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『心が叫びたがってるんだ。』中島健人インタビュー

好きな人に冷たくしてしまう主人公に共感

『心が叫びたがってるんだ。』

 2015年に大ヒットした同名アニメーション映画を実写化した『心が叫びたがってるんだ。』は、“思いを伝えることの困難さ”に直面した高校生たちが、力を合わせてミュージカル舞台を作り上げることで一歩を踏み出すさまを描く青春映画。内向的で人付き合いが苦手な主人公・拓実を演じた Sexy Zone中島健人が、キャラクターから同世代の俳優が集った撮影現場について、そして“言葉で人とつながる大切さ”までを語った。

原作のある映画に臨むときの決め事

『心が叫びたがってるんだ。』

Q:内向的な拓実は中島さんと対極かと思いましたが、昔は拓実に近かったそうですね。

昔は何かやりたいと思っても手を挙げられなかったので、過去の自分を思い出しながら演じた部分もあります。拓実の適温は、今の僕から80%引いたぐらい。これまで演じた役の中で最も内向的な役でもありますが、同時に最も人間的な役とも言えます。泣いたり、笑ったり、友達と出会ったり、恋をしたり。人生の中で体験することを拓実は最も多く経験するので、僕も飾らず素直に、ありのままで秩父の現場に通いました。

Q:拓実に近づくために準備したことは?

原作のある作品に参加するときの自分の決め事、同時に気休めでもありますが、4冊の漫画(劇場アニメのコミカライズ版)を毎日持ち歩き、その魂をカバン越しに自分に染み込ませました。ところが撮影初日に監督から「アニメはすべて忘れてほしい」と言われ、ヤバイ……! と(笑)。アニメの感覚は忘れるようにしましたが、漫画で描かれている外形的な表情などは取り入れています。特に本編のファーストカット、山をバックに拓実が自転車を漕いで走っていく表情は、漫画で描かれている拓実の表情がすごく好きだったのもあって。

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『心が叫びたがってるんだ。』

Q:Sexy Zone のツアーと重なっていたにもかかわらず、ワークショップにも初日から参加されたそうですね。

早く現場のみんなに会いたかったんです。ずっと一緒に過ごしてきたクラスメイトが醸す空気感って、ある程度本当に時間を共有しないと出ないと思ったし、劇中劇でもあるので、一緒にミュージカルを作る仲間という空気感を出すことが大事だと思ったのと、知り合いではない人を一人も作りたくなくて。そうしたら、本当に面白い人ばかりで、僕が和ませるというよりみんなが盛り上げてくれて本当に楽しかったです。

自分の思いを表現する手段は「作詞」

『心が叫びたがってるんだ。』

Q:拓実は言葉で表現できない思いをピアノで表現していました。中島さんご自身の、自分の思いを昇華する方法は?

作詞です。今では職業柄というのもありますが、高校時代も、古典の授業で昔の恋の話を扱ったりすると、それを題材に詩にしたりしていました。“いと愛し”と書いたりしましたが(笑)基本は現代語で、教科書の右端にそのときの気持ちや思いをつづった詩がいっぱい書いてあります。

Q:一方で拓実は、芳根京子さんが演じた言葉を発することのできない順から、「私の心が、読めるんですか?」と聞かれます。中島さんも、人の気持ちに対して敏感ですか?

人の心って読み過ぎてもダメだと思うので、あえて読まないようにすることが多いです。それでもわかっちゃうことも多いのですが、そうなると自分の行動範囲が狭まってしまう。ある程度、視界がぼやけている方がいい。敏感な方だと思うからこそ、視界良好はあまり望んでいないんです。

『心が叫びたがってるんだ。』

Q:言いたいことを我慢してしまう拓実はすでに過去であり、今の中島さんからは遠いですか?

