『マトリックス　リローデッド』の裏側

死亡したアリーヤ	代役に決まったノナ・ゲイ

2001年2月『ロミオ・マスト・ダイ』で女優デビューを果たしＲ＆Ｂ歌手としても人気の高い、歌手のアリーヤが『ザ・マトリックス　リローデッド』『ザ・マトリックス　レボリューションズ』のキャストに決まった。彼女の役は“ジー”という謎の女。物語のキーポイントにもなる重要な役割だった。

ところが、そのわずか半年後、2001年8月25日ビデオクリップの撮影を終えマイアミへ向かうために搭乗していた小型セスナ機が墜落し、死亡。２２歳だった。事故は離陸直後に発生し、機体は滑走路先の茂みに墜落してアリーヤを含む８人の搭乗者が死亡した。アリーヤは現在公開中の『クィーン・オブ・ザ・ヴァンパイア』へも出演しており、女優として輝かしい成功が目の前にぶら下がっていた矢先の事故だった。

その後アリーヤの代役は空席になっていたが、今年の4月、ソウル・ミュージックの神であった故マービン・ゲイの娘で『アリ』のベリンダ役で映画デビューを果たしたノナ・ゲイに決まった。

撮影が開始されて間もない頃、キアヌの身にちょっとしたアクシデントが起こる。キアヌとキャリー・アン・モスが、拳闘シーンのトレーニング中に軽いケガを負ってしまう。

トリニティー役を演じるモスはひざを打ち、６週間、松葉杖の使用を余儀なくされている。リーヴスはハードなアクション・シーンのリハーサルの後で、右の踝に痛みを訴えた。しかし、医師はリーヴスにレントゲン検査などを行ったが特に異常は見当たらなく、大事には至らなかった。

又、キアヌは恋人のジェニファー・サイムの妊娠により一度、結婚を決意するが結局は死産で結婚は白紙に。その後サイムは不幸にも交通事故で死亡したりとプライベートでも不幸にみまわれる。また、新たにキャストに決まった『ジェヴォーダンの獣』で夫のヴァンサン・カッセルと仲むつまじく来日をはたしたモニカ・ベルッチも離婚するなど『マトリックス』にまつわるキャストの不幸がなぜか目立っていた。

こんなエピソードがある。ハリウッドのとあるパーティでキアヌ・リーヴスが『マトリックス』 で受けた武術訓練の話をしていた時のこと。

その場に居合わせたウディ・ハレルソンが「あれはC Gなんだろう」と笑った。ヨガや仏教に親し み、武道も得意なウディの言葉にキアヌは「試し てみるかい？」と持ちかけ、２人は庭で即席 試合を始めた。結果はキアヌがウディを投げ飛ば し、面目躍如。キアヌは慌てて詫びたが、ウディ は笑って「もう疑ったりしないよ」と応じたらしい。

また、こんなエピソードもあった。キアヌの2作品の出演料は3000万ドル近いと言われているが、彼はこのギャラの一部を特殊撮影チームと衣装デザインチームへのギャラに割り当ててほしいと製作会社に申し出たらしい。

このハリウッドらしからぬ行動に対し、彼は「実際に映画を“作っている”のは彼らなんだから当然だ」と説明したそうだ。