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『ナオミ・ワッツ プレイズ エリー・パーカー』ナオミ・ワッツ

今週のクローズアップ

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今週のクローズアップ ナオミ・ワッツ

 週末に公開される話題の映画の中から、気になる人物をご紹介します。今週は、11月11日公開の『ナオミ・ワッツ プレイズ エリー・パーカー』でヒロインを演じたナオミ・ワッツをクローズアップします。デヴィッド・リンチ監督に見初められ、『マルホランド・ドライブ』のヒロイン役を演じたことで一躍人気スターダムを駆け上ることになったナオミ・ワッツ。30歳を過ぎてからブレイクした、超遅咲きスターですが「あれだけ美人で実力のあるナオミが売れない時代は何をしていたの?」と不思議に思うファンも多いでしょう。その知られざる無名時代を紹介します。
アーティスト一家出身だった!

 ニコール・キッドマンやラッセル・クロウと同じオーストラリア出身のスターとして知られているナオミですが、実は生まれはイギリス。父親のピーター・ワッツはイギリスのロックバンド“ピンク・フロイド”のサウンド・エンジニア(音のメイクアップ・アーティストともいうべき仕事)で、母親は映画のコスチューム関係の仕事をし、兄弟のベン・ワッツは有名な写真家という、根っからのアーティスト一家なのです。そんな環境で育ったナオミが、演技派女優に成長したとしても不思議ではありません。しかし、人生はそう簡単には進みません……なかなか芽が出ず、長く苦しい不遇な女優人生が待っていたのでした。


 父親はナオミが7歳のときに亡くなっていて、母子家庭で育ったナオミ。父親を亡くした経験は、のちに「最愛の人を亡くした女性を演じた『21グラム』で役立った」と本人が語るほど、ナオミの心にトラウマとして残っているそう。寂しい子ども時代を経て、14歳のときにオーストラリアに移住。小さいころから演技に興味があったナオミは、シドニー・アクターズ・センターで学び始めます。そして、恵まれた容姿が生かせるモデルとしても活躍するようになりました。


 
本文とは特に関係ないんですが。ヒース・レジャーの元カノつながりの2人が仲良く映っている貴重な写真を紹介します!
(C)Jeff Vespa/WireImage.com/MediaVast Japan
モデル、そして編集者としてのキャリア

 ブロンドの髪に青い瞳、白く透き通った肌に華奢(きゃしゃ)な体つきという、モデルに打ってつけの美ぼうの持ち主であるナオミ。にもかかわらず、致命的だったのは165センチという身長のハンデ。スーパーモデルになるには低すぎました。よって、モデルの仕事は地味でありふれたものばかりでした。


 そんな中、18歳のときに日本でモデルの仕事をした経験もあります。ケイトが載っていたのは女性のファッション雑誌“オリーブ”! 2003年に惜しくも休刊してしまっていますが、当時は有力ファッション誌として、若い女性から絶大な人気を集めていました。ブレイク前にモデルとして出稼ぎに来ていたことのあるハリウッドスターは少なくなく、キャメロン・ディアスもそのひとり。その後はモデルの仕事に見切りをつけ、映画のコスチュームを作っていた母親の影響もあってか、ファッション誌のエディターに転職しました。普通のOLとして、順調にキャリアを築きつつあったころ、運命のいたずらが訪れます。友人に誘われて何の気なしに参加した演技の講習で、眠っていた演技への欲求を覚まされてしまったのです。そしてすぐに会社を辞め、女優の道を進むことを決めたのです。


 
「女優の道を選んで正解だったわ!」
(C) Jeff Vespa/WireImage.com/MediaVast Japan
地味っ子ナオミの辛すぎる下積み時代

 すぐに『ニコール・キッドマンの恋愛天国』に出演することが決定。以前から友人だったニコールは、この作品に出演後、トム・クルーズに見初められハリウッドで一躍スターになりました。友人の活躍ぶりを目の当たりにしたナオミは、自分にもチャンスがあると思ったことでしょうが、まったくブレイクの兆しは見当たりませんでした。


 『タンク・ガール』でセクシーな演技に挑戦したり、「スリープウォーカー」というテレビシリーズに出演したりと、ベタな下積み時代に突入です。この当時のナオミは、確かにきれいなんですが、まったく華がなく、女優としての魅力に欠けていました。その地味っぷりは相当なもので、過去の出演作にしっかりと記録されています。『娼婦ベロニカ』に、ヒロインが愛する男性の正妻役で出演しているのですが、一見しただけではナオミだと気が付かないほど別人です。ナオミの抑えた演技力のたまものなのかもしれませんが、それにしたって目立たな過ぎです。


 そんなこんなをしている内に、30歳になってしまったナオミ。そろそろ見切りをつけるべきかと思われたとき……あの奇才デヴィット・リンチ監督に見いだされ、『マルホランド・ドライブ』のヒロインに抜擢されたのです。その後の活躍ぶりは目覚しく、年下の恋人とのゴシップ話、アカデミー賞ノミネートなど、華やかなセレブ道を極めていきます。



写真右がナオミ。「わたし駆け出しの女優です! なんでもやります!!
(C) United Artists/Photofest/MediaVast Japan
エリー・パーカー イズ ナオミ・ワッツ

 『マルホランド・ドライブ』でブレイクする直前に撮影し、今回やっと日本で公開されることが決定した『ナオミ・ワッツ プレイズ エリー・パーカー』。この作品は、ロサンゼルスで成功することを夢見る女優の卵が、オーディションを受けまくり悪戦苦闘する日々をリアルに描いたドキュメンタリー風の異色作です。ナオミは主人公の女優役を体当たりで演じていて、その姿は売れない女優時代を経験済みのナオミ自身が映し出されているようで妙な説得力を感じます。本人も「昔はオーディションを受けまくっては落とされまくっていたわ」と語っていることから、まさに“エリー・パーカー イズ ナオミ・ワッツ”状態だったことがうかがえます。


 本作では、ハリウッドスターになることを夢見る女優たちの実態が垣間見られるだけでなく、遅咲きのスターであるナオミ・ワッツの下積み時代の様子も想像できるので、女優を夢見る人や、ナオミファンも必見の1本です。女優になるためのド根性節をしかと肝に銘じてほしい!


まさに下積み時代のナオミ。「地味かしら?」
(C) Jim Smeal/WireImage.com/MediaVast Japan
文・構成:シネマトゥデイ編集部

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