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『南極料理人』堺雅人 単独インタビュー

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『南極料理人』堺雅人 単独インタビュー

映画を観た後にお腹が減ると思う。僕はラーメンを食べて帰りました!

取材・文:シネマトゥデイ 写真:高野広美

海上保安庁で料理人をしていた主人公の西村が、突然南極へ1年半の単身赴任を命じられる。南極料理人となった西村が、南極の仲間たちとともに過ごす1年半を温かく描いた映画『南極料理人』。本作で主人公にふんしたのは、演技派として注目を集めている堺雅人。生瀬勝久、きたろうらベテラン演技派俳優たちとともに過ごした男ばかりの撮影を振り返りながら、撮影のこと、そして初めて挑戦した料理について語った。

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おにぎりをうまく握れ!

堺雅人

Q:出来上がった映画をご覧になっていかがでしたか?

僕はこじんまりとした……というか、もっとあっさりした作品になるのかと思っていたんです。でも、自分が思っていたよりもずっと見ごたえがある作品になっていましたね。一つ一つのエピソードをすごく丁寧に描いていたので、何気ない会話が続いて、何か大事件が起こるというわけではないのに、観終わってからどっしりとした読後感のような気持ちを味わえました。原作とはまた違う楽しみ方ができるので、原作ファンの方も新鮮な気持ちで楽しんでもらえると思います。

Q:料理人である西村が作る料理はどれもおいしそうでした。

良かったです。どれも頑張りました! おにぎりは結構練習したんですけど、フードコーディネーターの方に、褒めていただいてうれしかったです。小さいころに母を手伝って、おにぎりを作ったことはあったんですけど、最近は全然作ってなかったのに、われながらうまく握れていたと思いました(笑)。

Q:料理はもともとされてたんですか?

自炊はしていましたが、やっぱり本格的に料理人として料理をするとなると全然違いました。フライパンをあおる動作であったり、盛り付けの動作であったり、まったくやったことがなかった動きだったんです。めんを打つのも初めての経験だったので、どれも新鮮で楽しめました。

Q:伊勢えびを使ったエビフライを初めて見たんですけど、どんな味がするんですか?

おいしかったですよ! 「伊勢えびの頭の脳みそをソースに生かしてみました」っていうセリフがあるんですが、ほんっとに生かされていました。これがうまくて、もう絶品でしたね。

男ばかりの現場にちょっぴり不満?

堺雅人

Q:個々のエピソードがとてもドラマチックに作られていましたね。

本当にそれぞれが面白くて、パンチのある7人でしたから、僕が演じた西村同様、振り回されがいがありました。

Q:ああいう過酷な環境の中に、パンチのある7人がずっと同居するというのはすごいですね。

確かに不穏な空気が流れますよね。あの閉鎖された空間の中にいたら、殺人事件でも起こっちゃうんじゃないかって……。でも何も起きないですから(笑)。そこが面白いんですよね。

Q:撮影はいかがでしたか?

すごく楽しめました。一つ悲しかったのは、女っ気がなかったことくらいかな(笑)。男ばかりっていうのも、まあ楽しいですけど、決して愉快な体験ではないですよ(笑)。やっぱり、物事にはバランスってものが必要ですから。

Q:一つの場所で繰り広げられるこの映画は、まるで舞台を観ているようでした。

ワンシチュエーションコメディーじゃないけど、食堂とキッチンを舞台にした、気の利いた一幕ものを見ているような感想は台本を読んだときにも思ったので。8人で空気を作り上げていくところはありました。お互いがお互いを影響し合いながら作っていったという感じはありました。この作品は、舞台にしても面白いと思います。実際、共演者の方々と一緒にお芝居ができて楽しかったし、芸達者な方ばっかりだったんで、安心して演じていましたね。

西村のようなお父さんになる可能性はある

堺雅人

Q:東京での家族とのやり取りもとても良かったです。お父さん役も板についているようでした。

あんまり違和感なかったんですよ。ああいうお父さんになる可能性はあるんだと思います。

Q:妻のから揚げに、いちゃもんをつけて奥さんをいらだたせていましたが、あの辺も違和感なかったですか?

あれは奥さん、腹立つでしょうね。僕もそう思います。でもやっぱり違和感なかったんでだから、ああいうだんなさんになってもおかしくはないと思います。だって、あのから揚げの揚げ方はひどいですよ(笑)。フライパンに投げ入れていましたもん!

Q:娘さんとのやりと取りも面白かったです。

娘役の小野花梨ちゃんが、本当に上手だった! 芸達者ですよあの子は。僕は何度もけりを入れられていたんですけど、タイミングといい、強さといい、絶妙でしたからね。あれは本気でけらないとダメなんですよ。

感情と表情が直結した役柄

堺雅人

Q:西村の表情が、いちいち面白かったですね。

例えば、南極に行くと決まったとき、家族に大笑いされるシーンがあるんですが、もうあの顔のまんまの気持ちで演じていましたね。本当に切ない気持ちで……。それは僕の顔を見てくれればわかると思います。

Q:堺さんといえば、顔で笑っていても、心は何を考えているのかわからない役が多いですよね。

そういうことでいえば、今回は表情と感情が直結した役だと思います。つらいけど我慢しているとかはなくて、ちゃんとつらい顔をしていましたからね(笑)。あまり作りこんでいないんですよね。リアクション中心のお芝居でしたから。毎回感情そのままの顔をしていますよ。

Q:確かに南極行きを上司に命じられたときも、渋い顔をされていました。

そうなんですよ。ていうか、最後の最後まで、「はい」って言っていないんで。あのシーンは。最終的に一度も行くって言っていないのに、行くことになっちゃって……。切ないですよね。でも、もし同じ状況だったら、僕も多分行くと思いますね。それで、ちゃんと仕事をまっとうして帰ってくるんじゃないでしょうか。仕事を終えて、東京に帰って、何気ない日常に、何気なく戻る。自分もそうだと思います。

Q:これから映画を観る観客の方々には、どう楽しんでもらいたいですか?

本当によく練りこまれた台本だと、後から思えてくるんですよね。3年間かけて作ってきた沖田(修一)さんの情熱が伝わるといいですね。それから、きっとお腹が減ると思います! 僕は、この映画を観た後に、ラーメンを食べて帰りました!


こちらの考えていることがすべてお見通しなのではないかと思ってしまうほど、堺の眼力はとてもするどい。作品ごとに優しい目、燃えるような目、そして笑っているのか、怒っているのかわからない目など、いろいろな目を見せる堺。今回の『南極料理人』では、仲間や家族を見つめる優しい目や料理をしているときの真剣なまなざしを披露している。本作を観れば、そんな堺の魅力を十分に堪能でき、満腹感が味わえるはずだ!

『南極料理人』はテアトル新宿にて先行公開中、8月22日より全国公開

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