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『エクソダス:神と王』リドリー・スコット監督&クリスチャン・ベイル 単独インタビュー

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『エクソダス:神と王』リドリー・スコット監督&クリスチャン・ベイル 単独インタビュー

映画スターになるのは無理!

取材・文:細谷佳史

旧約聖書に登場するエピソードを最新VFXと3D技術を駆使して描く『エクソダス:神と王』。神の使命を受けた英雄モーゼが奴隷だった40万人のヘブライ人をエジプト王国から解放し、約束の地を目指して彼らを導く姿を追ったエピックアドベンチャーだ。強靭(きょうじん)な意志を持つ指導者モーゼを演じるのは『ダークナイト』などで知られるクリスチャン・ベイル。監督は、『グラディエーター』をはじめ、この手の超大作を撮らせたら右に出る者がない巨匠リドリー・スコット。初タッグを組んだ二人が、モーゼに対する見解や制作秘話を語った。

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肉体的な役づくりは不要だった!

リドリー・スコット監督&クリスチャン・ベイル

Q:モーゼを演じる上で、どんな役づくりをされたのですか?

クリスチャン・ベイル(以下、クリスチャン):リドリー(・スコット)からこの役を頼まれたとき、最初にやったのは、(コメディー映画)『モンティ・パイソン/ライフ・オブ・ブライアン』と『メル・ブルックス/珍説世界史PART I』を観ることだった。こういった真面目な作品は、下手したらこちらの意図に関係なく『ライフ・オブ・ブライアン』みたいに笑えるものになりかねないからだ。どちらも素晴らしい作品だけどね。ともかくそれが、この役の最初のリサーチだった(笑)。

Q:ベイルさんの起用にはどのような経緯があったのでしょう。

リドリー・スコット監督(以下、スコット監督):最初にクリスチャンに会ったのは6年前で、とても彼のことを気に入ったんだ。それ以来、何か一緒にできるものはないかと考えていた。彼とは、今までに仕事をした役者の中で、最高の関係を築くことができたと思う。とてもオープンな態度の持ち主で、頭が良くて、チームプレーヤーでもあるから、協力し合いながら仕事ができるんだ。(『グラディエーター』などでタッグを組んだ)ラッセル・クロウも同じだね。2人ともちゃんと宿題をこなしてくるし、すごく頭が切れる。

Q:体重を落としたり太ったりと、体を酷使した役づくりで知られるベイルさんですが、今回、肉体的には何かされましたか?

クリスチャン:いや。(この作品では)そういったことは必要ないと感じたんだ。実はリドリーに会った時、僕は前の映画(『アメリカン・ハッスル』)のため頭をそって、腹も出ていた。僕を見てリドリーは、「オーマイゴッド! 最近の姿を見ずに、君を起用してしまった。モーゼは長い髪の毛のはずなのに」と言っていたよ。

Q:それに対して、どう答えられたのですか?

クリスチャン:「モーゼは、実在したかどうかに関係なく、人類史上最も重要な人物の一人だ。大事なのは、彼が象徴として意味していることだ」と言ったよ。それに、モーゼが長いひげであるべき唯一の理由は、(『十戒』の)チャールトン・ヘストンがそうだったからだ。チャールトンは見事だったけど、僕は彼じゃない。だから、見た目はそんなに重要じゃなかったんだ。

神話を信じるか

リドリー・スコット監督&クリスチャン・ベイル

Q:モーゼの神話について、スコット監督は本当にあったことだと思いますか? それともおとぎ話だと感じていますか?

スコット監督:間違いなく(その当時)何かが起きたと思う。5,000年にもわたって、(人類史上)最大のホラ話なんてものを維持することはできないだろうからね。この場合は3,300年だけど。当初、僕に渡された脚本は、十分信じられる素晴らしい物語だと思ったけど、それを完全に書き直した。劇中の出来事が本当に起きたかもしれないとか、起きなかったかもしれないといったことを考慮しながらね。この出来事については、旧約聖書以外に書物として残っているものはないんだけど、それをやるのがフィルムメーカーとしての僕の仕事だよ。

Q:ではベイルさんにとって、モーゼという存在はどういったものですか?

