ギレルモ・デル・トロ×アンドレ・ウーヴレダル監督『スケアリーストーリーズ 怖い本』インタビュー

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「ホラーとコメディーには、国境がない」

 映画『スケアリーストーリーズ 怖い本は、ギレルモ・デル・トロにとって、個人的思い入れがたっぷりある作品だ。フランケンシュタインをはじめ、モンスターを崇めて育ったデル・トロが原作本「Scary Stories to Tell in the Dark」(原作邦題「だれかが墓地からやってくる」)に出会ったのは、10代の初め。その本に出てくるイラストの原画が売りに出されると、父が誘拐事件にあって身代金を払った直後で最悪の経済状態にあったにもかかわらず、彼はそのいくつかを購入している。この本の映画化権を買った会社から声がかかった時、デル・トロはもちろん興奮した。その一方でプロデューサーにとどまると決めた彼が監督に選んだのは、ノルウェー人のアンドレ・ウーヴレダル。以前からお互いを尊敬しあっていた2人が、初のコラボレーションについて語った。(猿渡由紀)

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デル・トロを夢中にさせた、原作のスティーブ・ガンメルのイラスト

Q:この作品を自分で監督しないと決めたのはなぜですか?

ギレルモ・デル・トロ(以下ギレルモ):(映画化の)権利を買った人たちは僕に監督してほしいと思っていたし、僕もやりたかった。でも、スケジュール的に無理で、ならば、断ってしまうより、自分が理想だと思う人にお願いするのがいいと思ったんだ。アンドレは最初に浮かんだ名前。そして、唯一浮かんだ名前だ。彼は彼で忙しいだろうし、これをやり始めたらセックスライフは最悪になるだろうけど(笑)、幸い彼はやると言ってくれた。

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今回はプロデューサーにまわったギレルモ・デル・トロ

Q:お二人は、Twitterでつながっていたんですよね?

ギレルモ:そうだ。僕が先に君(ウーヴレダル)にメッセージを送ったんだよね? 彼の『トロール・ハンター』をすごく気に入って、それを伝えたんだ。『ジェーン・ドウの解剖』もTwitterで思いきり絶賛したよ。

アンドレ・ウーヴレダル(以下、アンドレ):『ジェーン・ドウの解剖』に関しては、タイトルも褒めてくださいましたよね。

ギレルモ:そうだった。あまりに良いタイトルなので、「先にタイトルを思いついてそこから話を作ったの?」って聞いたね。アンドレは気品のあるフィルムメーカーだ。ホラーには2種類ある。嫌な気持ちにさせられるものと、たとえ残酷なシーンが出てきても楽しませてくれるもの。彼は後者を作る。

Q:原作本は何冊かあり、それらの中にはたくさんの違った話が出てくるようですが、どうやって1本の映画にまとめたのですか?

ギレルモ:このオファーをもらった時にすでに脚本はできていたんだが、僕は「その脚本は読みたくない」と言い、僕自身のアプローチを売り込んだ。あの本には別々の話がたくさん出てくるが、僕は映画でひとつの話を語りたかったんだよね。

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幽霊屋敷で拾った本に描かれたモンスターが若者たちを襲う

その上で使ったのは、読者の記憶に最も残っている5つか6つの話だ。それを組み合わせてひとつの話にし、さらに、ほかの話に出てくる名前などをちらほら出してきたりもしている。それらの話を最も共感できる形で語るためにはどの時代がいいのかと考えることもした。それで選んだのが1960年代だ。

アンドレ:僕はこの本についてまるで知らなかったんですよ。(母国の)ノルウェーでは出版されていないのでね。でも脚本はすばらしいし、60年代のアメリカをビジュアルで見せるということにも興奮したんです。ただ、アメリカでよく知られている本だというし、これを読んで育った人たちの期待に応えるものにしなければというプレッシャーはありました。

Q:ギレルモ、あなたはどんなプロデューサーであろうとしたのでしょうか?

ギレルモ:殴られるのは監督。プロデューサーは、辛い思いはしても殴られはしない。リングの横で水とマウスガードをもって、「ロッキー、その調子だ!」と言うのが僕だ。パンチを受けるのはアンドレ(笑)。一方で、彼を守ることはしたよ。彼が最大限に自分のクリエイティビティを発揮できるように。それが邪魔されそうになったら、僕はすぐ出て行く。現場にも、理由がないかぎり、僕は行かなかった。もし僕が全部見ていたら、彼は違うふうに撮ろうとするかもしれない。僕だって、監督する時はそうだ。プロデューサーは、その線を超えてはいけない。

Q:この映画を作る上でインスピレーションになった作品はありますか?

アンドレポルターガイスト』ですね。トーンが明るくて、怖いけれどもユーモアがあるという意味で。あれは昔から好きだったし。

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演出中のアンドレ・ウーヴレダル監督、デル・トロは意識して現場にはできるだけ顔を出さなかった

Q:ギレルモ、あなたが昔から特に好きなホラー作品を挙げるとしたら何ですか?

ギレルモ:それは難しい質問だなあ。あまりにたくさんありすぎて。僕は子供の頃からホラーが本当に好きだったんだよ。1964年生まれで、その頃、テレビではユニバーサルの古典ホラーをよくテレビでやっていた。それに、なぜだかわからないが、当時、メキシコのテレビ局はアジアの映画もよく放映していたんだよ。(新藤兼人監督の)『薮の中の黒猫』や『鬼婆』とかも好きだったし、フィリピンのホラーなんかも観たね。イタリアの(マリオ・)バーヴァからも大きな影響を受けた。あの強烈な色彩。僕が最も共通点を見出す監督は彼だ。僕は絵画やアニメーション、彫刻もやっているが、彼も同じ。まあ、とにかく、あの頃、メキシコで普通にそういうのを観られたというのはすごいかもね。

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映画にはデル・トロ印のモンスターが多数登場する。こちらは体がバラバラになるジャングリーマン

ホラーとコメディーには、国境がないと思う。ニュアンスの違いはあるが、どこに住んでいても、人は怖がるし、笑う。人生は厳しい。もうやっていられないと思うこともある。政治は腐敗しているし、毎日の生活が残酷だ。このジャンルは、そういうものを反映してくれる。今では(『ゲット・アウト』『アス』の)ジョーダン・ピールがすごく上手くそれをやっているよね。ホラーは、現実社会を映し出す上で最大のツールなんだよ。

映画『スケアリーストーリーズ 怖い本』は2月28日より全国公開
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