新しいジェダイの姿に魅了される!

これぞスター・ウォーズ!「九人目のジェダイ」レビュー

新しい視点から描くジェダイとシスの物語も見どころ「スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ」
新しい視点から描くジェダイとシスの物語も見どころ「スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ」 - (C)2026 Lucasfilm Ltd.

『スター・ウォーズ』宇宙を舞台に新たな物語を描く全8話のアニメシリーズ「スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ」がディズニープラスで全話配信中。ヒットメーカー神山健治が総監督を務め、Production I.Gが手掛けるこの作品は、なぜ『スター・ウォーズ』ファンの心に響くのか。4つのキーワードに沿ってその理由に迫る。第4回はこの物語の最大の魅力である、新たな視点で描かれるジェダイとシスを見ていこう。(文・平沢薫)
※注意:本記事はネタバレを含みます。「スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ」をまだ観ていない方はご注意ください。

【画像】「スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ」キャラクタービジュアル

ジェダイの定義

 「九人目のジェダイ」は、『スター・ウォーズ』シリーズの根幹となる、ジェダイとシスを、これまでとは違う新しい視点から描く。その新たなジェダイ像は、新鮮なだけではなく、リアルな存在感を持っている。

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 本作のジェダイの特徴は3つある。まず、ジェダイが悪事に手を染めることもある。第3話で、主人公カーラの父ジーマのマスターだったリノが、密輸貿易に手をだし、違法行為をしていたことが判明する。ジェダイは絶対に正しいわけではないのだ。

 そもそもジェダイに限らす、この物語に「絶対の善」「絶対の正義」が存在しないのは、ライトセーバーの根幹にある鉱石、カイバー・クリスタルの使われ方からも明らかだ。この物語ではカイバー・クリスタルは悪用され、銀河を破壊しかねない強力な破壊兵器に使われてしまいそうになる。

 話をジェダイに戻そう。本作のジェダイは、子供時代からの特別な訓練が必要な存在ではない。ジーマの作ったライトセーバーは、ジェダイの訓練を受けていない人物でも使うことができる。第2話で、ジェダイに憧れる鉱夫クワナがジューロから贈られたライトセーバーを起動させると、青い光を放つ。第6話では、ジェダイハンターだったビートが、カーラに渡されたライトセーバーを持つと青く光り、彼自身も「ホントかよ」と驚く。第8話では、カーラは女性領主タフーラにもセーバーを渡す。カーラやジューロと同じ志を持つものは、ジェダイであり仲間なのだ。つまりこの物語では、ジェダイは閉鎖的な集団ではなく、誰にでも開かれている。

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シスではない、銀河を支配しようとするフォースの使い手

ナワームの狙いとは

 また、本作には、強いフォースの力を持ち、シスではないのに、これまでのジェダイとは異なり自ら銀河を支配しようとする存在、ナワームが登場する。彼のセーバーの色は、青でも赤でもなく、銀色。彼が求めるのはライトサイドでもダークサイドでもなく、「無の境地」だと主張する。

 それは、ナワームが少年時代に目撃した出来事が原因だった。第4話で、ナワームは、ジーマがマスターであるリノを倒す瞬間を目撃した時に見たものを語る。「そこには殺気も闘志もリノを思いやる気持ちも、すべての感情が消え、ただそこには無限の深淵と虚無が広がっていた」「その時、悟ったのだ あのジーマ殿の無の境地 あれこそが、最強に至る道だと」。この境地はカーラによって否定されるが、この「シスではないが、従来のジェダイとも異なる思想を持つ、フォースの使い手」という概念は新鮮だ。

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カーラは「新しいジェダイの道」を探す

 しかし、もっとも大きなポイントは「ジェダイは進化する」という考え方だろう。第6話で、苦悩するカーラの目の前に現れたジューロのフォースゴーストは、彼女にこう言う、「カーラ、お前は、我々 古い生き方を選んだ者とは違う。新しい答えが見つかるよう願っているぞ」と。つまり、この銀河では、ジェダイの道は、変化していくものなのだ。

 その一方で、フォースの概念は変わらない。フォースは宇宙のすべてに宿る力であり、そこに変化はない。それは、先述のジューロのフォースゴーストが、カーラに「フォースを信じよ。そうすればおのずと答えに導いてくれるであろうよ」と諭すことからも感じ取れる。

 「九人目のジェダイ」は、これまでの『スター・ウォーズ』のさまざまな側面を継承しつつ、そのうえで新たな視点を提示する。『スター・ウォーズ』の基本構造は、最初から英雄物語なので、同じ物語であり続けるが、それと同時に進化し続けることをやめない。だから『スター・ウォーズ』ファンの心を熱くする。

 ちなみに、ジェダイといえば、作品タイトルに仕掛けられたギミックも楽しい。このシリーズとなった短編、「スター・ウォーズ:ビジョンズvol.1」の第5話「九人目のジェダイ」では、9人目のジェダイとはカーラのことだった。なので、このシリーズのタイトルは、彼女のことを指すが、もう一つ別の意味がある。シリーズのラストに生まれるジェダイたちのグループのこと。その9人目になるのは、きっとラストシーンの直後にセーバーの色がジェダイであることを証明するに違いない、それは誰なのか。作品タイトルに隠されたそんな仕掛けから、考察を楽しむのも一興だ。

「スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ」はディズニープラスにて全8話一挙独占配信中

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