吉田伶香、監督が息を切らして身振り手振り『翔んだタックル大旋風』かつてない演出に感謝

インディーズ映画『野球どアホウ未亡人』のロングランで話題を集めた、小野峻志監督の初の商業作品となる『翔んだタックル大旋風』(12月26日公開)の完成披露上映会が11日に都内で行われ、小野監督ほか、主演の吉田伶香らが登壇、異色だったという撮影を振り返った。この日はそのほか、共演者の平野宏周、夏海、森山みつき、藤田健彦も登壇。MCをプロデューサーのくれい響が務めた。
本作は、ホラーやミステリーテイストの加わった異色のストーリーが展開するスポ根+ラブコメ映画。ストーカーから守ってくれた大学生・吉岡の通う大学に入学した主人公・秋子(吉田)が、アメフト部のマネージャーとして接触を試みるも、キャプテンの平山(平野)から吉岡は試合中の事故で他界したことを知らされ、選手となることを決意し、平山を相手に過酷なタックルの練習に励む。
主演の吉田は、小野監督の一癖も二癖もあるという演出方法に言及。「作品も変わっているんですけど、監督の演出も今まで味わったことのない感じでした」と笑顔を見せる。「段取りの段階で、走って撃たれるシーンを、監督自ら全役自分で身振り手振りでやってみせて、息を切らしながら『よし、やってくれ』って言うんです。最初から最後までそんな感じで、脚本でイメージがわきにくいなか、監督のその段取りのおかげで、見られる形になったと思っています」とユーモアを交えて小野監督の現場での様子を紹介する。
また「ウルトラマンZ」でも活躍した平野は、自身のアメフト経験が撮影に生かせたといいつつ「今までは地球を守ったり、高校生の恋愛をやったりしてきて、今回の役をやっていいのかなって」と笑顔。「現場に行ったら吉田さんがタックル練習をしていた。練習だと思ったら、それが実は使われていて『OK』って。びっくりした」とこちらも異色の撮影の様子を明かすと、吉田はこのタックルのシーンでかなりバテてしまったと明かし「あれが初日で、終わりまで走りきれないって思いました」と振り返っていた。
夏海も小野監督の特異な撮影について「普段の撮影現場では役者はいかに自然体で役に入れるかが評価される点なんですけど、監督の場合はいかにヘンテコで、どう面白くカメラに映るかが重要でした。新鮮で面白かったです」と回顧。そこに「酷い現場ですよ」と話して笑いを誘った森山は「前回の『野球どアホウ未亡人』で監督の演出を経験していました。今回、小野さんが私たちに何をさせたいのかが脚本から読み取れたので、こちらは好きにさせてもらいました。(商業作品になって)現場にメイクさんがいることに感動しました」と語る。
小野監督は「芝居よりアクションの方が言うことが多かった。セリフは喋っていればいいという感じ。商業作品は初めてで、メイクさんもいるし、一番嬉しかったのは自分で小道具や衣装を持ってこなくていいところです」と感慨深げ。「今回、商業作品で演出に専念できました。商業だけど、作品が作品だし、気取っても仕方がない。いつも通りでやらせてもらいました」と振り返っていた。(取材・文:名鹿祥史)
映画『翔んだタックル大旋風』は12月26日よりテアトル新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサほかで公開