クリスチャン:僕にとって、彼は完全に人間だった。とても情熱にあふれていて、気まぐれで、自分本位の考えをしがちで、人生を通して多くの間違いを犯す。彼は僕らが想像しうる中でも、最も甘やかされた環境で育ち、(エジプトでは)神に次ぐ立場だった。そこでの誘惑やライフスタイルがどんなものか想像できるよ。そして(神からの)呼び声を聞き、衝撃的な体験をした後、変わることになる。彼はその時点で、極端に矛盾を抱えた人物になるんだ。

Q:この作品では今までにないモーゼ像が見られるのでしょうか?

クリスチャン:それについては、今までに描かれたものと比較してみないとわからない。けど僕の役へのアプローチは、今までに見たものに縛られないということだった。結果、今まで以上に、とても人間的なアプローチをした作品になっていると思う。それと、時代物というのは、スクリーンの外でもその世界が続いているという感覚がないといけないんだ。カメラを動かしたら、そこにクルーが座っていると感じられるようでは駄目なんだよ。だから僕は、目に見える物以上にもっと大きな世界があると考えることを心掛けているよ。

役者として築いたキャリア

リドリー・スコット監督&クリスチャン・ベイル

Q:長年映画作りを続けている監督ですが、最近のテクノロジーの進歩についてどのように感じていますか?

スコット監督:今の方が興奮させられるね。今は自分が描いたものをリアルに見せることができる。この作品で一番大変だったのは水の表現だった。この映画で観客が目にする波は、とてもリアルに見えるよ。

Q:そして、『プロメテウス』に次ぐ3D作品となりますね。

スコット監督:3Dは大好きだ。この作品も(後から変換したのではなく)3Dカメラで撮影したんだ。3Dで撮影するのは何の問題もない。大事なのは、それを扱う人がちゃんとわかっているかどうかということだよ。

Q:またスコット監督は、本作のような歴史大作を作る名人でもあります。

スコット監督:この映画は大きな挑戦だったよ。作るのはとても楽しかったけどね。スケールが大きくなると、それだけ作るのは大変になる。普通なら130日や140日くらいかかるところを、この作品は74日間で撮影したんだ。一定の予算内でやらなければいけなかったから、そのスケジュールでなくてはならなかった。ロケーションを見つけるのも大変だったよ。予算内に収めることができて、十分にエピックで壮観な景色を持った場所を見つけなくてはいけなくてね。そういう意味で、スペインは素晴らしかった。スペインではこれまで3回、自分の映画を撮影している。『キングダム・オブ・ヘブン』と『1492・コロンブス』とこの作品だ。

Q:こういった超大作の主演を務めるプレッシャーはありましたか?

クリスチャン:スペインのアルメリアの現場に着いたら、1キロの長さの巨大セットが用意されていた。それを作るのに何百人という人たちが何か月にもわたって仕事をしていたんだ。彼らはそこで、僕が現場に入るのを待っていたわけで、それを見たら、「何てこった。彼らは僕がどんなに愚か者か知っているのだろうか? 僕にはとてもやれない」っておじけづいたりする。そういった不安を乗り越えるために、自分がすべきことをわかっていないといけないし、演技で自分とは全く違うキャラクターを作り出さないといけない。僕はそれが映画スターと役者の違いだと思う。「オレ様がこれを演じるんだ」って態度ではとてもできないよ。そういったことをするのは、世界で最も尊大で、不快で、我慢できない人たちだ。僕はそういった映画スターとは違う形でキャリアを築いてきた。彼らはカリスマ性があって、みんなにいつも愛されているけど、僕にはそういったことはやれないね。


リドリー・スコット監督&クリスチャン・ベイル

クリスチャンをはじめとする俳優陣の申し分ない演技、クライマックスでの息をのむ大津波や『アラビアのロレンス』を彷彿(ほうふつ)させる戦闘シーン、バッタやカエルの群れの襲来、血で真っ赤に染まるナイル川、さらに古代エジプトの世界を見事に再現した美術や衣装など、全編見どころ満載の『エクソダス:神と王』。巨大スクリーンでしか味わえない、スコット監督が手掛けた美しいスペクタクル映像の素晴らしさを十二分に体験できる作品となっている。

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(c) Armando Gallo / Corbis / amanaimages / (c) Armando Gallo / Retna Ltd. / Corbis / amanaimages

映画『エクソダス:神と王』は1月30日より全国公開

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