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『T2 トレインスポッティング』ダニー・ボイル単独インタビュー~レントンとシック・ボーイの特別な関係~

『T2 トレインスポッティング』

 スコットランド・エディンバラに暮らすドラッグ中毒の主人公レントンと仲間たちのハチャメチャな日々をスタイリッシュな映像でつづり、1990年代ポップカルチャーの代名詞とまで言われた『トレインスポッティング』から20年。レントン(ユアン・マクレガー)、シック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)、スパッド(ユエン・ブレムナー)、ベグビー(ロバート・カーライル)の4人が帰ってきた! 再びメガホンを取ったダニー・ボイル監督が電話インタビューに応じ、本作の鍵を握るレントンとシック・ボーイの関係から、久々にタッグを組んだユアンへの思いまで熱くに語った。(取材・文:市川遥)

※がっつりストーリーを語っているので、ぜひ鑑賞後にお読みください。

嫌いだけど愛してる!レントンとシック・ボーイの関係

『T2 トレインスポッティング』

Q:レントンとシック・ボーイが時を経て再び親友に戻ったのを見ることができてとてもよかったです。二人が過去についてまくし立てるシーンは甘くほろ苦い気持ちになりました。

そうだね。彼らは素晴らしい俳優のペアで、全てのキャラクターの中でも最も複雑な関係だ。スパッドはもちろん並外れてカオスな道化的キャラクターで、とても悲しくてとても面白い。そしてベグビーは並外れて暴力的で恐ろしいキャラクター。でも、シック・ボーイとレントンの関係こそ、オリジナルの小説を定義しているものだ。それに多くの意味で、人々のこの映画に対する経験をも定義している。なぜなら彼らの関係はすごく密接なものだから。彼らは互いに競い合い、嫌い合っているけれど、その実、互いを深く愛していて、必要としている。

ある意味、彼らは一番傷ついたキャラクターだ。レントンはシック・ボーイに、人生がこうなってしまったことに本当に苦しんでいると告白している。だからこそ、映画がラストを迎える前の、二人がソファーに座って一緒にテレビを観て、ただしゃべっているというイメージがとても重要だった。とてもシンプルだけど、とても希望が持てる……たぶんね(笑)。彼らは何とかなったって思うんだ。人生は何とかなったって。

『T2 トレインスポッティング』

Q:「時間」や「年を取る」ということと、うまく向き合うのは難しいですよね。

うん、サイモン(=シック・ボーイ)は今も髪を脱色し続けているしね。もう髪自体、抜けてきているのに(笑)。とても多くの男性たちが本当の年齢よりも自分を若く見せようとしている、というようなことを彼は象徴しているんだ。過去を生きているというわけじゃないけど、彼らは過去を際限なく再現しようとしている。虚勢を張って、恐怖や死をひっくるめて人生を楽しむ。もう一度、それを楽しむことしかできないんだ。

でも時間は全ての人に影響を与える。映画俳優にも、映画の登場人物たちにも、映画を観る人たちにも、ジャーナリストにも、監督にも、みんなにだ。国の大統領だろうが、その国のホームレスだろうが、時間の言いなりになるしかない。サイモンにとっては年を取るのはとても難しいことだけど、彼の友達としてそんな彼の姿を見ていれば、みんなはうまくできるんじゃないかな? ハハハ(笑)。

すごく奇妙!20年前の自分たちとの対面

『T2 トレインスポッティング』
前作『トレインスポッティング』より - Polygram Filmed Entertainment / Photofest / ゲッティ イメージズ

Q:回想シーンではボディダブルを使っています。彼らは20年前のユアンたちにそっくりでしたね。俳優陣はどう反応していましたか?

セットでダブルを見るというのは、俳優たちにとってはとても奇妙な経験だったようだよ。文字通り、20年前の自分の歩く写真を見ているようなものだから。それはとてもとても奇妙だよね。彼らはちょっと気味悪がっていたと言わないといけないね(笑)。そういうやり方でやるって警告はしたんだけどね! 

自分に似ている人がセットに居るというのを想像してみると、俳優にとってはわりと普通のことだけど……ほら、同じコスチュームを着たスタントダブルみたいに。でも今回は若いバージョンのダブルで、彼らはまるで前作から抜け出してきたようだった。だから4人とも、若いダブルに会ったときはやっぱりすごく気味悪がっていたよね(笑)。すごく奇妙だった。世界のどこかには他の人が間違うような自分にそっくりな人がいるというけど、そんな4人が同時に同じ部屋に居るというのは素晴らしかったよ。

『T2 トレインスポッティング』

Q:続編である本作の制作中、この20年が監督自身とその周囲をどのように変えたかということを考えましたか?

