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第26回こはたあつこ「アカデミー賞は紅白と同じ!? の巻」

うわさの現場潜入ルポ

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こはたあつこのうわさの現場潜入ルポ
行ってきました、第53回グラミー賞! の巻

取材・文:こはたあつこ 写真:鹿島美香&こはたあつこ

さあ、本日(日本時間では2月28日)は第83回アカデミー賞授賞式。プレスもフォーマルドレス&タキシード着用ということで、わたしも朝6時に起き、髪をセミアップに。慣れないことを自分でやろうとすると時間がかかります。最後はヘアピンをぐしぐしと刺して、レッドカーペットへいざ出陣!

レッドカーペットの様子

やっぱりすごいです、レッドカーペットは! 世界中から来たレポーターたちがいるわ、スタッフ関係者は走り回るわで、とにかくすごいエネルギーです! まだ朝なので、スターは歩いていませんでしたが、プレス関係者やテレビ番組の準備をするスタッフで大混雑。しかも世界中から報道陣が集まっているので、英語だけでなく、スペイン語、ドイツ語、中国語など、さまざまな国の言葉が飛び交います。

また、抽選で当たったブリーチャーシートというファン専用席に座っている人たちが歓声を上げ、スターが前を通ったときの練習をしていたり。いよいよ第83回アカデミー賞授賞式が始まるぞーという熱気でいっぱいです。

下馬評通りの結果だった賞レース

華々しく幕を上げた第83回アカデミー賞授賞式。今年の受賞結果は下馬評通りとなりましたねー。作品賞は『英国王のスピーチ』、主演男優賞はコリン・ファース。主演女優賞はナタリー・ポートマン。また、助演男優&女優賞は『ザ・ファイター』クリスチャン・ベイルメリッサ・レオが受賞しました。

中でもナタリー・ポートマンの涙ながらのスピーチが感動的でした。普通、感謝する人たちの名前のリストが長いと、聞いていて飽きちゃうのですが、彼女の場合は心の底から感謝しているのがわかり、わたしも思わずもらい泣き! 逆に主演男優賞のコリン・ファースのスピーチはコミカルでしたね。「これでわたしのキャリアはピークに上り詰めてしまいました」と始まったと思ったら、最後は「これ以上この場所に立っているとあまりのうれしさに、踊ってしまうので失礼します」とポーカーフェイスで退場。コリンって意外とおチャメなんですね!

また、助演女優賞を受賞したメリッサ・レオは感動のあまり、ついつい放送禁止用語を発してしまいました! アメリカでは「ピー音」にすりかえられていたけど、アジアではそのまま流れてしまったんだそうですね! よっぽど興奮していたんでしょうね……。

かわいそうな司会2人

ところで、かわいそうだったのが今年の司会、アン・ハサウェイジェームズ・フランコ。若い世代の視聴率アップを狙い、若い2人が抜てきされたはいいけど、結果的には「さむ~い」ことになってしまいました。

まず、冒頭は良かったんです。2人が『インセプション』の夢の中に入るという設定を使って、そこから今年の作品賞にノミネートされた10作品の世界に入っていくというもの。「発想が面白い! よっお二人さん、やってくれるじゃないの!」と思えたのもつかの間。いざ舞台に2人が登場し、司会を始めると、ヒヤヒヤする寒い場面があちこちに……。

でも、わたしなんかはまだ良い方です。アメリカの批評家たちはかなりの辛口で、中には「2人の司会は列車事故のような大惨事!」と見出しが付けられたり、「ハサウェイは、はしゃぎ過ぎ。でも、歌ったり踊ったりしてがんばったのでまだ許せるが、あのフランコの仏頂面は何なのか!」とか、「ビリー・クリスタルよ、戻ってきてくれ!」と酷評する批評家たちも!

でもこの2人はコメディアンではないですからね、2人のせいではないと思うんですけどねー。来年は経験豊富な男性コメディアンと若手の元気な女優コンビでやったらどうでしょう? そうすれば、バランスが取れると思うんですけど。アカデミー賞のプロデュサーさんたち、聞いてますかー?

