ミニオンが全員男子な理由に、日本語が多いミニオン語秘話も!『ミニオンズ&モンスターズ』監督インタビュー

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映画『ミニオンズ&モンスターズ』より
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 イルミネーションの人気シリーズ通算7作目となる映画『ミニオンズ&モンスターズ』(公開中)で監督・脚本を務めたピエール・コフィンがインタビューに応じ、1920年代のハリウッドを舞台にした、映画愛に満ちた異質なミニオンズ映画がいかにして生まれたのかを明かした。

【画像】ミニオンたちがハリウッド上陸!

 コフィンは、シリーズ第1弾『怪盗グルーの月泥棒 3D』、第2弾『怪盗グルーのミニオン危機一発』、第3弾『怪盗グルーのミニオン大脱走』、そしてミニオンズを主人公にしたスピンオフ『ミニオンズ』の監督にして、シリーズを通して独特な言葉を話すミニオンの声を担当してきた人物だ。(編集部・市川遥)

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映画愛に満ちた異質なミニオンズ映画

ミニオンズ&モンスターズ

Q:今回のミニオンズ映画は非常に面白いアプローチで、まさかこういう展開になるとは思ってもみませんでした。

ピエール・コフィン監督:ありがとうございます。誰も警告してくれませんでした?(笑)

Q:かわいくておかしいミニオンたちを通して映画や映画製作への愛を表現するというアイデアは、どのようにして生まれたのですか?

コフィン監督:コンセプトとなるアイデアはプロデューサー(イルミネーションの創設者兼CEOでもあるクリス・メレダンドリ)から出たものでした。ある日、彼から電話があって、「映画を作りたがっているミニオンの映画を作ることに興味はあるかい? モンスター映画なんだ。で、そのミニオンがモンスターを作り出すかなんかして、まあどうやるかはわからないけど、最終的にそのモンスターがミニオンたちや地球に襲いかかってしまい、ミニオンたちが自分たちのしでかした失敗を自分たちで片付けなきゃいけなくなる、という話さ」と言われたんです。

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それが最初の企画案でした。それを聞くや僕の頭の中に、アイデアが次々と湧き出てきました。それまでは、僕はもうミニオンの映画はやりたくないと思っていました。毎回同じような展開ばかりで、どうやってこれ以上面白くすればいいのかわからなくなっていたので。でも、彼からその提案を聞いた時、「これなら自分にとってもワクワクするものにできるかもしれない」と思ったんです。昔の時代設定にして、過去のミニオン映画2作で描いたキャラクターとは別のミニオンたちの物語にすれば面白いんじゃないか? と。

それに、もし1920年代のハリウッドが舞台なら、ちょうど映画が産業として成り立ち始めた時期でもあります。そのちょっとした提案からアイデアが山ほど浮かんだので、僕は引き戻される形でプロジェクトを引き受けることにしました。

でも、300人ほどいる制作スタッフたちに「今回の作品は一味違うぞ」と伝えるためにも、自分自身が新しいアイデアに心底ワクワクしている必要がありました。1920年代のハリウッドを素晴らしいデザインで表現したかったのでビジュアルも変わりますし、音の面でも違いを出したかった。だからこそ、これまでとは違う作曲家、ジョン・パウエルに音楽をお願いしたんです。そうした要素がすべて揃って、「あぁ、絶対にやりたい!」という気持ちになりました。

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Q:この映画を作っていく中で、ご自身の映画への愛がより深まっていく感覚はありましたか?

コフィン監督:間違いなくありました。というのも、これは2人のミニオンの物語です。ジェームズは絵を描くこと、物語を書くことに本物の情熱を持っていて、映画という存在を知ったことで、情熱的に映画作りに打ち込むようになります。そして、ヘンリーという別のミニオンに出会って友達になり、やがて親友になります。しかし、ジェームズの情熱が強すぎるあまり、その友情が壊れて絶交してしまうんです。でも最終的には再び絆を取り戻し、地球を、そしてひょっとしたら宇宙をも救うことになります。

そんなささやかなストーリーから、1920年代という背景など、あらゆるアイデアを重ね合わせていく作業は僕にとって本当に興味深いものでした。

さらに、自分が愛してやまない、そして世界中で愛されている名作映画へのオマージュも随所にちりばめることができました。例えば、劇中で1920年代のハリウッドにたどり着いたミニオンたちが、彼らが仕えるべき悪党だと思い込んで強盗役の俳優を追いかけるシーンがあります。

