ウーマンラッシュアワー村本大輔がやって来たの巻

　私がお手伝いをしている別府ブルーバード劇場は、ときに劇場の舞台を使ってお笑いライブをして、映画の宝箱から笑いの宝箱に姿を変えます。今回は、来るたびに劇場を笑い声で揺らしてくれる男・ウーマンラッシュアワーの村本大輔のお話です。（森田真帆）

別府のピンチに駆けつけた男！それは日本一の嫌われ芸人

　2016 年4月、熊本地方を中心にした熊本地震の影響は、大分県にも広がり、震度4を観測する大きな揺れが別府を襲いました。熊本では熊本城などの文化財のほか、多くの方が被害にあい今も大変な思いをされています。地震直後の別府は、一気に観光客が減少して、ホテルもガラガラ。九州ふっこう割ができたものの、余震を恐れた観光客のキャンセルはとにかく多く、観光スポットはどこも閑古鳥が鳴いていました。

　「別府は一気に観光客が減って、本当に大変なんだよね」とポツリとこぼした私に、「別府でお笑いライブやったらどうかな？　行くで！」と提案してくれたのが友人の村本大輔です。地震からすぐの5月。村本は有言実行、ブルーバード劇場で単独ライブを開催してくれたのです。それも、チケット代はすべて熊本地震に寄付をするという素敵なアイディアとともに！　別府に到着した村本はその日、別府にある杉乃井ホテルに宿泊。別府の名物観光である地獄めぐりを堪能しました。そこで、ホテルの印象や、地獄めぐりの感想をツイッターでつぶやいて別府をアピール！　当時、村本が別府にしてくれたことは本当にありがたく、森田は涙がちょちょぎれました。夜に行ったライブも大盛況で、劇場は爆笑の渦！　地震によって暗くなってしまった気分もだいぶ癒やされたのでした。

もはやブルーバードの常連芸人！村本大輔

　別の回で紹介する予定ですが、佐伯出身の幼なじみコンビ、ダイノジさんもブルーバードでよくライブを開催してくれています。そんなダイノジさんと同様、村本も熊本地震でのライブをきっかけに、空いた時間があると別府ブルーバード劇場でライブをしてくれるようになりました。それも、売り上げは毎回「ブルーバード劇場の運営費に当ててね！」というボランティアスピリット！

　実はつい先日、シネマトゥデイの連載用の取材をしていると、村本が「実は、7月にNHKの番組で1か月間アメリカにスタンダップコメディーをするっていう密着が入ってたんだけどさ」と話し出し、「昔にツイートした大麻を合法化すればいいっていうのが問題になって、白紙になってん」と大きなため息をひとつ。「仕事もなくなったし、どうしよ」なんて話を聞いているうちに、「ちょっと気分転換にまた別府に行くか！」となり、めっちゃ急遽ブルーバードでの独演会が決まりました。なんせ前日に決まった独演会だから、告知もツイッターのみ。お客さん来るかなぁ、と心配していたもののたくさんの方が遊びに来てくれました。古い劇場内にお客さんの笑い声が響くと、照館長はいつも目を細めてこう言います。「ああ、劇場が喜んでるわぁ」。笑いのエネルギーって、劇場をも元気にしてくれるんですね！

むらぴを愛する二人の乙女たち！

　「ファンを抱きます！」と公言しているむらぴこと村本ですが、別府には、村本をこよなく愛している乙女なファンが二人います。一人は言うまでもなく、別府ブルーバード劇場館主の岡村照！　一番経営が大変だった熊本地震の直後に駆けつけてくれた村本への感謝は今でも口にすることが多く「あのときは、本当にたくさんお客さんを呼んでくれて、とってもうれしかったんよ」と笑顔を浮かべます。毎回、「いやぁ、いっつも早口だから、ついていくのが大変やわ！」といいながら、劇場の端っこのいすにちょこんと座って独演会を見ている照ちゃんですが、村本のちょっとした下ネタトークにヒヤヒヤするわたしを横目に、いつもげらげらと大爆笑しているのです。

　そんな照ちゃんともう一人、村本を愛する乙女の名前は「みよちゃん」。別府駅前でお饅頭屋さんをしているみよちゃんは、数年前、お店を訪れた村本の優しさに一目ぼれ。たくさんの芸能人が来る中、「あの人の男前ぶりと優しさは本物や！」と欠かさずブルーバード劇場での独演会に来てくれるのです。みよちゃんと照ちゃんが二人で口を合わせて言うのは、「あの人が嫌な人なんて、信じられん！　あんなにええ子はおらん！」とのこと。先日行われた独演会にも、みよちゃんは大量の饅頭の差し入れを持ってきてくれました。村本も二人の乙女に囲まれながら「これで好感度アップさせたるわ！」とよこしまな考えを口からダダ漏れにしてチュー写真を撮っていましたよ。