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第20回 ロシアのホラー映画賞「ドロップ」の魅力に迫る

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ぐるっと! 世界の映画祭 第17回 ロシア・ホラー映画賞「ドロップ」

ダークファンタジー『ナイト・ウォッチ/NOCHNOI DOZOR』(2004)の大ヒット以降、ロシアではホラー熱が高まっているらしい。2010年からはモスクワでロシア・ホラー映画賞「ドロップ」がスタート。その第4回大会(2014年1月23日~26日)にマスタークラス(公開授業)のゲストとして招待された金子修介監督がレポートします。(取材・文:中山治美、写真:金子修介)

ロシア・ホラー映画賞「ドロップ」公式サイト

観客賞にはブラピも

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上映会場
上映会場のシネコンが入ったショッピングモール。

2010年からスタートし、2011年からは新作映画の上映、ホラー映画の巨匠たちによるマスタークラス(公開授業)、ロシアの新鋭監督やプロデューサーをたたえる賞を設立するなど、ホラー&ファンタジー映画ファン層の拡大を図っている。また、「ドロップ」は“血のしたたり”を意味している。昨年は『サイレントヒル』シリーズの音楽担当で知られる山岡晃氏もマスタークラスのゲストとして参加した。

授賞式
ドロップ賞の授賞式ではホラーな人たちやホラーなイベントでゲストをおもてなし。
授賞式会場
会場にはさまざまな作品のゾンビたちが歓迎してくれた。

またFacebookなどを活用した観客賞も実施しており、『ウォーム・ボディーズ』が最優秀コメディー賞、ブラッド・ピット主演『ワールド・ウォー Z』が最優秀ファンタスティックホラー賞を受賞した。「ただし、運営は映画祭ディレクターのヴィクトル・ブランキン氏がほぼ一人で仕切っているようで、出発前のやり取りから現地でのゲストのアテンドまで孤軍奮闘されていました」(金子監督)とまだまだ発展途上の映画祭であることも実感したそうだ。

金子監督が怖いものは?

受賞
映画祭から特別賞の賞状と人形を頂いた金子修介監督。

『ガメラ』シリーズや『DEATH NOTE デスノート』で知られる金子監督は、実は昨年から招待を受けていた。しかし『生贄のジレンマ』の撮影中で参加できず、観客に向け動画を送ったという。ようやく1年越しで、完成した『生贄のジレンマ』を引っ提げての参加となった。「でもスケジュールが合わず上映に立ち会えなかったのが非常に残念。聞けばロシア語での活弁上映だったとか(笑)。400席が満席となる好評ぶりだったそうです」(金子監督)。

手形
ゲスト皆で記念の手形を残した。右は映画『ポルターガイスト』(1982)の子役だったオリヴァー・ロビンス。現在は監督・脚本家として活躍中。左はホラー映画『首だけの情事』などのイタリア俳優スタンコ・モルナー。

『ZOMBIO(ゾンバイオ)/死霊のしたたり』スチュアート・ゴードン監督らと共に壇上に上がった。日本語通訳がおらず英語通訳を頼っての参加となったが、「あなたにとって本当の恐怖とは何か?」と問われた金子監督は「原発です」と答えたという。

生贄のジレンマ
DVD『生贄のジレンマ』(上・中・下)はNBCユニバーサル・エンターテイメントより発売中。各巻3,990円 (税込み)。©2013土橋真二郎、アスキー・メディアワークス/ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント

観客はオタク系が多し

観客
金子監督らのマスタークラスに参加した観客たち。女性ファンも。

金子監督はホームコメディー『毎日が夏休み』など幅広いジャンルにも挑んでいるが、海外では『ガメラ』や『ゴジラ』シリーズを手掛けたファンタ系の監督としての認知度が高い。特に『DEATH NOTE デスノート』はベルギーで開催された第25回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭で観客賞を受賞するなど海外で人気がある。

ナイトクラブ
セクシーなお姉さんが踊るナイトクラブで行われたパーティー。

「今回の映画祭のノリは、そのブリュッセルに近いものがあってイベント会場にはコスプレーヤーが闊歩(かっぽ)し、お祭りを楽しんでいる感じですね。『DEATH NOTE デスノート』のチラシを持参してサインを求めてくるファンもいましたが、皆、シャイなところがいいですね。考えてみれば、1991年12月にソ連が崩壊してからまだ22年余り。この映画祭しかり、外国に対する強い関心を感じました」(金子監督)。

金子監督とロシアの深い関係

マルクス前で記念写真
革命広場にあるマルクス像と一緒に。

金子監督がロシアを訪れたのは2度目。『学校の怪談3』の音楽を、モスクワ・インターナショナル・シンフォニック・オーケストラに依頼したときだ。「作曲家の大谷幸さんと渡露したのですが、日本で製作するよりやりやすかったことを覚えています。当時と比べると街にはモノがあふれ、華やかになりましたね」(金子監督)。

果物
真冬でも色とりどりのフルーツやパンが並ぶスタンド。

実は金子監督の父親は反戦活動家の金子徳好氏、また母親は切り絵作家・金子静枝さん。両親共に共産党員という関係で幼少時代に、史上初の女性宇宙飛行士ワレンチナ・テレシコワさんと会ったことがあるという。「今回もあいさつするときに、“つかみ”としてそのエピソードを披露。観客から好反応をいただきました(笑)」(金子監督)。

トラム
モスクワ市内を走るトラムはロシア国旗カラー。

他のゲストと毎日食事

ホテル
宿泊は、三つ星のゾロトイ・コロス・ホテル。

成田空港からモスクワまではアエロフロート航空などの直行便で約10時間30分のフライト。金子監督の渡航費・宿泊代は全て映画祭側の負担だった。食事は他のゲストと一緒に毎晩同じレストランでテーブルを囲んだという。メニューはロシア名物のボルシチやサケのソテーなど。

夕食
映画祭ゲストと共に、毎晩同じレストランで夕食。お誕生日席で携帯電話をいじっているのが、映画祭ディレクターのヴィクトル・ブランキン氏。

また映画祭側の招待で市内観光も楽しんだ。「8か国対応のツアーバスだったのですが日本語通訳はナシ。また1997年にも感じたのですが、地下鉄などの案内表記に英語がなく、日本人が一人で観光するのは難しいですね」(金子監督)。

ヴィニグリェート
ビーツを使った料理と言えばボルシチが有名だが、これはサラダ。

テロに注意!

チャリティー人形作り
慈善募金のための人形作りにも参加。

金子監督が帰国後、モスクワの学校で銃撃事件が発生。ソチ冬季五輪でもテロの危険性が叫ばれていたように、入国の際のビザ申請は時間を要するようだ。金子監督も在日ロシア大使館に自ら足を運び、取得まで約2週間かかったという。

金子監督作の人形
金子監督作の人形は授賞式会場で販売され、収益金はチャリティー団体ライフラインに贈られた。

「今回は宿泊とフライトを映画祭側が用意してくれたためビザのみ自分で手配することになりましたが、観光で行くなら宿泊などと一緒に旅行代理店に一括してお願いした方が賢明かもしれません」(金子監督)。渡航の際には現地情報に十分注意を!

マトリョーシカ
ロシア土産の定番マトリョーシカ。プーチン・ロシア大統領やオバマ・アメリカ大統領も。
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