そこから彼らは、歯車に巻き込まれるチャップリン、時計台にぶら下がるハロルド・ロイド、家が倒れてくるバスター・キートンのスタントといった、映画史に残る象徴的な名場面の中を駆け抜けます。これは単に「この3人のアーティストたちへのリスペクト」というだけでなく、「彼らの映画であの出来事が起きた理由は、実はミニオンたちが原因だったからだ」とストーリーに組み込めたのがポイントなんです。僕は、ミニオンズは常に“混乱を引き起こす存在”だと思ってきたので、実は歴史の裏で彼らが時間軸を乱していて、別バージョンの歴史を作っていたとするのは、すごく面白い試みでした。

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Q:この映画によって、今後のミニオンズ映画で描けるものの可能性が大きく広がったと感じました。

コフィン監督:それはいいポイントですね。ミニオンたちは昔から世界中にいて、今回のミニオンたちは初登場の新しい奴らなわけなので、「じゃあ他の場所にもまだ見ぬミニオンたちがいて、最終的に日本にやってくるかもしれない」なんて可能性も生まれますからね。それが次回作かも。ひょっとしたらね!(笑)

図らずもフェミニズムの象徴になったミニオンたち

Q:ミニオンたちが女性参政権運動に参加するシーンも楽しかったです。以前監督は、ミニオンが全員男子である理由について、「女子はあんなにバカじゃないからだ」とおっしゃっていましたよね。

コフィン監督:言いましたね、覚えています!(笑) あの発言の後、いろいろ大変な目に遭ったのもよく覚えていますよ(笑)。

Q:そうでしたか(笑)。そういう意味では、今回彼らが思いがけずフェミニズムの完璧な象徴になっていたのが面白かったです。

ミニオンズ&モンスターズ

コフィン監督:ハハハ! 全体を通してどこかおかしいんですよね。僕がこの時代設定を気に入った理由の一つに、社会的変化が多く起きた時だったということもあります。禁酒法もありましたし、女性の権利運動もあり、映画が産業化した時期でもありました。だからこそ面白いんです。ミニオンたちは、自分たちの新しいボスとなる、謎のロボット男ドートがやることをそのまま真似しているだけなんですよ。

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ミニオンズ&モンスターズ

そのロボット男が女性の権利運動をしているデビーに恋をして、彼女を追いかけながら「女性に参政権を!」と叫ぶわけです。そして、ミニオンたちがそれを真似して叫ぶという構図はおかしいのと同時に、「男女は平等である」という事実を述べる良い方法でもありました。ドートが言うように、「もちろん男女は対等であり、なぜなら“全員が超自然的なリーダーに仕える身なんだから”」というわけですね(笑)。

もっとグロかったオープニングシーン

ミニオンズ&モンスターズ

Q:ダークなユーモアはこのシリーズ特有ですね。その絶妙なバランスはどのように取っているのですか? 時にはやりすぎてしまったりすることも?

コフィン監督:ありますよ。でも、僕にはプロデューサーがついていて、彼が「ダメダメダメ、ストップ、ストップ!」と止めてくれるんです。映画の冒頭で、ミニオンたちが歴代のボスたちをうっかり死なせてしまうシーンを覚えていますか? ミイラや海賊がいて、その後に王様が出てきて斬首されてしまうシーンです。

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そのシーンでストーリーボードの担当者に、「思いっきりグロテスクに描いたらどうなるか試してみよう」と頼んだことを覚えています。ビュッと血が噴き出て、全員が血まみれになるような!(笑) それが最初のバージョンだったのですが、プロデューサーから「絶対にダメ! お願いだからやめてくれ!」と言われました。

なので、真逆の方向に振ったんです。ごく普通に、バッと首が落ちて終わりで、血はナシ、という。自分では加減がわからないんです。いつもやり過ぎてしまって、プロデューサーに指摘される形です。でも、そこから少しだけ手前に戻すことで、作品の中にそのスピリットを残すことができるんです。

つまり、彼と僕のやり取りの中でバランスが作られているんです。でも、大人たちを笑わせるためにはこのプロセスが不可欠だと思っています。ファミリー映画を作る時、子供たちだけに向けて作るわけにはいきません。家族全員、一緒に来ている大人のことも考えなければいけませんから。

