王道の青春映画だと思ったら、親子の普遍的な真実にたどり着いた話
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ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は、実話をもとに若者たちが音楽に夢中になっていく姿と、夢をめぐる親子の葛藤を描いた青春映画『進行曲 マーチングボーイズ』を鑑賞。王道の青春映画に笑いながらも、いつしか話は二人自身の子ども時代、親からの期待、そして「子どもの人生を親はどこまで心配するのか」という意外と深い方向へ……。(取材・文:森田真帆)
今回の映画は『進行曲 マーチングボーイズ』(10月23日公開)です。
実話を基に、名門男子校のマーチングバンド部の男子高校生たちの活動を描く青春ドラマ。1990年代の台北を舞台に、有名進学校に通う男子高校生らがマーチングバンド部の活動にまい進する。監督を務めるのは『角頭』シリーズなどのジャン・ルイジー。ムー・セン、リウ・ユーレンのほか、ユー・ジェエン、リー・リーレンらがキャストに名を連ねる。
まさかの入り口はジャルジャルの後藤だった

中川パラダイス(以下、中川):最初からずっと気になってたんやけど、めちゃくちゃジャルジャルの後藤(淳平)に似ている人おらんかった?
村本大輔(以下、村本):似てた(笑)。オレも途中から後藤にしか見えへんようになってきたもん。
中川:そうやろ? 「あれ、ジャルジャル後藤出てんの?」って一瞬思ったもん。もちろん本人ちゃうねんけど、一回そう思ったらもうずっと後藤に見えてくる(笑)。
村本:映画の内容より先にそこ引っかかるのお前ぐらいやで(笑)。でもわかるわ。顔もそうやけど、なんか雰囲気も似てんねんな。
中川:そうそう。だから序盤、出てくるたびにちょっと笑いそうになってもうて。でも観ているうちに、ちゃんとその役として見えてくるんよね。
村本:それって役者としてすごいことやけどな。最初は「誰かに似てる」って観ていたのが、途中からそんなこと忘れて、その人物を応援しているわけやから。
中川:たしかに。最初は完全にジャルジャル後藤から入ったのに(笑)。
村本:入口そこなんや(笑)。でも、この映画ってそういう親しみやすさがあるんよな。キャラクターも含めて、最初からすっと入っていける。そこから気づいたら、青春とか夢とか親子の話にちゃんと持っていかれる。
中川:そう考えたら、後藤似の人からめちゃくちゃ深いところまで連れていかれたな(笑)。
久々に出会った王道青春映画
村本:オレ、すごくいい映画やと思った。久しぶりにこういう素朴な青春映画を観たなって。日本でいうと『ウォーターボーイズ』とか『フラガール』みたいな、最初は全然ダメだった人たちが、一つのものに夢中になって変わっていく。こういう映画って、やっぱり気持ちいいよね。
中川:日本人、絶対好きやと思う。最近の映画って、ちょっとひねってたり、複雑にしたりするやん。でもこれは「そうそう、こういうのでいいんだよ」っていう感じ。
村本:ただ、途中で「いや、このチームがホンマに勝つんか?」とは思ったけど(笑)。しかも実話やろ? それ聞いたら余計に面白くなった。途中、先生がヤンキーとやり合ったりするから、オレは『RRR』みたいにどんどんすごいことになっていくんちゃうかと思って(笑)。
中川:そこまではいかへん(笑)。
村本:でも、そこがええんよ。無理に派手な話にしないで、その時代に実際にあった熱量みたいなものをちゃんと残してる。今の感覚に合わせて全部きれいに整えてしまった映画じゃないから、人間がちゃんと生きている感じがした。
中川:わかりやすい青春映画なんやけど、単純に「夢を追えば成功します」っていうだけじゃないところもよかったよな。
親の期待に応えてきた子ほど「夢を言う」のは怖い
村本:オレが一番引っかかったのは、主人公が親父に自分のやりたいことをなかなか言えへんところやった。オレなんか高校も辞めて、昔から親の期待を裏切り続けてきた側やから。だから逆に、ずっと親の期待に応えて、真面目にやってきた子の方が「違うことをやりたい」って言うのは怖いやろなと思った。
中川:それまでちゃんとやってきた分、「急に何言ってんねん」ってなるもんな。
村本:ちょうどこの映画を観た頃、北海道で16、17歳ぐらいの女の子に会ったんよ。めちゃくちゃ頭が良くて、進学校でも上の方にいる。でもその子が「スタンドアップコメディアンになりたい」って言うねん。
中川:それは親、びっくりするやろな(笑)。
村本:家族は当然、いい大学に行くと思ってる。でも、本人は芸人になりたい。それを初めて親に言おうとしてたんよ。その子を見たときに、この映画の主人公とめちゃくちゃ重なった。
中川:でも、この映画のお父さんも夢を潰したいわけじゃないんよな。
村本:そうやねん。失敗してほしくないから反対する。子どもは自分の人生を選びたい。でも親は守りたい。だから、どっちかが悪いという話じゃない。愛情があるからこそ、一番近い人に本当にやりたいことを言えなくなる。その感じがすごくリアルやった。
子どもの気持ちと親の気持ち
中川:僕も小学生の頃、浜学園に通ってたんよ。夏休みも朝から晩まで夏期講習で、友達が遊んでるのがめちゃくちゃ羨ましかった。
村本:お前、そんな教育熱心な家やったん?
中川:でも中学ぐらいから家の経済状況が変わって、夜中に両親が「塾のお金どうする?」って話しているのが聞こえてくるようになった。僕としては「いや、別に行きたいわけじゃないから、行かんでええのに」って思ってた(笑)。
村本:子どもは案外そんなもんよな。でも親は「子どものために」って思ってるから。
中川:その気持ちは大人になってからわかったよね。
村本:親って結局、ずっと心配するんよ。オレなんか高校辞めて、バイトも辞めまくってた頃は「この先どうするんや」って心配される。でも、それが続いたら最後は「もう健康でいてくれたらええ」に変わる(笑)。
中川:期待値、めっちゃ下がってるやん(笑)。
村本:ほんで芸人になってテレビに出たら安心する。でも、今度はテレビを辞めるってなったら、また「大丈夫なん?」ってなる。結局、親は子どもが何歳になっても心配するんやろな。この映画って、若者が夢を追いかける青春映画やけど、同時に親が子どもの人生を信じて手放していく話でもあると思った。
中川:子どもからしたら「ほっといてくれ」と思うこともあるけどな(笑)。
村本:そうそう(笑)。でも、ほっとけへんのが親なんやろな。
『進行曲 マーチングボーイズ』10月23日公開
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ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
中川パラダイス
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。



