目黒蓮のコンプレックスが長所に変わった瞬間 「もう少し器用に出来ればいいんだけど」

海外ドラマ「SHOGUN 将軍」シーズン2への出演も決まり、世界的活躍を視野に入れた Snow Man の目黒蓮が浜辺美波とダブル主演を務める映画『ほどなく、お別れです』(2月6日公開)が、間もなく公開される。本作でウエディングプランナーのお葬式版ともいえる葬祭プランナーという役柄を振り返る中で、反省することの多かった資質が自分の長所だと気づかされたというエピソードについて語った。
累計70万部を突破する長月天音の小説「ほどなく、お別れです」シリーズを、映画『きみの瞳が問いかけている』(2020)、『今夜、世界からこの恋が消えても』(2022)などの三木孝浩監督が実写化した本作。目黒演じる葬祭プランナーの漆原礼二が、“亡くなった人の声を聴くことができる”という能力を持て余していた新人の清水美空(浜辺美波)とバディとなって故人と遺族の想いをその先へと繋ぐ“最高のお見送り”を実現しようとする姿を描く人間ドラマ。漆原と美空は葬祭プランナーという仕事を通して、亡くなった人が確かに生きていたこと、彼らを見送り、その先へ進もうともがく人々と心を込めて向き合っていく。
そんな物語に触れた目黒は「かなり早い段階で泣いてしまった」と言い、「いろいろなカタチの関係性、お別れが描かれ、さまざまな共感の仕方、刺さり方がある作品」という印象を持ったそう。そんな彼の演じた漆原は「一見クールではありますが、実は愛があるキャラクターで。ただ、表面上だけでクールに見える人に映らないようにしたいと思いました。なぜそこまで自分にも他人にも厳しく出来るのか? そこには理由がしっかりとあるので、バックボーンへの想いを持ちながら、立つだけで、表情は変ってくるだろうなと。そうした想いを佇まいへにじませ、背中で見せる。そのようなイメージでつくりました」と振り返る。
“最高のお見送りを”という想いの強さだろうか? 漆原はどこか近寄りがたく、人間離れして見える瞬間さえある。納棺師としての美しい所作も、「ただ作業にならないように。故人様とご遺族への想いをしっかりと持って納棺の儀を行う。その所作を見せるための時間ではなく、ご遺族がその時間をどう使ってくださるか、それを大事にしたくて」と役への誠実な想いが、漆原の佇まいや所作の美しさに繋がっていたと気づかされる。
それでいて、「美空がいかに成長していくか? という物語でもあります」と目黒。プランナーとして新米の美空を先輩として導くのが漆原だが、「僕自身は後輩と会う機会があまりなくて。同じグループの阿部(亮平)ちゃんとのユニット曲(『ART』)MVでジュニアの方に出てもらったのですが、それが久しぶりに後輩と接した機会でした。“出演してくれてありがとう”という気持ちを伝え、少しでも多く画面に映ってほしいので、カメラマンの方と話し合ったりしました」と後輩に対してもどこまでも誠実な姿を貫くのが彼らしい。
また先輩としては、「一度きりの人生で、後悔のないように一日一日を生きる。そんな歩み方が出来たら」と思っているそうで、「守りに入らずしっかりチャレンジし、良い意味で攻めている自分でいたい。そうした姿勢を見せられる自分でありたいとは思います。そう出来ている実感? ……頑張ってます」と笑う。
そんな彼だからこそ、生き方に迷っていた後輩の美空を導く姿に説得力を持たせている。美空にとって、“亡くなった人が見える”という能力がもたらすものはプラスの面ばかりではなかったが、漆原は「そんな力があるからこそ出来ることがある」と進むべき道を示す。では、目黒自身はどうか。過去に誰かからの指摘で気づかされたことがあったのかと尋ねると、「何かあったかな……」としばし考えたあと「ちょうど昨日、ありました!」と笑わせる。
後半の鍵を握るキャラクターを演じた日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」(TBS系)の撮影現場で、「撮影では段取りをして、次のシーンをテストして、本番を迎えます。僕は段取りのあと、そのシーンのことを頭の中でいろいろと考えてしまうんです。撮影現場や、自分がこのあとお芝居する場所を見てあれこれ計算したり、考えを巡らせます。そういうときはどうしても集中してしまって。スタッフの方がこんな風に目の前で(腕を伸ばして、ペットボトルを渡そうとする仕草)“飲みますか?”と言ってくれても気づかなくて。自分の目線のピントは、そのスタッフさんの奥にある現場と合っていて、その手前にあるペットボトルが目に入らないんです。それで間を置いて“ああ!”と気づいて申し訳なさそうにしていると、スタッフの方はちょっとにやにやしています」というのでいつでもそんな風に、演じることに懸命な彼を見守るスタッフの姿が見えるよう。観る者を強く惹きつける、でも決して作為を感じさせないナチュラルな演技が、そんなふうに構築されていたことに驚かされる。
けれど本人は、「いま目の前にある一つのことをよりよくするにはどうしようか? と考えてしまって。もう少し器用に出来ればいいのになぁとずっと思っているんですけど」と苦笑い。彼にとってそうした懸命さは“不器用”というマイナスの性質だったようだが、そんな膨大な試行錯誤があるからこそ、奥行きのある表現に繋がっているのだろう。スタッフの方からも、「“そういう集中力があることは良いことでは?”という言葉をかけてもらい、ちょっと前向きになれたような……。質問の答えとして合ってます?」と続ける。
撮影中はケタ外れの集中を切らさないが、「シーンとシーンの合間はいったん、少しこう、集中が切れ……てるのかな? どうなんだろう。ちょっとわかりません。でも一日中ず~っと緊張しているわけではないです」と目黒。すると一日の撮影を終えたときには疲れ切ってしまいますね? と尋ねると、「確かにそうなりますね、結構グテッって」と笑う。GWには体重140キロの元殺し屋に変身する主演映画『SAKAMOTO DAYS』の公開も控え、しばらくはそうした日々が続くことだろう。そうして目黒蓮はついに海を越え、更なる飛躍を迎える。 (文・浅見祥子)
ヘアメイク:宮川朋子/スタイリスト:YUTA MITSUI


