スティッチが実写版で小さくなったのに気付いた?違和感なく現実世界になじませた方法

ディズニー実写版『リロ&スティッチ』で現実世界になじむCGIのスティッチをどのようにして作り上げたのか、インダストリアル・ライト&マジック(ILM)のクレイグ・ハマック(VFXスーパーバイザー)とマシュー・シャムウェイ(アニメーション・スーパーバイザー)がインタビューに応じて明かした。
ハマックいわく、CGI版スティッチのルックを作り上げるのには1年近くを費やしたという。「『これで行こう!』と言えるようになるまでにかなり時間がかかった。映画を背負うキャラクターだから、プロポーションもしっくりこないといけないし、感情もきちんと出せるようにしないといけない」というハマックは、スティッチのサイズに関してもチームで突き詰め、ベストを探っていったと振り返る。
アニメーション版でのリロとスティッチの身長はほぼ同じだったが、現実の少女のプロポーションは三等身のアニメーション版リロとはかなり違う。単に彼女と同じ大きさにすると、スティッチが大きすぎて違和感が生じるのだ。
ハマックは「あれは興味深い研究だった。さまざまなサイズを検討したが、スティッチを小さくしながらもアニメーション版と同じフィーリングを与えなくてはいけないというのは難しかった。彼はペットではなく、友達だからね」と重視したポイントを明かす。
「だが、幸運にも彼には大きな目と、比較的大きな頭があったから、彼らが互いに目を合わせられるようにするのは簡単だった。彼は通常、ベッドや椅子やテーブルなど何かに乗っていて、二人の目を合わせやすくするトリックも使ったけどね。それを解決すると、彼らの間に素晴らしいつながりが生まれることになった」と続け、「見た目は若干異なるけれど、同じ楽しい特性を上手く形することができたのではないかと思う」と自信をのぞかせた。
また、スティッチの動かし方にも細心の注意が払われた。ハマックは「2Dアニメーションと、実写とCGIのハイブリッドはかなり違う。アニメーション映画では大げさな演技だったり、独特なスタイルだったりしても、観客は柔軟にそれを受け入れることができる。だが、ハイブリッド映画の世界では、絶え間なくアニメーションのスタイルを現実世界になじませるためにトーンダウンしないといけない。そうしなければ観客の気を散らしてしまうから。スティッチが確かにその世界に属しているように感じさせないといけないんだ」と注意点を語る。
シャムウェイも「リアリティーを持たせるため、今回のスティッチはオリジナル版ほどカートゥーン的ではない。あまりに誇張しすぎると、違和感が出てニセモノみたいな感じになってしまうから」と同調したが、ハチャメチャなスティッチの魅力を輝かせることにも力を入れた。そこでオリジナル版のアニメーション映画そのものや、当時の制作に携わったリード・アニメーターの意見はもちろん、フレンチブルドッグをはじめとした犬、猿、子豚、ウォンバットなどさまざまなリアルな動物の動きも参考にしたのだ。
シャムウェイは「スティッチはクールなエイリアンでいろんなことができるわけだから、抑制しつつも、強調すべき時は強調した。そうすれば、それでもリアルに感じられるから。現実に根差したものにしたかったから、たくさんの動物の映像を参考資料に使ったよ。動物はそもそもとても過激なところがあるからね(笑)。そういった過激な瞬間を見つけて、マッチさせたんだ」とCGI版スティッチの秘密を明かしていた。(編集部・市川遥)
ディズニー実写版『リロ&スティッチ』は公開中


