『踊る大捜査線』佐々木蔵之介、23年前から“大出世” 同期だからこそ生み出せた青島&北丘の会話シーン

織田裕二が演じる刑事・青島俊作が14年ぶりに帰ってきた映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』(全国公開中)で、青島と同期の捜査第一課長・北丘雲斗(きたおか・いくと)を演じた佐々木蔵之介。『踊る大捜査線』シリーズへの出演は23年ぶり・2度目となった佐々木が、約20年ぶりのタッグとなった織田との共演、再始動を果たした『踊る』シリーズの撮影現場について語った。
全員に見せ場を作る監督の手腕
「『踊る』ファンの方も、初めて観る方も、あますところなく楽しめるお祭り娯楽作品だと思います」と映画の感想を述べた佐々木。「本広(克行)監督がすべての登場人物に見せ場を作っていて、さすがの手腕だなと思いました。そこが本当に面白かったですね」と感嘆する。
実は、佐々木は邦画実写興行収入日本一の記録を22年間守った映画第2作『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003)に、「捜査員4」という役で出演していた。「今作の出演のお話をいただいて、すごくご縁を感じました。以前出演させていただいた時と同じ役だよなと思って台本を読んで、衣装合わせで監督と亀山(千広)プロデューサーに確認しました。亀山さんが『過去にご出演された方は全員さらって、そのうえでオファーしました』とおっしゃってくださって。光栄でした」と語った後、真顔で「23年間、片時も忘れることなく役づくりしてきてよかったなと思いました」と茶目っ気たっぷりの発言。「北丘雲斗という役名も、今回初めて知りました(笑)」とユーモアを忘れない大人の余裕を見せた。
実際は、脚本の君塚良一が今作で登場させた北丘役に、過去に登場していた佐々木をキャスティングした形だった。青島と同期というポジションは、物語上でもキーとなる。「亀山プロデューサーに、警察組織の中で捜一がどういう立場なのかを教えていただいて、そのうえで、青島の同期という立ち位置を考えました。味方でも対立しているわけでもなく、どういう位置関係なのかは曖昧なままがいいかなと思っていました」と絶妙な関係性を意識したことを明かした。一方で、「確実に、青島の生き方を羨ましいと思っている人間として作りたいと思いました。北丘は組織の中で生きてますから」とも語った。
2人の関係性だから話せること
織田とは映画『県庁の星』(2006)以来、約20年ぶりの共演。実際に同学年なので「久しぶりというのはそこまで大きなハードルにはならず、ボーダーレスに芝居が出来た気はします」という。「『踊る』の撮影現場での織田さんは、立ち居振る舞いがさすがの座長で、みんなに声をかけて、楽しく現場が動くように努めていらして、素晴らしいなと思って見ていました」
共演シーンはいくつかあるが、中でも休憩室での会話は印象深い。「お祭りのようにエキストラさんも多く、スケールが大きくて賑やかな撮影が続く中、2人きりでしたからね。『お前』って呼んで、志とか気持ちとか、熱量や情熱みたいなことをわかったうえで、同期だからこそ感じられることがあるというシーンでした。彼に対して、すごく問いただしたわけでも、励ましたり背中を押したわけでもない。2人の関係性だからこそ話せることなんだろうなと思いました」
織田や本広監督と、芝居について綿密に話したわけではない。休憩室の撮影日、ロケ地となる部屋に初めて入り、「こういう部屋で、外が見えるのか。そこで青島が缶コーヒーを買ってくれて、それをもらうんだな、って。監督のカット割りがこうで、こっち側からこう撮りたいと伺って、そのシーンの状況をなんとなく掴みました」。織田や本広監督と、どういうトーンの芝居をするかの打ち合わせは「まったくなかったですね」と明かした。
本広監督の撮影方法は「面白いなと思いました」と佐々木。リハーサルをしてカメラ位置を決め、撮り始めてからも「この間(ま)で入ってみましょう」「この位置でやってみて」と変えていくことがあったという。「決めた通りにやるのではなく、ふわっとした面白味や間合いとかを、撮りながら探してらしたんです」と語る。通常、大人数のエキストラを配したりして一度固めた芝居を、その場で変えることはあまりない。「監督は、さらに面白いものがないかと、オッケーを出しながらも考え続けてらっしゃるんだなと思いました。特に笑いのシーンは、笑いがたくさん散らばっていましたよ(笑)」
ほかの共演者との撮影で印象深いのは「増田さん(増田貴久)とのシーンかな。けっこう一緒でした」と明かした。増田は、レジェンドキャラクターの真下正義(ユースケ・サンタマリア)と妻・雪乃(水野美紀)の息子で、劇場版4作目で誘拐されて青島に助け出された小学生・勇気の成長した姿を演じる。ハーバード大学を飛び級して21歳で警視庁捜査一課の管理官になったという設定だが、撮影時の増田は39歳だった。「ご自身も『この年齢でコレなんです』『これが映画デビューなんです』と自らそれを笑いにしてらしたんですけど、芝居は丁寧に作られていました。彼とのお芝居は面白かったです」と感想を語りつつ、「ただ、すごく撮影が大変なのに、合間で気づくといなくて。いつもお茶場でおやつを食べていました(笑)『踊る』は差し入れも多いんです」と裏話も明かした。
お客さんがサポートしたくなる作品
佐々木は2026年だけでも、ドラマ「浮浪雲」「一次元の挿し木」「ラストノート」「ALIUS ー特定事象捜査ファイルー」が続き、映画『幕末ヒポクラテスたち』『名無し』に出演、今後も『本当にあった話(の話)』『4アウト -もう一度、プレイボール-』『超高速!参勤交代 フルスロットル』の公開が控えている。それほど多くの現場を経験している佐々木でも、『踊る』の撮影現場で驚いたことがあった。
「とにかくエキストラさんが豊富。人海戦術がすごいのは現場で感じました。大会議室だけじゃなくて、ロケでもものすごい人数がいらしてて。しかもみなさん、『踊る』のファンの方たちだと伺いしました。長く続いている分、ファンの方も多くて、皆さんがサポートしたいと思える映画に育っているんだと強く思いました。これが『踊る』なんだなって」と感心する。「スタッフさんも『踊る』好きな方がたくさんいて。出演者も『踊る』に出させていただくのは嬉しいし、何よりちゃんとそれぞれに確実にスポットを当ててくださる。みんなが気持ちよくこの作品に参加してるという気がしました」
お気に入りのシーンについて聞いてみると「(佐藤)二朗さんと野呂(佳代)さんと織田さんがクリニックでわちゃわちゃするのは面白かった」と佐々木。佐藤は、警視庁クリニックの医師・指方輝(さしかた・ひかる)役、野呂は警視庁警務部厚生課の小昏双葉(こぶれ・ふたば)を演じている。「台東署での『しあわせって何?』ってなる一連も楽しかったです。アバン(タイトル前)は『満喫したー!』という満足感がありました」とにっこり。
「事件の面でも、『ぜんぜんわからない!』ではなく、小出しにしているから間口の広いエンターテインメント映画になっているな、見やすくてよかったなと思っています」と喜ぶ。「『思った通りや』『ここはこうなったか』『わたしもそう思ってた』みたいに、お客さんが語りたくなる映画だと思います。それで『あそこはどうだったっけ?』と見返したくなる。でもまだソフトはないから、また劇場に行くしかない(笑)。『あそこに隠されてたな』『あれをもう一回観たいな』という小ネタもたくさんあるので、何度でも劇場で観てください」とアピールしていた。(取材・文:早川あゆみ)