『ソーシャル・ネットワーク』が受賞できなかった理由

作品賞候補として有力視されていた『ソーシャル・ネットワーク』はなぜ、作品賞や監督賞を受賞できなかったのか。ちょっと自分なりに分析してみました。

まず、アカデミー会員の年齢が原因なのではと。平均年齢57歳の会員たちは、ばりばりのパソコン世代でないため、その価値がわかりにくいFacebookの話より、イギリス国王の勇気を描いた歴史物の方が親しみやすかったんじゃないのかなぁと。

二つ目は、数年前から導入された「選考投票システム」という作品に順位をつけて投票するシステムが原因なのでは? そのシステムだと、『英国王のスピーチ』のように万人受けする作品の方が、『ソーシャル・ネットワーク』のように好き嫌いがハッキリする作品よりも投票数が加算されやすいんですよね。

最後は、ジャーナリスト受けする『ソーシャル・ネットワーク』よりも、映画製作者受けする『英国王のスピーチ』の方が「映画製作者」によって構成されているアカデミー会員に受けやすかったのでは? 『ソーシャル・ネットワーク』は現代の社会に大きく影響を与えるようになったネットメディアの話。ということは、社会の動きやトレンドに関心があるジャーナリストや批評家受けする作品なワケです。アカデミー賞前のさまざまな賞を見ても、外国人「記者」が投票するゴールデン・グローブ賞や「批評家」が投票するニューヨークやロサンゼルス映画批評家協会賞などでは作品賞を受賞したのですが、「映画製作者」や「俳優・女優」たちが投票する賞は取っていないんですよね。……うーん、いかがでしょう?

ところで、今回の取材で一番印象的だったのは、レッドカーペットを歩くナタリー・ポートマンのコメントでした。レポーターに「あなたにとっての最高のぜいたくは?」と聞かれ、「ドレスを脱いでメイクを落として、髪もぼさぼさのままスウェットを着ること。一日中ベッドでゴロゴロしていたいわ」と答えていました。今ごろ、ナタリーはホッとして爆睡していることでしょう。受賞おめでとうございます! そして、ぜひ健康なベビーを産んでくださいね。

~あとがき~

何はともあれ、第83回アカデミー賞も無事終了。視聴率が去年から9ポイント下がったとか。アメリカではさまざまな批判がありましたけど、わたしの感想は、アカデミー賞は「紅白」と同じだと思うんです。つまり、みんながいろいろ言うけど、結局また来年も見ちゃうんですよ。だって、ナンダカンダ言っても世界が注目する映画界の風物詩だから。やっぱりアカデミー賞を見ずになんていられない~!

受賞者の名前入りの封筒が詰まったかばん。この2人が投票用紙カウントチームの担当者。© A.M.P.A.S.
ブリーチャーシートに当たって喜ぶ大学生。
レッドカーペットで取材準備をする報道陣。
激やせのジェニファー・ハドソン。© A.M.P.A.S.
ニコール・キッドマン夫妻。© A.M.P.A.S.
赤ちゃんを産んだばかりのペネロペ・クルス(左)。見事な歌声を披露したグウィネス・パルトロー(右)。© A.M.P.A.S.
「愛娘だよ。どうだ、かわいいだろう?」のスピルバーグと娘さん。© A.M.P.A.S.
一昨年の司会者ヒュー・ジャックマン。© A.M.P.A.S.
女装姿を披露した、ジェームズ・フランコ。© A.M.P.A.S.
「ヤダ! 放送禁止用語言っちゃったかしら!?」メリッサ・レオ。© A.M.P.A.S.
「お前よりオレの方がハンサムだ」「いや、それはオレのセリフだ」意外と面白かったロバート・ダウニー・Jrとジュード・ロウのプレゼン。© A.M.P.A.S.
初受賞、おめでとう!© A.M.P.A.S.
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