いえ、今でも拓実のように我慢するときはあります。本音をすべてさらけ出し、すべて自分に正直に生きようとするのではなく、セーブするところはセーブするのが社会のあり方だと思うので。一度きちんと咀嚼して、言い方も考えてから表に出す。この作品でも皆、言い方がわからないから話せない、伝え方がわからないから出せない。でも恋愛でも仕事でも、思いを伝えられないのって、いくつになっても誰もが日々経験していると思うんです。そういう状態を打破し、思いをちゃんと伝えて人とつながれる大切さを実感し、明日が楽しみになる映画でもあるので世代を超えて共感していただけると思います。

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撮影の合間にナゾナゾ大会で闘志を燃やす

『心が叫びたがってるんだ。』

Q:現場の雰囲気が実に良く、特に中島さんは他の3人、芳根京子さん、石井杏奈さん、寛一郎さんにイジられていたそうですね。

僕がイジられる? そんな馬鹿な、フッ(と鼻で笑う)。……実は、もう本当にやられまくりました(笑)。4人がそろった縁日のロケ撮影の日、急に雨が降ってきて待ち時間ができて、「Sexy Zone ってどう?」「今までどんな作品に出てきたの?」とか同世代で話も弾み、それから一気に親しくなりました。

Q:楽しそうですね。ほかにどのような出来事がありましたか?

芳根さんがナゾナゾを出題して以来、芳根さんがなぜかナゾナゾ係になって(笑)。全く解けない僕の隣で、軽々と石井さんがクリアしていくんですよ。「え、まだわからないの?」とか言われ、ポーカーフェイスを装いながら、実は超悔しくて拳をプルプル握っていました。そんな僕を寛一郎が「まあまあ」となだめるみたいな(笑)。

『心が叫びたがってるんだ。』

Q:本当に仲が良いんですね(笑)。

段々若者のノリになってきて、芳根さんが「ワッ」と驚かしても、全然驚かない僕に対し、強行突破ですよ。芳根さんと石井さんが急に膝カックンしてきたかと思うと、寛一郎が耳にフッと息をかけてきて、次第に無秩序化していきました(笑)。もはや石井さんは僕がツボみたいで、わざわざ「この花、どう思う?」と聞いてくる。だから僕もいつものように「満開に咲いているね、君のように」とジョークで返すのですが、いつもならキャーと言われるところを、爆笑・嘲笑の的ですよ。3人が力を合わせてチクチクとイジってきて。許せないですね~(笑)。

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思わせぶりな言動をとってしまう男の心理

『心が叫びたがってるんだ。』

Q:4人それぞれの思い、恋の行方が絡み合いますが、拓実は少し思わせぶりですよね?

わたしの不徳の致すところでございますが(笑)、そんな拓実の行動はわからないでもないです。本当に好きな人に対しては、つい距離を取ってしまう男性って多いと思うんですよ。恋愛対象ではない女の子には、最高の友達としていろんなことがうまくいくようにフォローしてあげたいと思ってしまう。鈍感でズルいと言われても仕方ない部分もありますが、全否定はできないです。

Q: 中島さんご自身もそうであると?

小学校時代は、好きな子には冷たく接していた時期があります。今も好きな人には積極的にはアプローチできないと思います。付き合った後は胃もたれするタイプだと思うのですが、それまでは冷たく接しちゃうだろうなぁ……。

『心が叫びたがってるんだ。』

Q:そんな拓実に対し、寛一郎さんが演じた大樹の思いも複雑ですよね。

大樹は野球部の元エースであり、クラスのスターでもあり、男らしい。自分が好きだという気持ちを隠して、その子の恋愛がうまくいくようにフォローしてあげる彼は、本当に男前。カッコよくて尊敬すべき人間だなと思いました。でもだからこそ(不完全な)拓実は、共感しやすいとも思うわけで。すごくバランスのとれた作品だと思います。

『心が叫びたがってるんだ。』

クランクインの2日後に大学の卒業式を迎えたが、「翌日には学ラン姿で自転車を漕いでいたので、僕の意識の中での本当の卒業式は、映画が公開される7月22日。劇場で僕の最高の卒業、そして第二の青春がスタートする姿を見ていただきたいです」と語るように、本作は、学生だった中島の最後の姿が刻み付けられた記念すべき作品だ。そんな中島をはじめ、フレッシュな俳優たちが等身大に体現した高校生たちが、もがきながら一歩を踏み出していく姿はキラキラ輝き、年代を超えてすがすがしい感動を与えてくれる。(取材・文:折田千鶴子)

映画『心が叫びたがってるんだ。』は7月22日より全国公開

実写版:(C)2017映画「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会 (C)超平和バスターズ
アニメ版:(C)kokosake

映画『心が叫びたがってるんだ。』オフィシャルサイト>

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