『デューン 砂の惑星PART3』ポールは悪になるのか?ティモシー・シャラメが質問に回答「もっと複雑」

映画『デューン 砂の惑星PART3』の公開まで、あと5か月。三部作完結編を心待ちにするファンの期待に応え、新たな予告編が解禁された。西海岸時間8日、ロサンゼルス郊外バーバンクのIMAXシアターで行われた予告編とフッテージ上映イベントには、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督とティモシー・シャラメが出席。1作目の公開から約5年に及ぶジャーニーを、感慨深く振り返ってくれた。(取材・文/猿渡由紀)
開催地はバーバンクながら、ニューヨーク、シカゴ、ダラス、トロント、モントリオール、メキシコ・シティ、ベルリン、ロンドン、アブダビの会場ともオンラインでつなぐ、ファンを集めた一大イベント。今年3月の予告編初解禁時にも同様のイベントが組まれたが、ゼンデイヤをはじめとする共演者が勢揃いしたにもかかわらず、主演のシャラメは欠席だった。その前夜はオスカー授賞式で、主演男優部門のフロントランナーと言われながら受賞を逃したことが相当ショックだったのかと、記者たちは推測したものだ。
しかし、この日は、白のTシャツの上にダークグレーのカーディガン、ジーンズに白のスニーカーというカジュアルな服装で、手を振りながら登場。目の前の観客にほほ笑むだけでなく、ベルリンの人たちに向けては「ワールドカップではお気の毒でした。現地の反応がどうだったのか僕にはわかりませんでしたが」、メキシコシティの人たちには「メキシコシティでの2作目のプレミアはロックコンサートみたいなノリで、最高でしたよ」と声をかけるなど、サービス精神をたっぷり見せる。
最新の予告編は、ポール(シャラメ)とチャニ(ゼンデイヤ)が口論するところからスタート。そして最後に、ポールは「Forgive me. For all I’ve done(これまで僕がやった全てのことを許してほしい)」と言う。ポールの命を狙う動きがあることも示唆され、どうやら彼はリーダーとして好ましくないほうに向かっているようだ。だが、「彼は悪者になっていくのでしょうか」という質問に、シャラメはこう答える。
「それはどうでしょうか。もっと複雑なニュアンスがあるのですよ。そこもまた原作のすばらしいところ。フランク・ハーバートが最初の本の次に(この映画の原作である)『デューン 砂漠の救世主』を書いたのもそれが理由だと、どこかで読んだことがあります。人々はポールを典型的なヒーローだと誤解しました。盲目的にリーダーを信じるとどうなるのか。ハーバートは、それを警告したかったのです。たとえ善人であっても、腐敗の危険はあるのだということを」(シャラメ)
「デューン 砂漠の救世主」は、ヴィルヌーヴ監督にとってお気に入りの1冊だ。だが、2作目を完成させた後、すぐにこの話を語ろうと思っていたわけではない。
「2本を立て続けに作って疲れていましたし、関係者にも『しばらく休みます』と伝えていました。ですが、夜、寝ている間にビジュアルが浮かんで目が覚めるということが続いたのですよ。それに、2作目のプロモーションで世界を回った時の反響があまりにすばらしく、最後まで語らなければという責任を意識するようにもなっていました。それで、自分の頭に浮かんだビジュアルに従い、脚本を書き始めたのです。クルーにも言いましたが、前にやったことの繰り返しにはしていません。この映画は、観客をアラキスの新しい場所に連れていきます。物語も、これまでとは違う。スリラーの要素が強く、感情面でも豊か。全体のリズムも異なり、とてもパワフルです」(ヴィルヌーヴ)
ヴィルヌーヴ監督が書き上げた脚本を、シャラメは絶賛。
「この3作目で、ドゥニは、原作でそれほどはっきりと書かれていなかったストーリーラインをも見事につなげてみせました。三部作の中でも、ドゥニが最も自由にクリエイティビティを発揮した作品と言えると思います。予告編でもおわかりかと思いますが、今回もゼンデイヤはすばらしい演技を見せてくれますよ」(シャラメ)
ゼンデイヤ以外の共演者もそれぞれに魅力を発揮する。1作目で死んだはずのダンカン(ジェイソン・モモア)が復帰し、重要な役割を果たすことは、予告編に明らか。2作目の最後に少しだけ登場したアニャ・テイラー=ジョイは血まみれの姿で、そして今回から参加するロバート・パティンソンは、すぐに彼だとはわからない変貌ぶりで、予告編に姿を見せる。
「2作目で僕はアニャとの共演シーンがありませんでしたが、今作の彼女は最高でした。見た目も強烈で、現場で初めて彼女を見た時、怖くて思わず息を呑んだほど(笑)。一方、ロブ(・パティンソン)とは前にも(Netflixの『キング』で)共演したことがあり、いかに優れた役者であるか十分に知っていました」(シャラメ)
そのうちの誰が最も驚く展開を提供するかと聞かれると、ヴィルヌーヴ監督の答えは「全員」。
「登場人物は全員、ストーリーに大きな貢献をします。それに僕たちは、すべてのキャラクターが持つ意外な側面を見せるようにしました。ひとりだけを挙げるのは不可能というものです」(ヴィルヌーヴ)
若い頃から愛読してきた「デューン」を自ら映画化したいと夢見てきたヴィルヌーヴ監督に1作目のオファーがかかったのは、2016年。ヴィルヌーヴ監督から声をかけてもらうまで原作を知らなかったシャラメが主演の座を手にしたのは、2018年だ。そこから始まり、パンデミックという困難も乗り越えて大成功を収めた壮大なサーガが、今、いよいよ終わろうとしている。
「1作目の撮影初日にタイムトリップし、自分自身に会えるとしたら、どんなアドバイスをしますか」と聞かれると、ヴィルヌーヴ監督は「できるだけ睡眠時間を取るようにしなさいということですかね」と言って笑った。だが、「これは人生最大の光栄。皆さんと一緒に最高のアドベンチャーを楽しませていただきました」とファンに感謝することも忘れない。
一方、シャラメは、少し考えてこう答えた。
「すべての瞬間をじっくりと味わうべき、ということかな。芸術面で優れていつつ、世の中の多くの人たちに喜んでもらえる映画に出られるというのは、非常に稀なのです。その事実をしっかりとわきまえ、(ありがたみを)噛み締めなさいと自分に言い聞かせたいですね」
映画『デューン 砂の惑星PART3』は12月18日(金)日米同時公開


