『踊る大捜査線』織田裕二、山本高広ら“ニセ青島”との共演に感謝 自分のモノマネ「愛あれば嬉しい」

社会現象を巻き起こした大ヒットコンテンツ『踊る大捜査線』シリーズの新作映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』(全国公開中)。1997年の連続テレビドラマから29年、主人公・青島俊作を演じ続けている織田裕二が、「世相を映す鑑」だと表現する作品について語った。(以下、映画の内容を含みます)
『踊る大捜査線』は世相を映す鑑
物語は、青島が誘拐の身代金を持って東京の街を走り回るシーンからはじまるが、織田は「皆さん、どのあたりで壮大な演習だって気づくんでしょうね」と茶目っ気たっぷりに笑う。これまでの劇場版でも「実は演習でした」「潜入捜査でした」のオチはあったが、それらはせいぜい10分程度。今回は冒頭30分近く、誘拐事案の解決に向ける青島の奮闘ぶりが描かれる。「長めですよね。僕は台本で知っているから、皆さんがどこまで騙されてくれたのか、わからないんですけど」
駅に佇む保線作業員や、『踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!』の犯人・坂下始(北山雅康)の影など、怪しい人物は何人か登場していた。「あげく、変なクイズとか。あれで『愉快犯なのかな?』と思いますよね。犯人は子供だって」。坂下も『THE MOVIE』時は19歳という設定で、遊び半分の犯行だった。「現実世界でもそういう犯罪もありますもんね。ほとんどの子は真面目すぎるくらい真面目に生きているんだろうけど、凶悪な犯罪を犯す子もいて、極端化している気がします。“いい塩梅”というのがほしいですよね。『踊る』はいつも、世相を映す鑑でもあるけど、そこに説教臭くない形で救いがほしいなと思います」と織田は吐露する。
今作でも、凶悪な事件を起こしたのは未成年だった。「どうしてあんな子が育っちゃうんだろうと思います。たしかに片方の子の母親は酷い人でしたけど。でも、家庭がひどいことは昔からあったけど、それが全部悪い子になるわけではない。親から離れて、スイッチを切り替えればよかったんだと思う。もったいないよ、犯罪を犯しちゃったら青春の一番いい時代を塀の中で過ごさなきゃいけないんだから」
エキストラの協力で実現した“ニセ青島”
一方で、理解不可能な大人も登場する。ニセ青島たちだ。特に取調べを受けている男の言い分は、青島ならずとも困惑するだろう。シーンとしても、織田のモノマネで有名な山本高広が、そのままの芸風で青島の向かいに座っているのだから、壮大なるパラドックスであり、メタフィクションだ。「いきなり強力な爆弾を持ち込んだみたいなものですよ。僕が台本をいただいた時点で、すでにシーンも山本くんの名前も書いてあって、ちょっと監督には『俺たちはコメディーを作っているのであって、パロディーやっているんじゃないだろ?』と言いたいです(笑)」
とはいえ、山本に対しては「どうのこうのというのは全くない」と、他意がないことを強調する。「織田裕二のモノマネをしている人がいることを聞いて、マネするのを否定しているわけではないんです。(『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』で共演した)香取慎吾くんなんて、僕の目の前で耳つけて鼻を黒くして、もっとすごいモノマネをしていますから(笑)。愛があれば嬉しいし、基本は好きにやってくれたらいいというスタンスです」
さらにこのシーンでは、30人ほどの青島の扮装をした人物が居並ぶ。演じたのは、自前の衣装で集まったファンのエキストラたちだ。「めちゃくちゃ嬉しかったです。協力してくださってすごくありがたかった。ここに限らず、今作は数百人単位のファンの方がエキストラとして集まってくれて、感謝しかないです」と織田。「青島コートをみんなが着てくれて、流行したのは楽しかったですね。ただ、コートが世の中からなくなっちゃって、嬉しいけど困りました(笑)」
そんなふうに、世間を巻き込んだパーティーのようなお祭り騒ぎになるのが『踊る』だ。「楽しそうだから、僕ものっかるときがあります」と語る織田は、まるで宝物を自慢する子供のようだ。すべてのスタッフ、キャストが全力で『踊る』に向き合い、知恵を出しあって作り上げた今作を、大切に思っているのだろう。「完成品を観た時に、自分の作品ではめったにないことですけど、笑っちゃったんです。それくらい、面白くなっていると思います」と自信をのぞかせていた。(取材・文:早川あゆみ)



