『踊る大捜査線』が名刺代わりに ユースケ・サンタマリア×水野美紀、今の自分を反映した14年ぶりの真下夫婦

1997年に誕生した連続ドラマ「踊る大捜査線」から、シリーズ最新作『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』に出演しているレジェンドキャストのユースケ・サンタマリアと水野美紀。二人が演じる真下正義と真下雪乃(旧姓:柏木)は、連ドラ時代からの出会いから紆余曲折を経て結婚に至った。久々の再会を果たした二人が、当時の懐かしい思い出から、『踊る』シリーズに対する熱い思いを語った。(取材・文:早川あゆみ、写真:高野広美)
【撮り下ろし写真】14年ぶりの真下夫婦!ユースケ・サンタマリア×水野美紀2ショット
勇気のキャラクターから垣間見える、真下家の生活感
Q:お2人は久々の再会となりますか?
水野美紀(以降、水野):はい。元気にしていましたか?
ユースケ・サンタマリア(以降、ユースケ):元気だったよ。ここんとこ会ってなかったよね。
水野:今回の撮影ではなかなか、ね。息子の勇気(増田貴久)に同じ台詞があって、言い方を揃えていたんでしょ?
ユースケ:そう。撮影の前に違うスタジオで増田くん(増田)と会う機会があって、「イエス、マミー」って台詞をこういう風にやったよと伝えていたの。でも、現場で亀山(千広)プロデューサーが「それは無視していい」って。ぜんぜん違う言い方になってた(笑)。
水野:本広(克行)監督も同じこと言ってました(笑)。
ユースケ:親子だから揃えたほうがいいかなと思ったんだけど、旦那と子供だと違ってもいいのかって。「踊る」は私生活を見せないのがお約束だから、真下一家の生活は見えないんだよね。雪乃はもう警察を辞めちゃっているから。
水野:でもだいぶ、これまでこういうことがあったんだろうみたいな、匂わせはありましたよ。
ユースケ:真下は確実に尻に敷かれているんだろうなって(笑)。
水野:雪乃は教育ママになっていて。息子のキャラクターからも家庭が見えますよね。
ユースケ:勇気は21歳の設定だけど、増田くんは40歳(公開時)と思えないほど肌がつるつるだから大丈夫だった(笑)。実年齢で計算しちゃダメだよね。
引き出しがなかった連ドラ時代
Q:14年ぶりの『踊る大捜査線』出演ですが、撮影前に何か準備はされましたか?
ユースケ:年月が経ったというのは、自分の実年齢と役年齢が同じ時間軸で進んでいるからわかっていたけど……何か意識した?
水野:基本は想像しただけですけど、連続ドラマは見直しました。
ユースケ:え、それはすごいね!
水野:自分の芝居が下手すぎて、ひっくり返りました(笑)。
ユースケ:だから見ちゃダメだよ、ピュアな20代の自分は(笑)。
水野:自分で見ても別人だった(笑)。
ユースケ:僕はそれまで音楽をやっていて、ほぼ初連ドラだったの。美紀ちゃんも深津さん(深津絵里/恩田すみれ役)も年下だったけど芝居では先輩だから、いきなり「ちゃん」は馴れ馴れしいかと思って、水野くん、深津くんって呼ばせていただきました。
水野:でもユースケさん、このキャラクターって最初から出来上がっていましたよね。
ユースケ:というか、これしかなかった。引き出しがないから、当て書きにするしかないという強引な技です。いかりやさん(いかりや長介/和久平八郎役)がやるたびに褒めてくださって。「こいつは何を言ってもできねえだろう」ってことだったんだと思いますが(笑)。
水野:ムードメーカーで、みんなを和ませてくれてた。舞台挨拶とか助かりました。
ユースケ:とりあえず、それくらいはやって場を盛り上げなきゃって思っていました。いま思えば、相当うざかったんじゃないかなぁ。雪乃さんにずっと片思いしているのとかも、やっていて楽しかったけど。あんなにコメディー調だったのに、僕、連ドラの最終話1本前で、撃たれて死にかけたでしょ。コメディーとシリアスの波状攻撃みたいな新しいタイプのドラマだったと思います。
水野:真下さんが撃たれたって電話を受けたすみれさんが、受話器を抱え込むんですよね。あれがもう、心にきて……。
ユースケ:いつもふざけているみんなが、シリアスでね。僕は最終話の台本、祈るような気持ちで開きました。生きててよかったー!(笑)
湾岸署メンバーの関係性を感じる会話
Q:お2人から見た最新作の見どころを教えてください。
ユースケ:僕ら出方が違うんで、見え方が違うと思うんですよね。美紀ちゃんどうだった?
