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『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』天海祐希 単独インタビュー

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『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』天海祐希 単独インタビュー

仕事させてもらえることを当たり前だと思っちゃいけない

取材・文:高山亜紀 写真:高野広美

毎回、豪華なゲスト声優が話題の『名探偵コナン』シリーズ。記念すべき劇場版20作目の『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』で白羽の矢が立ったのは、女優・天海祐希。『ミニオンズ』(2015)でスカーレット・オーバーキルの声を表情豊かに演じた彼女が、本作で挑んだのは記憶を失ってしまった謎の女性役。記念作品かつ、ゲスト声優として初めてコナンの宿敵である国際的犯罪組織「黒ずくめの組織」の一員を演じ、特別な経験をした彼女に今の思いを直撃した。

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一緒に役をつくらせてもらった仲間のような存在

天海祐希

Q:最初に出演の話を聞いた時の感想は?

「20周年記念の作品で、ゲスト声優で初めての黒ずくめの組織の一員」と聞いて、「面白そうだな、やってみたいな」と思いました。その一方で、もしかして大変なことを引き受けてしまったのではないかとも思い始め、すごく緊張しました。

Q:黒ずくめの組織の一員はやはり、プレッシャーでした?

プレッシャーに感じるなら、引き受けなければいいと思うんですよね(笑)。でも、コナンくんは割と観ていて、全く知らない作品ではなかったので、ちょっとうれしかったんです。やっている時間帯に家にいたら、気になってつい観たくなる作品ですよね。

Q:どんなふうに楽しんでいたんですか。

大人が真剣に考えても難しいトリックだったり、ちゃんと感情が流れるようなストーリー展開だったり、キャラクターも魅力的ですよね。コナンくんなんて、子供にされちゃっているわけだから、すごく想像力をかき立てられます。彼らがいつ大人に戻れるんだろうというような謎も、たくさん仕掛けられている。これだけ多くの人を惹(ひ)きつけているのは、そんな謎の一つ一つに魅力があるからではないでしょうか。

Q:その世界観に自分が声を吹き込んだキャラクターが登場するのはどんな思いですか。分身のような感覚でしょうか?

アフレコさせていただいた作品は、もちろん自分でも観ますが、毎回、不思議な感じです。自分の声なのに、なんでここにあるんだろうと思ったりします。分身だなんてとんでもない。一緒に役をつくらせてもらった仲間のような気がします。

謎の全てが解明されるわけではない……!?

天海祐希

Q:この役柄のために心掛けたことはありますか。

どのお仕事でも、その役の背景なりをちょっとでも、しっかりつかんで、誠実に演じられるようにということを常に思っています。

Q:今回の「謎の女性」に関してはどんなキャラクターだと思いましたか。

わたしが「この人はこういう人です」っていうことを言ってしまうとそれが正解になってしまうような気がするんですよね。キャラクターの捉え方には特に正解はなく、観てくださった方がいろんな捉え方をしてくだされば、それが正解なんだと思います。だから、「こういう女性です」というようなことは、わたしからは言わないようにしています。観てくださった方が「こうなのかな」とか、いろいろ思い描いてほしい。想像の幅を狭めるようなことはしたくないので、言わないでおきます。

Q:なるほど。しかも、今回は特に謎はそのままにしておいた方がよさそうですね。

すごく謎めいていて、その謎の全てが解明されるわけではない……ような気がしない……わけでもない(笑)。この人に関しても、そのほかのこともそうです。それでいて、着実にコマは進んでいっているような気がするんですよね。だから、「ここ、わからなかった」というような不思議に思うことや疑問に思うことは、観てくださった方がそれぞれ判断してくださればいいんじゃないかな。そういうこともコナンのファンの方は楽しみになさっているんじゃないかと思います。

「オケピ!」と同じくらい分厚かった台本

天海祐希

Q:台本を読まれた時の感想は?

内容については「ほ~っ」と思いました。台本、厚いんですよね。三谷(幸喜)さんのミュージカル「オケピ!」と同じくらいでした……。わたしはアフレコに関しては経験が少ないので、声優さんたちがどんなふうに役づくりをして、皆さんがいったいどんなふうに台本をご覧になっているのか、すごく興味があります。

Q:声だけで演技する難しさはありましたか。

すごく難しくて、簡単にできることだとは決して思っていないです。特に目の前にある画(え)に声を合わせる作業が難しく、プロの声優さんはすごいなと毎回、思っています。

Q:台本には「……」というようなところまで、書かれていますよね。

「……」に関しては、画の口が動いていたら声や息を出したり、動いていなければ、何もしないでと指示されました。大事なことは口を合わせることじゃないかとわたしは思っているんですが、それが一番難しい。

Q:「はっ」「えっ」「うっ」という声にならないセリフでは、NGが多かったと聞きました。

セリフではなく、ため息のような音で結構NGを出しました(笑)。自分では何がどう違うのかわかりにくくて、聞き直したりしました。例えば「息を吐きながら出す音」が小さくてマイクに音が乗らなかったりと、とても難しかったです。

Q:これまでに求められてこなかった演技ですか?

演技というより、テクニカルな部分だと思うんですが……音色や実音というのかな、音ではなく息であったり、そこのうまい兼ね合いがなかなか難しかったです。監督の欲しいものとわたしのものとに差があったのだと思います。でも、言ってもらえた方がこちらも成長するし、本当にいいと思ったものをOKしてもらわないとよくないですから。そこは「何回でも、やりますから」と言って、やらせてもらいました。

仕事をいただけることが当たり前だと思っちゃいけない

天海祐希

Q:前向きですね。

お仕事はそうじゃないといけないと思う。たくさん役者さんがいる中で、わたしに声を掛けてくださった。お仕事があるってことは本当にありがたいことだと思うし、それに感謝して、お返しするのであれば、自分にできる限りのことをやらないと。楽しみにしてくださる方もいらっしゃるでしょうし、その作品自体を楽しみにして、「天海祐希、よかったね」と思ってくださる方もいるかもしれない。どういう形ででも、作品のため、もしくは誰かのためになれるのなら、それが一番幸せなことだから。仕事をさせていただけることが当たり前だと思っちゃいけないと思っています。

Q:天海さんが仕事をしていて、一番うれしい瞬間はどんな時ですか。

観てくださった方から、「面白かった」という声援をいただくことが一番うれしいかな。

Q:『ミニオンズ』での声の演技も好評でした。

そう言っていただけるのはとてもうれしいです。でも、これだけ有名な作品だとやっぱり緊張しますよ。ファンの方も多いですから。もちろん、ファンの方の数で手加減することはありませんが、それだけご自身のイメージを持っている方が多いということですから、そこはやっぱり気になります。

Q:今後はこれまで以上に子供からも支持されるのではないでしょうか。

役名で呼んでもらえるとうれしいですね。わたしが前面に出ているよりいいと思います。もちろん、「天海さん」でもいいですけど。声を掛けられるのはうれしいものですよ。まあ、時と場合によりますけどね(笑)。


天海祐希

テレビアニメと劇場版が20周年を迎えた『名探偵コナン』シリーズ。天海祐希が宝塚を退団し、芸能生活を始めてからもちょうど20年だそうだ。トップを走り続ける大女優でありながら、「仕事があることを当たり前と思わない」という謙虚な態度。そして新しいことにも果敢にどんどんチャレンジしようとする姿勢にも頭が下がる。内面からにじみ出る、抑えきれないかっこよさ。演じるキャラクターがりりしいのも当然だ。

ヘアメイク/林 智子 スタイリスト/えなみ眞理子

(C) 2016 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

劇場版『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』は4月16日から全国東宝系にて公開

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