膨大な時間がかかるミニオン語収録

ミニオンズ&モンスターズ
シリーズを通してミニオンたちの声優も担当しているピエール・コフィン監督

Q:ミニオン語についても伺いたいです。外国語から単語を選ぶ基準は何ですか? 今回も日本語が結構混ざっていましたよね。

コフィン監督:そうなんですよ。「ダイフク(大福)」とかね!(笑) 僕にとってミニオン語は、“言語”ではないんです。「これは質問をしているんだな」「冗談を言っているな」「相手のミニオンを侮辱しているな」と伝えるための“メロディー”なんです。言葉そのものというより、その音楽的なニュアンスが気持ちを代弁しているんです。だからメロディーさえ決まれば……例えば「ダイフク」の例で言うと、怪獣を呼び出そうとして本に書かれた呪文を「タタタタタ、タタタタタ」と大きな声で読み上げる流れがありました。

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単調な一音の繰り返しなので、「バババババ!」という音を実際の言葉に置き換えていくのは簡単なんです。今回は、大きなモンスターを召喚するために彼らがずっと「カイジュウ(怪獣)」と言い続けていたので、日本語の単語をたくさん入れ込むのがしっくりきました。それで僕も段々テンションがおかしくなってきて、「ダイフク」と言うことに。ごく一般的な日本語の単語がかならずしもしっくり来るとは限らないのですが、そんな単語をすごくシリアスなトーンで発しているギャップが面白さを生み出しているんだと思います。

Q:ミニオン語のセリフもすべて台本に書いてあるのですか?

コフィン監督:常に書いてあります。僕はアドリブはできないので、全部書いておかなければいけないんです。あ、そういえば僕には「シズキ」という友達がいるんですが、その名前も劇中で使った日本語の一つです。

Q:今回、アフレコブースではどれくらいの時間を費やしましたか?

コフィン監督:長い時間です。毎回そうなんですが、だいたい3年間にわたって1日2時間くらい録音し続けています。これで、どれだけ長い時間がかかるかわかりますよね。何度も録り直す必要があるからです。最初はシーンに合わせて素早く録るのですが、後から聞き直して「何を言っているか伝わりにくいな」と思ったら書き直して再録音します。シーン全体がうまく機能していないと感じたら、脚本ごとすべて書き直して、全部録り直すこともあります。

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だから膨大な時間がかかるんです。それも僕がミニオン映画から離れたくなった理由の一つで、脚本が変わるたびに何度も、何度も、何度も声を録り直さなければならなくて。恐ろしく長くて、体力的にも精神的にも擦り減る作業でした。「なぜこのセリフが上手くいかないのか」「なぜメロディーがハマらないのか」「なぜ笑える言葉にならないのか」と悩み続けるのは本当に大変でした。

Q:ですが、本当に素晴らしいお仕事でした! 最後に、ジョージ・ルーカスのカメオ出演について教えてください。彼に実際のセリフがあったのには驚きました。

ピエール・コフィン: そうでしょう!(笑) もともとは、映画の始まりを美術館にして「ミニオンが出てこない普通の映画かな?」と思わせておき、そこにドーンと2人のミニオンの彫像が置いてある……というアイデアから始まりました。もう一人の脚本家であるブライアン(・リンチ)が、「ガラスの向こうにライアン・ゴズリングの像を置こう」「『マトリックス』のネオの格好をしたキアヌ・リーヴスの像を置こう」というギャグを書いたんです。

そして3つ目の展示で、「また彫像かと思いきや、実はご本人だった」というオチにしようということになりました。じゃあその「ご本人」は誰にするかというブレインストーミングをしていて、会議で誰かが「ジョージ・ルーカスは?」と言ったんです。僕は「それだ! ジョージ・ルーカス、完璧じゃないか!」となりました。というのも、僕が映画監督になった原点は、子供の頃に映画館で『スター・ウォーズ』を見て「なんてすごいんだ」と感動したことだからです。そこから絵を描き始め、映画作りに興味を持ち始めたんです。

だから「個人的にもすごく意味があることだし、実現したら最高だ」と言ったんですが、「でも俳優でもないし、引退しているジョージ・ルーカスをどうやって出演させるんだ?」という話になりました。すると、会議にいたプロデューサーが「あ、僕知り合いだよ」と言って彼にメールしてくれ、そうしたら、なんと2週間後には彼の声を録音していました!(笑) そんな簡単なことだったんです。これがハリウッドなんです(笑)。

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