「ばけばけ」ヘブンの熊本行き、錦織は何を思ったのか…吉沢亮「もう意味がわからなかった」

高石あかり(高=はしごだか)が主演を務める連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜は1週間の振り返り)で、松江中学の英語教師・錦織友一を演じている吉沢亮が、これまでの撮影を振り返りながら、突如熊本への移住を切り出した友人・ヘブン(トミー・バストウ)について語った。
連続テレビ小説の第113作「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々をフィクションとして描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。
松江随一の秀才で「大盤石(だいばんじゃく)」の異名を持つ錦織は、松江中学で英語教師を務め、外国人教師として松江にやってきたヘブンをサポートする。10日放送の第92回では、ヘブンが錦織に松江を離れたいと告げた。
Q:長期にわたる朝ドラ撮影の心境
錦織は出演シーンが多いのですが、それでも自分よりも大変なヒロインがいるということに僕は支えられています(笑)。ずっと楽しくやれています。
ヒロイン・高石あかりさんはカメラが回ってないところでもヒロイン然としていて、たたずまいが非常に大人。すごくピュアな部分も持っているので、みんなで支えてあげなきゃと思っているのですが、結果的に彼女に支えてもらっています。撮影が続くと大変な瞬間がどうしてもありますけど、一番しんどいはずの高石さんが一番楽しそうに現場にいてくれるんです。そこに救われているキャストやスタッフの方が、たくさんいると思います。
Q:錦織役への思い
回を追うごとに彼の不器用さや人間らしさ、可愛げのあるところが出てきているなと感じます。
実は錦織がまだ東京にいた第4週だけ、大盤石感の極みみたいなものを意識しながら演じていたんです。まだ教員資格検定の前で、自分が大盤石と呼ばれていることへの自負や自信がみなぎっていたし、日本を変えたいという思いで東京に来ている。そのギラギラ感や大盤石としての落ち着きを意識しながら演じました。それ以降は、試験にも落ちて県知事のお声がけで松江に戻り、学歴を隠しながら仕事をしている。教育への熱量はあるにしても、本来は立ってはいけない場所にいるという負い目のようなものから、何事に対しても一歩引いてしまう感覚を大事に演じています。
錦織にとっての庄田はある種、コンプレックスみたいなものです。受験前は錦織が“大磐石”、庄田は“半分弱”なんて言われていたのに、試験の結果一つで立場が逆転してしまいました。そんな二人が友達でもあるという絶妙な距離感が出ればいいなと思っています。
松江中の生徒の前では大盤石としての地位を守ろうと頑張っているので普段より声を少し低くしていますが、それすら空回りしているような瞬間も。錦織の不器用さが透けて見え、生徒たちにもだんだん伝わっている感じがしますよね。おいしいキャラクターをやらせていただいているなと思います。
Q:印象に残っているシーン
第14週の「イテモ、イイデスカ?」のシーンが印象的です。最初はちゃんと錦織も含めた3人のシーンだったのですが、気づいたら2人が感動的な見つめ合いを始めていて。僕から錦織が一人になるように動いているわけではありません。みんなが錦織から離れていくんです(笑)。本の巧さと演出の巧さがすばらしいシーンでした。
結婚挨拶パーティーの撮影も印象的でした。相当長いシーンを一連で撮っていたのでかなりの集中力が必要でしたが、トキやヘブンをはじめ、皆さんのお芝居に非常に胸を打たれました。ただ、「ダラクソがー!」と叫ぶ前にフミさんが「なら皆で一緒にやりません? “家族”一緒に」と言った時は、錦織役の僕は「帰ろっかな……」と思いましたね(笑)。(写真を見返しながら)こうしてみると楽しいシーンばかりでした。
Q:ヘブンが熊本に行くと言った時、錦織はどんな心情だったのか
ヘブン先生と共に過ごす日々の中で、彼と一緒に面白いものを作っていくことや、彼の成し遂げるものを一番近くで見ていたいという思いが錦織の中で非常に強くなっていくのを感じていました。単純に友達として隣にいたいという気持ちも大きくなっていたと思うので、突然熊本に行くと聞いた時はもう意味がわからなかったでしょう。パニックというか、悲しいどうこう以前の感覚だったと思います。第14週でヘブンがトキに「(松江に)イテモ、イイデスカ?」と聞いた時点で、彼が松江を離れるなんてことは錦織の頭から消えていたはず。この楽しい生活が永遠に続くと、どこかで思っていたのではないでしょうか。
Q:今後の見どころ
これからは人間ドラマとしての面白さがより濃くなっていきます。先週(第18週)は寂しさと温かさみたいなものがあふれ返っていて、ふじき(みつ彦/脚本)さんの本って本当にいいなと感じました。トキとサワが笑い転げるシーン(第88回)は、台本を読みながら泣きそうになった部分です。今後も、そういう人間の温かさや冷たさが見えてくる展開になるのではないかと思います。引き続き楽しんでいただければうれしいです。
(編集部・倉本拓弥)


