「豊臣兄弟!」要潤、小栗旬とあえて距離 「本能寺の変が終わるまでは仲良くなれない」

仲野太賀主演の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(NHK総合・毎週日曜午後8:00ほかで放送中)で明智光秀を演じる要潤が、本作で描かれる光秀像や織田信長役・小栗旬との共演について語った。
大河ドラマ第65作となる本作は、豊臣秀長(小一郎/仲野)が兄・秀吉(藤吉郎/池松壮亮)とともに下剋上の世を勝ち抜き、天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描くストーリー。光秀といえば、「本能寺の変」において主君・織田信長を自害に追い込み、時代の流れを大きく変えた人物として知られる。本作では将軍・足利義昭(尾上右近)によって信長のもとに送り込まれる、いわば“間者”として描かれる。
光秀役は、曖昧なニュアンスが大事
大河ドラマへの出演は、「龍馬伝」(2010・沢村惣之丞役)、「花燃ゆ」(2015・入江九一役)、「青天を衝け」(2021・松平春嶽役)に続いて4作目、5年ぶりとなる要。出演オファーを受けた際、真っ先に確認したのが「織田信長を演じるキャストは誰か」だったという。
「近年、(明智光秀を主人公にした大河ドラマ)「麒麟がくる」(2020~2021)もありましたし、“もしかしたらそんなに光秀は描かれない作品なのかな”と思ったら“いえ、しっかり出てきます”と。“僕でいいんですか”と思いながら、すぐに“織田信長は誰ですか?”と確認し、“小栗くんか……”と。心の準備をして、埋めておきたい部分は埋めて臨みました。この役に集中したかったので撮影時期を伺って、その時期に体づくりが必要な役が被っていないかといったことを確認しながら、2026年はこの役に照準を合わせるようにスケジュールを考えました」
役へのアプローチにあたって、坂本城跡や比叡山など光秀ゆかりの地を訪れ、直筆の手紙を見たという要。
「特に手紙にヒントがあったように思います。僕が受けた印象として、光秀はあまり強い物言いではなく、お伺いを立てるようなニュアンスが多い。例えば、“ここの城を攻めるので、そちらにいると危ないですよ。逃げたらどうですか”“こちらの味方につくと怪我しませんよ”といったような感じです」
一方で、将軍・義昭と信長の板挟みになる設定については「迷いながら演じている」と吐露する。
「観てくださる方にはわかりづらいかもしれませんが、自分の中では答えが出ないまま信長の前にいます。自分の居場所みたいなものを探せば探すほど迷路に入ってしまうというか。“織田の前ではこういう顔をして、公方様の前ではこういう顔をして”とか決めてやってしまうと薄っぺらく見えてしまうので、曖昧なニュアンスを意識しています。あっちこっちに振り回されながら生きている状態をいかに作り出せるか、ということを考えながらやらせていただいています。これから先、信長に家老として従順に付き従うのですが、やはり「本能寺」があるので布石はうっていきたい。なので、ちょっと微妙な表情を入れたりもしています。光秀はあくまで公方様を胸の内に抱えながら生きているので、そこは縦筋として、幹として持ちながら生きていくキャラクターにしようと思っています」
そうした光秀の曖昧なニュアンスを表現した一例が、出陣の際のシーンだ。
「織田軍が“おー!”と声を上げるシーンが度々登場しますが、光秀は本当に“おー!”って思ってるの? と感じて。いじめられ、蹴られ……ひどい仕打ちを受けているのに、“出陣じゃ!”と言われて、素直に“おー!”と言っていたら、何も考えていない人みたいな感じがするので、小さく“おぅ……”ぐらいの感じにしています。音符があったら、周囲と同じ音に絶対はまらないようにはしていて、すごく曖昧なところを奏でるようにしたいと」
「本能寺の変」までの怒りのパラメーターを意識
また、先に「本能寺の変」が待ち受けているため、信長に対する“怒りのパラメーター”は逐次、演出とすり合わせをしているという。視聴者の間では“本能寺ゲージ”とも言われている。
「光秀が信長を裏切るのは周知の事実なので、やはり振り幅が大きい方がいいのかなと思っていて、現段階ではすごくいい人に見えるように演じています。皆さんに“光秀、可哀想だな”と感情移入してもらえるように。光秀は信長とは対照的な立ち位置で、あくまで反旗を翻すようなキャラクターには見えないように、とことん弱い人として。光秀は自分の意志がなく、自分がこういう風になりたいという願望も語ることなく、自分は弱い人間なんだ、意気地のない人間なんだということをずっと自認しているような人。初めは弱々しく見せることで、本能寺にぶつけるエネルギーも大きくなるのではないかと。その中で、演出の方に“ここでは信長に対してどのぐらい怒っているのか”と、怒りのパラメーターが1なのか10なのか、といった確認をしています。なるべく右肩上がりにパラメーターが上がっていくようにして、“そろそろ来るね”という風に思っていただけたら(笑)」
先の「本能寺の変」の布石となるのが、4月26日放送の第16回。光秀が信長の命を受け延暦寺焼き討ちの指揮を執ることとなり、葛藤のすえ女子供も手にかけることとなった。第16回での“本能寺ゲージ”については「本能寺が富士山(約3776メートル)だとしたら、まだ比叡山(約848メートル)ぐらい。怒りというよりも“なんで俺ばっかりそういうことさせんの?”“おかしくないですか?”という。“なんで?”っていう戸惑いの方が大きいんじゃないかなと思います」と推測。
小栗旬との初共演に喜びながらも現場では距離
ところで、信長を演じる小栗とは本作が本格初共演。「しっかり向き合ってお芝居するのは初めてです。『キングダム』という映画で一緒の作品には出てはいるものの、お会いしていませんでした。大好きな俳優さんの1人なので、ようやく一緒にお芝居できるなという喜びが大きかった」といい、対峙した印象をこう話す。
「小栗さんは以前も(ドラマ・映画『信長協奏曲』で)信長を演じられているからか、手数が多いといいますか。信長を熟知している人の目の前に僕が“1回目の明智光秀です”みたいに立たされているようで、彼にはすでにアドバンテージがあるなと毎回感じます。俳優としてお芝居合戦をした時に、すごく深く考えていらっしゃるなと思いました」
役柄の設定上、小栗とはあえて距離を置いているという。
「おそらく、お互いに距離をとっているのではないでしょうか。現場ではあまり仲良くしないようにしています。でないと、ここぞという時にそういう空気が出てしまうし、細かな表情で緩んでいる感じは出したくないなと思っているので。それは小栗君も感じていることだと思います。2人とも常に頭のどこかに“本能寺”の文字があるので、これが壁を作っている感じ。これがなくならないと本当には仲良くなれない(笑)。毎回、お互いに“お前はどうくるんだ?”みたいな空気を感じていると思います」
気になる「本能寺の変」に至る展開には「今回の光秀というキャラクターを考えれば考えるほど、自分で謀反を思い立つことはないと思うんです」とも話す要。「どちらかというと我慢するタイプで、ぐるりと回って“やっぱり俺が悪かった”みたいなところに着地してしまう人で、バチンと切れて“よっしゃ、もうやったるわ”とはならないはず。誰かに焚きつけられないと、そうした感情は出てこないんじゃないかという気がしています」と予想を語った。(編集部・石井百合子)


