「ばけばけ」錦織の衝撃ラストシーン秘話 吉沢亮の演技にスタッフ涙、セットの壁にも秘密

高石あかり(高=はしごだか)主演の連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK大阪制作)の第19週・第95回(13日放送)のラストシーンでは、英語教師・錦織友一(吉沢亮)の今後を示唆する衝撃の描写が描かれた。制作統括の橋爪國臣が、当該シーンの撮影秘話や吉沢の演技について語った。
連続テレビ小説の第113作「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々をフィクションとして描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。吉沢演じる錦織は、松江随一の秀才(大磐石)と呼ばれ、トキ(高石)と夫・ヘブン(トミー・バストウ)を支える重要人物として描かれてきた。
錦織は、トキとヘブンの熊本行き当日、体調不良を理由に港へ姿を見せなかった。書斎にこもって考え込む錦織は、咳き込んで喀血(かっけつ)する。血のついた手を見つめ、約50秒間、その場で考え込む姿は、まるで錦織が人生の終わりを覚悟するような描写にも思える。
橋爪は、錦織のモデルとなった西田千太郎について「非常に優秀な方ですが、きっと心の中ではいろいろなことを抱えていただろうし、隠された部分も多い」と分析。「100パーセント、目指す場所に行けるはずだったのに、いろいろな事情から不遇になってしまった。それに思いを馳せながら、錦織という人物を造形しました。喀血のシーンは、それが詰まったシーンの一つだと思います」と説明する。
喀血後、錦織の考え込む表情が50秒間映し出される演出についても「いろんな描き方ができたと思いますが、吉沢さんのお芝居は言葉で語ったり説明したりする必要がないくらい、表情の演技が素晴らしい。彼の表情の芝居だけで見せられるだろうということで、台本でも彼が思っていること、噛み締めていることを、表情としてお芝居に出してもらえる流れを作りました」と撮影の裏話を明かす。
続けて「あのシーンで錦織がどんなことを考えているか、視聴者の皆さんはまだはっきりとはわからないと思います。いろいろな風に捉えることができるシーンです。実際、ここでは錦織の感情の中にあるものを100パーセント見せていません。今後のことは、翌週以降の展開を楽しみにしていてほしいです。彼がどうだったのか、本当になりたかったことは何かも、この先に描いていくつもりです」とヘブンが松江を去った後も、錦織の物語が終わないことを強調する。
撮影は、松江に残る西田邸の屋根裏部屋を模したセットで行われた。「錦織邸の二階のセットが素晴らしいんです。実際に残っている西田さんの家に屋根裏部屋があって、そこへ入ると苦しい生活をしながら、忸怩たる想いの中、ここで学んでいたんだろうなと西田さんの暮らしが想像できます。そこを参考にしながらセットを作りました。あの本に囲まれたセットの中だからこそ、吉沢さんも、錦織の覚悟を背負い、さまざまな表情、思いを表現できたと思います。映像には映っていないのですが、実はセットの壁に錦織のいろいろな思いが書かれていたりもするんです。それを受けて、吉沢さんもあの芝居をしています」
喀血のシーンは、演出の村橋直樹が手がけた。「実際の会話は聞いていないのですが、村橋と吉沢さんが撮影前に二人きりで1~2分話しをしているのを見かけました。想像するに、錦織の思いをどのくらい表情に出すのか、どのくらい彼の思いを表現するのかという相談だったのだと思います。吉沢さんは的を外すタイプではないので、吉沢さんの思う感じでということになったと思いますが、実際ドラマで使ったのは50秒くらい。カメラは2~3分回っていたと思います」と振り返る。
「張り詰めた空気の中、涙ぐんでいるスタッフもいました。台本には載っていないけど、錦織のバッグラウンドや、こんな人生を歩んできたという資料は渡していました。彼の裏の気持ち、本当の思いはこうなんですという話を、事前にしていたんです。それを元に彼が発展させてくれました」
実際に、吉沢も西田邸を見学したそうで「二階にも上がって、実際の西田さんの日記や手紙にも目を通していただきました。彼の思いに触れ、それも吉沢さんの役づくりに生かされていると思います」と橋爪。「これで全て錦織の話が終わりというわけではありません。この後、松野家が熊本へ行き、トキ、ヘブンがどう思いを伝え合って、どう解決していくかを描きます。撮影は終わっていて、すごくいいシーンに仕上がっています」と予告していた。(取材・文:名鹿祥史)


