間違いなしの神配信映画『リマスター:サム・クック』Netflix

神配信映画

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ドキュメンタリー編 連載第2回(全7回)

 ここ最近ネット配信映画に名作が増えてきた。NetflixやAmazonなどのオリジナルを含め、劇場未公開映画でネット視聴できるハズレなしの鉄板映画を紹介する。今回はドキュメンタリー編として、全7作品、毎日1作品のレビューをお送りする。

伝説のソウルシンガーは、如何にして人種差別と闘ったか?

リマスター: サム・クック
Netflixオリジナル映画『リマスター: サム・クック』独占配信中

『リマスター:サム・クック』Netflix

上映時間:74分

監督:ケリー・ドゥエイン・デ・ラ・ベガ

キャスト:サム・クック

 2018年度の2019年 第91回アカデミー賞では、作品賞に輝いた『グリーンブック』と脚色賞を受賞した『ブラック・クランズマン』の間で場外乱闘的な騒動が勃発した。どちらも実話をベースに「黒人差別」を描いているのだが、『グリーンブック』に「白人が白人側に都合よく描いている」との批判が持ち上がり、『ブラック・クランズマン』のスパイク・リー監督も『グリーンブック』に対してあからさまに冷やかな態度を取った。

 『グリーンブック』は広い層にアピールする素敵なクリスマス映画だと思うのだが、論争の肝は「作品の優劣」ではなかった。長い差別と搾取の歴史を踏まえた上で、加害者側である白人が描く「黒人差別」の表現に、被害者側である黒人が納得できるかどうかという問題なのだ。遠い日本で生まれ育った者として、分断の根深さを理解しよう務めてはみるのだが、正直、当事者たちの肌感覚を感じ取るのは容易じゃない

 奇しくも上記の論争への理解を助けてくれるのが、Netflixオリジナル作品の『リマスター:サム・クック』だ。1964年に33歳で射殺されたR&Bシンガー、サム・クックの短いが実り多き生涯を描いた音楽ドキュメンタリーである。

 説明しておくと、サム・クックは50~60年代にかけて活躍したR&B/ソウル系の大スター。作詞作曲プロデュースも手がけ、ビジネスマンとしても辣腕(らつわん)を振るい、黒人文化のみならずロックシーンにも多大な影響を与えた。例えばロッド・スチュワートはクックの曲を好んでカバーしているのだが、2人の歌を聴き比べればロッドの歌唱がクックの絶大な影響下にあることがわかる。

 本作では、クックがスターという立場を最大限に活用して、差別問題と向き合い、公民権運動に関心を寄せ、率先して社会と闘った政治的な一面が語られる。例えばクックは『グリーンブック』のドクター・シャーリーに先んじて黒人差別が吹き荒れるアメリカ南部でのツアーを敢行し、マルコムXモハメド・アリと親交を持ち、ボブ・ディランに影響されて黒人のためのプロテストソング(政治的抵抗の歌)を歌った。

 映画では、そんなクックの先進性と影響力を怖れた権力層が、クックの奇妙な射殺事件に関わっているのではないかという仮説を検証する。言うなれば一種の陰謀論なのだが、全盛期のクックの社会的影響の大きさゆえに、人々は今も疑念を拭い去れずにいるのだ。

 陰謀論である以上、そう簡単に真偽が明らかになったりはしない。しかし本作は、謎解きよりもはるかに大きなものを描いている。黒人と白人という対立軸の狭間で未来を切り開こうとしたクックの姿が、今なお続く問題を読み解く糸口に思えるのである。1960年代に学ぼうだなんて21世紀になっても何も進歩していない気がして絶望もするが、見方を変えれば、クックが歌った「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム(原題) / A Change Is Gonna Come」はいささかも色褪せていないのだ。(文・村山章)

Netflixオリジナル映画『リマスター:サム・クック』独占配信中

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