025「岸辺露伴は動かない 懺悔室」製作委員会 (C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

 荒木飛呂彦の人気コミック「ジョジョの奇妙な冒険」のスピンオフ「岸辺露伴は動かない」を高橋一生主演で実写化するシリーズの映画第2弾『岸辺露伴は動かない 懺悔室』(公開中)で、原作から大幅にアレンジされているのが井浦新演じる田宮。衣装のモチーフになったのが、なんとベルギーのシュルレアリスム画家、ルネ・マグリットの「人の子」。その裏側、井浦との長きにわたる縁について人物デザイン監修の柘植伊佐夫が語った。

【動画】井浦新の衣装はマグリットから着想!柘植伊佐夫が語る

 相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊能力“ヘブンズ・ドアー”を備えた人気漫画家・岸辺露伴。2023年5月に公開された『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』以来2年ぶりの新作映画は、イタリア・ベネチアが舞台。漫画「岸辺露伴は動かない」の1話目「懺悔室」を原作に、岸辺露伴(高橋)が取材旅行に訪れたベネチアで遭遇する奇妙な事件を描く。物語は、ベネチアの教会を訪れた露伴が誤って懺悔室に入り、田宮から彼の犯した過ち、恐ろしい体験を聞かされるところから始まる。

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 人物デザイン監修とは柘植独特の肩書きで、衣装のデザインのみならずヘアメイク、アクセサリーなど身に着けるものすべてをトータルでコーディネートするもの。柘植は2020年から2024年にかけて放送されたドラマ4期、計9エピソードに加え、2023年5月に公開された映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』に続き、5年にわたってシリーズに参加している。彼の描いた田宮のデザイン画には「ルネ・マグリットの『人の子』のような」との書き込みがある。「人の子」は曇り空と海を背景に、黒の山高帽、黒コートをまとった男性が描かれ、男性の顔は青りんごで隠されている。田宮も同じ扮装で、原作とはガラリと異なるデザインとなっている。
 
 「どちらかというと、新さんをマグリットにはめようということではなく、新さんを見て直感でマグリットにしたいと思った感じです。その理由は自分でもわからないのですが、新さんの佇まいが絵の雰囲気にドンピシャだと思ったんです。表象的には新さんのお顔の小ささや、身長の高さ、縦長感、ジェントルな雰囲気、それから揺らぎみたいなことですね。彼が『ジョジョの奇妙な冒険』の大ファンであるという背景をまとっていたことも影響したかもしれません」

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柘植伊佐夫が描いた田宮のデザイン画

 さらに、マグリットの作品のコンセプトが『懺悔室』のテーマと通じるとの考えもあったという。

 「マグリットが描いている物事のコンセプトは、表と裏の関係、表に表れていることが全てではないということだと思います。物事の二面性を表すという意味において、今回の『懺悔室』のテーマととても近いと感じました。それに露伴がヘブンズ・ドアーで相手を解体して書き込む行為そのものが再構築を意味するので、そういう意味でもマグリッドと合致した。この作品の中で田宮が背負っている業みたいなものを表現する姿形として、マグリットが適切なんじゃないかと思いました」

 なお、井浦本人もこのビジュアルをとても気に入ったというが、柘植は井浦との付き合いが長きにわたると話す。

 「新さんとは、彼が俳優になる前のモデルだったころからの付き合いです。人物デザイン監修としては、大河ドラマ『平清盛』(2012)でもご一緒していて。新さんはその時、崇徳上皇をやってらっしゃいましたよね。(平将門、菅原道真と並び、日本三大怨霊のひとりとされる)崇徳上皇を扱うのはとてもセンシティブなことですから、覚悟を持って挑まなければならない。それを新さんと一緒に作っていったのは思い出深く、再び“呪い”を描いた『岸辺露伴は動かない 懺悔室』でご一緒できたのは不思議な縁だなと。彼とはつかず離れずの距離感で会っているんですけど、互いの成長を見ながら進んできている関係のような気がしてすごく嬉しかったですね」

 「平清盛」では不遇な人生を歩み、死後に怨霊となった崇徳上皇にふんしその熱演は今も語り草になっている井浦だが、『岸辺露伴は動かない 懺悔室』でもさすがの怪演を見せている。(取材・文:編集部 石井百合子)

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