水野:わたしは会議室のシーンで、会話の端々に昔の湾岸署メンバーの関係性を感じさせるやり取りがありました。昔から『踊る』を知っている人には響くと思う。甲本さん(甲本雅裕/緒方薫役)が本当に面白かったんですよ。まだ、スリーアミーゴス(北村総一朗、小野武彦、斉藤暁)に会えていないのが残念です。
ユースケ:僕は会いました。お3方とも当時と同じで。ずっと何かしゃべっていると思ったら、3人でリハーサルやってるのよ。掛け合いのスピード感の調整とか。自分がこんなに歳を重ねたのに、スリアミはどうなっているんだって思いました(笑)。
水野:お会いしたかったなぁ……。
ユースケ:あと僕、けっこう織田さんと2人のシーンがあって。織田さんがね、ものすごく楽しそうなんですよ。僕、よかったなーと思って。久しぶりに『踊る』をやるって、きっと嬉しいことだけじゃなかったと思うんです。みんなが見たいのは昔のままなのか、こちらは生まれ変わった『踊る』を見せたいけど、世間はどうなのかとか。でも、織田さんが嬉しそうだったから、もうそれだけでいいやって。
水野:監督も楽しそうでした。
ユースケ:亀山さんもね。新たなフェーズで始まった『踊る大捜査線 N.E.W.』が、うまくいっているんだって安心しました。
オリジナルメンバーにしか味わえないもの
Q:今、お2人にとって『踊る大捜査線』はどんな存在になっていますか?
水野:わたしは、自分の名刺代わりかな。未だに『踊る大捜査線』の「水野さん」「雪乃さん」って言われることがあります。
ユースケ:僕も全くその通りです。
水野:ズルい(笑)。ちゃんと言って!
ユースケ:(笑)。当時は、どこに行っても「真下」って言われて、乗り越えなきゃって思って。今はなかなかできないすごいことを経験させてもらったんだと、痛いほどわかります。すごくありがたいことだよなって。この歳になって、若い頃と同じ役ができるなんてこと、もう無いですから。
水野:この先、29年はありえないね。
ユースケ:おそらく生涯ないでしょうね。
水野:音楽だったらグループとかあると思いますが、役者って孤独な仕事ですから、仲間みたいな存在がいて、それは嬉しいなと思います。
ユースケ:『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』で帰ってくる場所が無くなっちゃったと思っていたら、今回でしょ。こういうこともあるんだなと思いました。ある時代を彩ったすごいコンテンツだという意識なんだけど、復活するというのがまたすごい(笑)。
水野:自分が立場も変わって、歳をとって成長して、同じように自分の年齢に合わせて成長した役を演じられるのが面白いなと思います。
ユースケ:今の自分を出せるからね。29年後にまだ真下やっているとは思わなかった(笑)。
水野:うん。今、観返しても連ドラは全然古くないし、めちゃくちゃ面白いですよね、自分の芝居はともかく(笑)。常態の笑いというか、行間を読む感じというか。
ユースケ:あの頃の流行の刑事ものの逆をやって、実験ドラマと言われていましたよね。当時からしたら、特別に高い視聴率というわけではなかったけど、あれよあれよという間にすごいことになっていった。だから、最初から出演している僕らにしか味わえないものは、やっぱりあると思う。オリジナルメンバーって威張るわけじゃないけど、運命みたいなものが。
水野:わたしは湾岸署に入れてよかった(笑)。
ユースケ:刑事になっていなかったらフェードアウトだったね。
Q:雪乃は一番環境が変わった人で、ずっと観てきたファンにとっては感慨深いです。
ユースケ:当時からファンの方はそう言ってくださるけど、まったく知らない人もいると思うんです。「『踊る大捜査線』って何?」って人が、今作をどう受け取ってくれるかなというのは興味あります。好きでいてくださる方たちだけのお祭りに終わるのか、それとも若い人も劇場に来てくれて、前の作品を観ようと思うくらいになってくれるのか。今は配信とかで、いくらでも観られますからね。
水野:二世代で観てほしいです。親御さんが観ていたから僕も観ましたって方に声をかけられることもありますから。やっぱり配信で観たんですって。今作も、どの世代でも楽しめる作品になっていると思います。
ユースケ:それは間違いないと思う。
映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』は9月18日(金)全国公開



