横浜流星『汝、星のごとく』で10キロ以上の減量 10年来の盟友・藤井道人監督が撮影の裏側明かす

凪良ゆうのシリーズ累計発行部数200万部を突破する本屋大賞受賞作を映画化する『汝、星のごとく』(公開中)で、広瀬すずと共に主演を務めた横浜流星。大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(2025)でも10代から40代までを演じ切った横浜が、本作では17歳から30代までを演じ分け、さらには大幅な減量にも臨んだ。横浜と10年来の付き合いとなる藤井道人監督が、本作での横浜の魅力を語った(※一部ネタバレあり)。
『汝、星のごとく』横浜流星、広瀬すず、藤井道人監督らメイキング<9枚>
本作は、「美しい彼」シリーズや「流浪の月」などの小説家・凪良ゆうが2022年に発表した同名小説を、『余命10年』(2022)や『正体』(2024)などの藤井道人監督が映画化。風光明媚な瀬戸内のとある島と東京を舞台に、京都から島に転校し漫画原作者になる夢を持つ男子高生・青埜櫂(横浜)と、島で生まれ大好きな刺繍を仕事にしたいと願いながら母親と暮らす同級生・井上暁海(広瀬)の15年にわたる愛と人生模様を3つの章で描き出す。
~以下、映画のネタバレを一部含みます~
主演の横浜は、櫂を演じたい一心で原作者の凪良に手紙を送り、後に念願かなって役を射止めた経緯がある。横浜にとって20代最後の映画でもあり、並々ならぬ思い入れがあるが、何といっても目を引くのは後半、第3章で病を患った櫂の変貌ぶり。横浜は役づくりのため10キロ以上減量し、最終的に40キロ台まで落としたというが、藤井監督は「この企画を彼が選んだ時点で、その自分をイメージしていたんだと思います。きっと、彼がやりたかったことなんだろうなと」と振り返る。
一方で、減量に関しては横浜をはじめ関係者、スタッフと入念なケアをしながら進められたという。
「体重を落とすとなると、やはり身体に対して相当な負担がかかるので当然のことながら体調管理のケアは必要でした。どういうスケジュールでゆっくり落としていけるのかとか。そういうことは流星とマネージメント、スタッフを含め細かく詰めて“ここは何日かインターバルを置きましょう”とか、極力負荷がかからないように。それでも、彼がのめり込み過ぎて10何キロ落とした時点で少し意識が朦朧としてきていることがあったので、“流星、それは本末転倒だから、水分を取ろう”といったふうに僕が引き戻すことはありました」
映画『春に散る』(2023)でボクサーを演じた際にはボクサーのプロライセンスを取得し、『国宝』(2025)では歌舞伎を習得するなど、役づくりにおいてとことんストイックなことで知られる横浜。撮影現場での様子を尋ねると、「現場に入ると『はい』しか言わない」と藤井監督。
「他の組の流星はわからないんですけど、現場に入ったら『はい』しか言わないんです。もちろん企画段階では“このセリフは言いたい”といったディスカッションはしていると思うんですけど、撮影ではセリフも一言一句変えませんし、ああしたい、こうしたいとか言うことはない。信じる力も人一倍強いので、ちゃんと監督、スタッフが用意した場の中でどう生きるかっていうのを考える。“こんなことはやりたくない”とか言っているのを聞いたことがないですし、そういう意味でも、すごく真面目なんだと思います」
劇中、藤井監督が特に心を動かされたというのが、櫂の相棒にして親友でもある漫画の作画担当・久住尚人(松村北斗)とのシーン。
「第3章は35mmフィルムで撮っていたのですが、彼を観ていて胸が痛くなりました。(広瀬)すずさんとのお芝居もさることながら、松村さんとのお芝居も素晴らしかった。3章後半にどんどんエンジンがかかっていった彼の芝居はすごく良かったなって思います」
横浜とは映画『青の帰り道』(2018)、Netflixドラマ「新聞記者」(2022)、映画『ヴィレッジ』(2023)、『正体』(2024)など度々タッグを組み、付き合いは10年に及ぶ。本作では「あらためて、逃げない男だと思いました」という藤井監督。
「流星も今や日本を代表する俳優になっていますが、僕らは影にいたので。全く評価されず、どんどん同世代の人たちが売れていくなかで、自分たちは何者にもなれないと共にもがいた仲でもある。その時から彼が芝居を諦めなかったことが、この結果になっているんじゃないのかなと思います。不器用な部分もたくさんありますし、芝居しかできない、これしかないんだっていう気持ちが人一倍強い。それはずっと変わらないので、改めて真っすぐでいいやつだなと」
映画『正体』では横浜が最優秀主演男優賞、藤井監督が最優秀監督賞を受賞。横浜と並行するかのように藤井監督も近年、Netflixシリーズ「イクサガミ」(2025)や映画『港のひかり』(2025)、『リバイアサン』(2027)などドラマ・映画制作が絶え間なく続いているが「流星とは、互いにいい意味で監視し合い、高め合っているようなところがある。だから、別の仕事の話も全然しますし、お互いがアドバイスを違う現場でも活かしながら成長していけたらと。この『汝、星のごとく』がその集大成になっているんじゃないかと思います」と横浜とのタッグに充実をにじませた。(取材・文:編集部 石井百合子)