ものすごく考えたよ。その要素はこの映画を作る中でもラブリーな……“ラブリー”というのは常に楽しかったという意味じゃないよ。なぜならかつての自分自身と向き合うのはとても困難なことでもあるから。ユニークな仕事だよ。毎日の仕事として今までに撮った全ての写真に目を通すようなもので、ある意味かつての自分とぶつかるようなものだ。どのようにこのシーンを撮ったか、なぜこのシーンはこんな風なのかと考えるけど、すごくはっきりと覚えているものもあれば、全く思い出せないものもある。とても並外れた経験だった(笑)。もしこういう経験をする機会があるなら、ぜひすべきだとみんなにオススメするよ。時間についてよく学べるからね。

そもそも映画というのは“時間の研究”なんだ。映画の編集でやるのは、時間を引き延ばし、変え、巻き戻し、操作し、必要なければ消し、止め、再開させるということ。並外れた時間の芸術形態だ。映画館で流れているのは実際の2時間だけど、その中で時間を操る。だからこの映画を作るというのは、2本の映画の間の20年の不在を白日の下にさらすことだった。何がそのままで、何が変わってしまったかとね。

『T2 トレインスポッティング』

Q:エディンバラは第1作のときよりも明るく美しくなっていましたね。

でしょ?(笑)街の中心にある山からの景色はものすごかった。美しい日だった。天気もとてもよかったし。でもトミーと赤ちゃんの話をするシーンのため、田舎の方に戻った時も美しかった。第1作では晴れていたけど、この映画では霧が立ち込めていた。街を離れると憂鬱な雰囲気がある。そうしたのがミックスされていたね。

うん、エディンバラは変わったよ。東ヨーロッパからの移民労働者も増えた。故郷に戻って来たレントンが空港の傍で会うのもそうだし、レントンとシック・ボーイが互いに金を盗もうとしている間に(笑)二人から金を盗ったベロニカも。彼女にはもっといい投資先があったわけだよ(笑)。彼女は子供に投資するわけだから。それは彼らが失敗したことでもあるんだ。

不仲を乗り越え…俳優たちとの再会

『T2 トレインスポッティング』

Q:俳優陣は自分たちが演じたキャラクターの20年について、それぞれに考えがあったのではないかと思います。

彼らは素晴らしい視点を持っていた。なぜなら彼らこそキャラクターを知っている人物なわけだから。僕の唯一の心配は、彼らが再演をためらうんじゃないかということだったけど、実際はとても興奮してくれた。彼ら自身の20年とキャラクターの20年が重なるんだ。それぞれが父親になって……第1作を始めたときは誰も父親じゃなかったからね。彼らは自分自身の20年をキャラクターに持ち込むことができた。最高の俳優たちができる方法でね。

『T2 トレインスポッティング』

Q:ユアンと久々の仕事はいかがでしたか?(注:ユアンとは映画監督デビュー作『シャロウ・グレイブ』(1994)から『トレインスポッティング』(1996)、『普通じゃない』(1997)とタッグを組んできたボイル監督だが、『ザ・ビーチ』(1999)の主演をユアンにすると示唆しつつも、スタジオの意向などもあって結局レオナルド・ディカプリオにしたことで不仲に。2009年に和解するまでの10年間、口も利かなかった)

僕にとって素晴らしいことだった。なぜなら僕らは本当に長い間、仲たがいをしていたから。彼と再び仕事ができて本当に楽しかった。僕にとって彼はクラリネットなんだ。オーケストラの中で最も完璧な……フフフ(笑)、楽器だ。最も甘美な響きのね。そして一緒に仕事をするのに素晴らしい人物なんだ。恋しく思っていた。この映画を作っていて気付いたことの一つは、僕がいかに彼との仕事を恋しく思っていたかだ。こういう映画を作ると自分についてたくさんのことを学ぶことになるのだが、僕はそのことに気付いたよ。僕は彼のことを本当に恋しく思っていた。

映画のラストのイメージは、イギー・ポップの音楽に合わせて彼が子供の頃のベッドルームで踊るっていう、僕にはとてつもないものだった。あのシーンが撮れてとっても幸せだったから、ユアンに言ったんだ。もし今死んだとしても……バスにひかれたり、彼の隣で雷に打たれたりしても(笑)、幸せな男として死ねるって。だって僕が最後に撮ったものは、君がレントンとして子供の頃のベッドルームで、ザ・プロディジーがリミックスしたイギー・ポップの「ラスト・フォー・ライフ」に合わせて踊っているシーンなんだから。これ以上に映画監督のキャリアを終えるのにふさわしい最後なんてないよね?

映画『T2 トレインスポッティング』は公開中

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